ニホンノカタチ 旅恋ver. by yOU(河崎夕子)

第36回 今年で76回目!美味しい屋台が勢ぞろい、築地本願寺の納涼盆踊り大会(東京都・築地)

築地は元々海だったことはご存じですか? かつて浅草にあった本願寺は、1657年の「明暦の大火」とよばれる大火事で焼失し、江戸幕府が指定した新しい建立地が、その海上だったそうです。その場所が埋め立てられて新しい本願寺が建てられました。「築地」と言う名前の由来もここからきています。

関東大震災の火災で再び本願寺は焼失しますが、再建と共に新しい町づくりがなされ、お寺と市場が並ぶ町として栄えてきました。ご存じの通り、築地市場は2018年に豊洲へ移転しましたが、場外市場は営業を続けており、今でも「東京の台所」として連日賑わいを見せています。

市場と隣り合わせた本願寺は、本堂にステンドグラスが施され、動物の彫刻が飾られるなど、独特でオリエンタルな建築であるため、一見仏教の寺院とは思えません。これはインド式の石造り建築で、仏教伝来のルートを感じさせるシルクロードを旅した建築史家によるものだそうです。

築地本願寺は独特な建築様式をもつ

築地本願寺で毎年開催される納涼盆踊り大会は今年で76回目!という歴史の長い盆踊り大会で、「日本一美味しい盆踊り」なんて言われたりもしています。

何故なら、場外市場から本格食材を扱う名店の屋台がズラリと並び、冷たい生ビールのお供に仲買さんが扱う魚介メニューや、玉子焼き専門店のメニューなどを楽しめるとあって、開催される8月初旬の4日間は連日の大行列。毎年延べ7万人が訪れると言われます。

ところがコロナで2年間は完全にストップ、2022年にようやく人数制限をしながらの再開となりました。

日本一美味しい盆踊り大会の異名も

2022年、私は盆踊り大会の初日に参加したのは初めてでしたが、この日は18時から本堂での法要が厳かに執り行われ、法要中は踊りも音楽もなし、飲食の販売もなし、お堂の外にいる参加者も静かにご先祖さまの御霊をもてなし、手を合わせている様子が印象的でした。

いよいよ19時に盆踊りがスタート。暮れる空にぼんやりと灯る提灯。揃いの浴衣を着た日舞の会の方々がお手本となり、やぐらの少し高いところで小さな輪を作り、その周りを囲む参加者の大きな輪と共に行ったり来たり、時に広がったりまとまったり。その様子はまるでインスタレーションアートのようでした。

そのうち私も輪に参加して、お手本を見ながら踊っているうちに、どんどんと夢中になって、気づけば無心に。盆踊りって本当に不思議な体験だと思います。

2022年の築地納涼盆踊り大会の様子

最近では各地の盆踊りで流れるのは新しい曲調のものも多い中、ここ築地本願寺では最初から最後まで、昔ながらのオーソドックスな音頭が鳴り響きます。コロナ禍に新しい築地のオリジナル音頭が作られて、いよいよ今年2023年にお披露目となりました。その名も「おだいどこ音頭」。築地らしいお魚の歌に合わせた踊りは振り付けを現役の高校生たちが考えました。

おだいどこ音頭メイキング動画
https://www.youtube.com/watch?v=rV58_Tb6_ts

2023年築地本願寺納涼盆踊りの様子

今年は関東大震災100周年追悼法要にして4年ぶりの制限なしの開催となり、大賑わいでした。是非来年の納涼盆踊り大会には踊りに使う手ぬぐいやうちわを持って、そしてお腹を空かせて参加してみませんか?

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