2022年一番呼ばれているのが京都。仕事やプライベートに関わらず既に7回の訪問と気づいて我ながら驚きました。それでも季節毎に見所は多岐に渡り、まだまだ知らないエリアやスポットもたくさん。そんな京都の中から、JR東海「そうだ京都、行こう。」のCMでもお馴染みの建仁寺。今回は京都最古の禅寺をご紹介します。
北条庭園から眺める法堂
臨済宗建仁寺派の大本山・建仁寺は、将軍源頼家から与えられた広大な敷地に3年もの歳月をかけ、1202(建仁2)年に臨済宗の開祖である明菴栄西によって創建されました。
博多の聖福寺と並び、日本の禅寺の基礎となった寺院ですが、美術界に大きな影響を与えた作品を所有するお寺としても知られています。
回廊を渡りながら四方から庭を楽しめる
あまりにも有名な潮音庭(トップ画像)は四方どこから眺めても美しい枯山水の庭園。また岩と白砂の方丈庭園は腰掛けて眺めていると、その削ぎ落とした美しさを目の前に、瞑想に耽って時間を忘れるほど。他にも禅宗の4大思想(地水火風)を地(□=井戸)水(○=木)火(△=庭の隅の形状)で象徴した「○△□乃庭」など、庭だけでもゆっくり時間をかけて楽しめます。
眺めるほどに禅の世界に浸れる方丈庭園
しかし美しい庭とは別に、この建仁寺には壮大なプロジェクトが絡んでいる美しい美術品を鑑賞することができるのです。
建仁寺の方丈の障壁画には、なかなかユニークなタッチの雲龍図が見られます。これは安土桃山時代から江戸初期の作品のようで、天海の雲の間から現れる龍の姿が描かれています。この表情がちょっとイラストのようで可愛らしい感じがしませんか?
上目遣いの可愛らしい表情をした龍が描かれている
そして国宝にも認定されているのが江戸時代初期の画家、俵屋宗達の最高傑作『風神雷神図』。金地の屏風に天空を翔る風神と雷神の姿が躍動感いっぱいに描かれています。
こちらも戯けたような風神と雷神の表情がとても印象的。圧巻の金屏風にはしばし正座で向き合って隅から隅まで眺めてみるとよいでしょう。
国宝「風神雷神図」(綴プロジェクト)
建仁寺の方丈は、1934年に発生した台風で倒壊。その際「雲龍図」も「風神雷神図」も別の場所に避難されて奇跡的に救われたのですが、実は現在も建仁寺には戻っていません。「雲龍図」の実物は京都国立博物館に、そして「風神雷神図」の実物は東京国立博物館に寄託されました。
...となると?現在建仁寺に展示されているものは....?
実はこれが2008年にスタートした「綴プロジェクト」。文化財の保存を目的とした活動で、キャノンの最新技術で高精細複製品を制作するという、なんとも壮大で素晴らしい文化財未来継承プロジェクトなのでした。オリジナルの作品への負担を考えながら、多分割撮影した高解像度データを組み合わせて再現するとは驚きの技術。教育や研究の現場でも活用されているようです。
アートに庭....と見どころたくさんの建仁寺。季節を変えてまた訪れたい京都の名所の一つです。
建仁寺
京都市東山区大和大路四条下ル小松町
TEL : 075-561-6363
10:00~17:00