ニホンノカタチ 旅恋ver. by yOU(河崎夕子)

第46回 築地の魅力!古き良き市場の街の魅力を伝える写真展を開催しました!(東京都・築地)

初めて築地場内市場を訪れたのは15年ほど前。現在、公設市場は豊洲に移転していますが、かつて東京の台所だった築地市場は、料理人から個人客、観光客が足を運び、賑わいを見せた場所でした。料理家の友人に連れて行ってもらい、その活気に満ちた雰囲気にすっかり魅了された私は、ただひたすら感じるままに市場内の「シズル」を撮って回っていました。

その形状から「扇」と呼ばれていた市場の水産仲卸棟の中は、所狭しと店が並ぶ本来は買い物に来る料理人のための場所。カメラを担いで市場内を撮っていることで、市場で働く人達や買い物に来ている人達の邪魔になってはいけないと、その時すでに10年も通い詰めていた友人から流儀を教えてもらい、最初こそ「邪魔!」と怒鳴られたこともありましたが、回数を重ねるごとにターレに轢かれないように、闊歩する市場の男たちの邪魔にならないように身をかわせるようになっていきました。

水産仲卸棟(通称「扇」)の中は人やターレが行き交う

そんな市場が豊洲に移転するまでの間、何度カメラを持って通ったことでしょう。しばらくするとやっちゃば(青果市場)や、市場で働く人たちが通う床屋や喫茶店、図書室などの関連棟まで足を運ぶようになりました。

そしてご存知の通り、83年間続いた築地場内の市場は、2018年に豊洲に移転しました。公設の市場としての拠点は移ったものの、築地市場には場外市場という民営の市場もあって、こちらは移転せずに今も築地に残っています。

私は全く別のご縁から場外市場を訪れる機会が増え、波除神社のお祭りに参加したり、大好きなお店に足繁く通ったりする中で、街の知人友人も増えていきました。

波除神社のお祭りは活気に満ちている

築地本願寺や波除神社に隣接するこの街は、場内市場が移転後も豊洲までなかなか足を運べない人の買い物や観光客で活気に満ち溢れていましたが、コロナ禍で一切がストップ、休業や廃業に追いやられる店も続出し、全くひと気のない時期もありました。

その後再び人々が戻ってきたのも束の間、SNSがきっかけでインバウンドの波が押し寄せ、今ではごった返す通りを訪れる人々の9割が外国人という現状。しかもそれは海鮮を買う「市場」としての場所ではなく、いつの間にか「食べ歩きの街」と化してしまったのです。

お声をかけていただいたのは2022年。隣接する築地六丁目の街でも一際目を引く古民家。築100年の建物は、かつては酒屋だったと伺いましたが、ここ数十年は何にも使われず空き家となっていました。この建物のオーナーから今回特別にこの場所をお借りできることになったのです。

開催にあたって大掃除から始めて息を吹き返した木造建築

この場所で写真展を開催することで、築地場外市場に働く人々も、訪れる人々も本来の「市場」としての築地の魅力を知って、場外市場がこの先も「市場」として繁栄していくことを願うプロジェクト。ほとんど誰も足を踏み入れたことのない古民家の空間をご覧いただくチャンスでした。

築100年の古民家とかつての市場の写真を掛け合わせることで、大切なものがただ朽ちることなく、継承されて新しい息吹をもたらすことを感じていただけていたら...。

開催の10日間でなんと750名の方々にご来場いただきました。心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました!

 

 

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