八ヶ岳の麓、山梨県北杜市は自然豊かな町。私にはこのエリアに家を持つ友人がいて、ありがたいことに時々足を運ばせていただいています。季節毎に変わる自然の表情は、私たち人間の小ささを感じざるを得ないほど壮大で、毎回魅了され通し。緑の季節は自ずと心身がリフレッシュし、寒い時期は空気が澄んでキンとした寒さの中で静けさを楽しむことができます。大自然と綺麗な水と豊かな食材、静かな環境を求めて都心からの移住者も多いそう。
今回は北杜市のさまざまなスポットの中でも、一際個性的で魅力的なギャラリーをご紹介しましょう。
「夢宇谷Gallery MUU」は八ヶ岳山麓の中でも奥の方にあって、訪れるには車は必須。友人の車でお連れいただいた私は、到着するとすぐに写欲にかられてカメラを構えました。フォトジェニックなエントランスからそのセンスを伺わせて、思わずシャッターを切らずにはいられないほど。エントランスから階段をあがり、建物に向かうアプローチの屋根の付いた通路には、小道具やアンティーク食器、壺や花器、布やオブジェなどが所狭しと並び、異国情緒も醸す独特な雰囲気にワクワクしました。
建物の中に入るとその広大な空間と天井の高さに驚きました。元々陶器やアンティークアイテムが大好きな私は、思わず歓喜の叫びをあげたいぐらい(笑)数え切れないほどの作品に囲まれて目移りをしながら、一つ一つを眺めては手にして触感を楽しんだり、我が家にあるイメージを想像したりしながら、空間を行ったり来たり。
空間はいくつかに仕切られていて、ある作家さんの世界観が表現されていたりするコーナーもあれば、ランダムにアイテムが並んでいたり。このギャラリーのオーナーの審美眼に留まったからこそ全てが調和していて、空間創りのセンスにも圧倒されました。
屋根裏のラグを見たり、仕切られた小さな空間で出会ったアンティークアイテムに嬉々としたり、天井近くの窓から差し込む初冬の柔らかな光は、時間の経過と共にオレンジが濃くなって、それぞれの見え方や様子も変化していくので、すっかり時間を忘れてしまいそうでした。
エントランスには「15歳未満のご入廊、10名以上の団体でのご入廊はご遠慮ください」と明記しているのも、オーナーの美意識があってこその潔さ。
その日出会った器やカトラリーは大切に持ち帰り、生活を豊かにしてくれるアイテムの一部となりました。
日々を豊かにしてくれるアイテムは大切
開廊は4月〜11月下旬まで。雪深い季節は密やかに静かにただそこに佇んでいるようです。山奥の「夢」と「宇宙」の谷にあるギャラリーは正に摩訶不思議な異空間。新しい出会いを求めて、芽吹く季節に計画をして再び足を運んでみたいと思います。
夢宇谷「Gallery MUU」
〒409-1502 山梨県北杜市大泉町谷戸5865-12