九州は福岡県福岡市博多。博多といえばやっぱり「食」。
たまたま観たテレビ番組「孤独のグルメ」で紹介されていた博多呉服町の「名代みやけうどん」は私の心を鷲掴み、いつか博多に行くなら立ち寄ろうと思っていたお店。番組では老舗然とした店構えのうどん屋さんで、松重さんがふうふうしながらうどんを食し、丼を両手に持ってお出汁を飲み干していました。
そんな折に仕事で訪れた博多、2泊追加してプライベートを楽しむチャンスがやってきたのです。
店構えからグッとそそります
泊まったホテルはたまたま店まで歩けるロケーション。
「もしかしたら行列ができるのかも?」と朝食を食べずに11時の開店時間を狙って、歩いて店に向かいました。少し早くに到着してしまった私は、なんとなく様子を伺いながら一度は店前を素通り。すると行列どころか、店主らしき方が店の軒先に立ってぼんやり辺りを見回していました。「おっと、すぐに入れちゃいそう」と、店近くを一周して11時をすぎる辺りに再び店の前へ。引き戸は開けっぱなしになっていて、すでに一組の客が中に入っていました。
昭和29年創業。大正時代に建てられたという建物の軒先には、大きな提灯と年季の入った暖簾。うどんと書かれた提灯は大きくて、暖簾の文字は全く読めませんでしたが、少し緊張しながら、でも表向きは堂々と店に入っていきました。
老舗感が漂う店内
番組で観てはいましたが、店内もなかなかの年季の入りよう。
左手奥に木製カウンター、右手奥から手前にかけて渋色の卓が5つ、それぞれ固定された椅子が並び、見上げれば今時あまりみかけない古い蛍光灯が煌々としていました。ちょっと迷ってから、入口に一番近い卓に入口側を向いて腰掛けました。すぐに「店内側をむくべきだった...」と後悔しつつも、座るやいなやホール担当?のおじさまに「何になさいますか?」と聞かれ、ここでドギマギしないようにリサーチの成果を発揮、事前に決めていた「うどんに丸天とごぼう天で」とまるで常連客のように注文しました。
丸天はいわゆるさつまあげのこと。番組で松重さんも注文していました。ごぼう天も博多名物のようですね、いわゆるごぼうのかき揚げのことです。
出汁入りの徳利が浸かる年季の入った大きな釜
体勢を整えて、内心ドキドキしながら待っているとうどんが運ばれてきました。麺は予め茹でられていて、大きな釜に浸かって温められた徳利の中の出汁をかけるだけなので、オーダーからほんの3分程度。卓上に置かれた刻みネギと一味唐辛子をたっぷりかけて。博多らしいふわっふわの太麺うどんをふうふうしながら吸い上げて、優しい薄味のお出汁は丼を両手で包んでいただきます。秋口なのに真夏のような暑いその日、汗をかきながら最後まで飲み干しました。
気づくと客が私一人になった束の間、カウンターの中から出てきたご主人。
「暑いねえ、10月とは思えんねえ」なんて声をかけてきてくれて。旅の最中だと伝えてしばし四方山話。うどんは食べ終わっていましたが、立ち上がって店内向きに座り直して、写真も撮らせていただきました。
優しく話しかけてくれたご主人
すると新しい客が来店、そしてまた常連らしき客が...。行列はできないけど、地元に愛される人気店であることは間違いないようでした。うどんに2つトッピングでしめて550円也。なんとも安い!
お会計を済ませると、ご主人がカウンターの中で新しい客の丼に徳利を傾けながら「気をつけて東京に帰るんだよ」と一言。
お腹にも心にも優しいお店でした。
みやけうどん
〒812-0036 福岡県福岡市博多区上呉服町10-24
092-291-3453 11時~17時 (日曜日定休)