先日、上野動物園で誕生した双子のジャイアントパンダの名前が「シャオシャオ(暁暁)」と「レイレイ(蕾蕾)」に決まったというニュースを見た方も多いのではないでしょうか。日本で生まれたパンダがすくすく育っている様子は、見ていると明るい気分になり、ほほえましいですね。ところで、双子パンダの両親であるリーリー(力力)とシンシン(真真)は、日本生まれではなく、中国から借り入れているパンダですが、そのふるさとはどこでしょうか?
300万年前には今とほぼ同じ姿をしていたというジャイアントパンダ
(Photo by Theodor Lundqvist on Unsplash)
中国のシンボルのようなジャイアントパンダですが、どこにでもいるわけではありません。中国南西部にあたる四川省、陜西省、甘粛省の標高1,300~3,600mの山岳地帯がパンダの生息地です。なかでも四川省にある7つの自然保護区と9つの自然公園を含む総面積9,245㎢は、「四川省のジャイアントパンダ保護区」として2006年に世界自然遺産に登録されています。ここにジャイアントパンダの30%以上、約500頭以上が生息しています。登録地域の中心となる臥龍自然保護区には、1983年にパンダの繁殖や環境保全に取り組むために設立された「臥龍パンダ保護研究センター」があり、ここで双子パンダの両親リーリーとシンシンも生まれています。
森林伐採や密猟などで、数を減らしてきたパンダですが、保護活動や人工繁殖の成果が出て、近年は回復傾向が続いています。2016年には、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリスト(絶滅のおそれのある世界の野生生物のリスト)において、絶滅危惧種から危急種(すぐに絶滅する恐れはないが、絶滅の危険性が高い)に引き下げられました。2021年の中国政府の発表によると野生で1800頭以上、人間の飼育下にあるものも約600頭いるそうです。しかし、まだまだ少ないように感じます。今後も保護活動や環境保全に取り組む姿勢を続ける必要があるでしょう。
成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地のパンダ。成都は四川省の省都。
(Photo by Yu Wang on Unsplash)
四川省には臥龍パンダ保護研究センターのほかにも「成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地」など、かわいいパンダに会える施設がいくつかあり、エサやり体験や写真撮影などが楽しめますが、今はまだ海外旅行は難しそうです。上野動物園では来年1月を目途に双子パンダの公開を予定しているとのこと。まずは東京のパンダに会いに行きたいですね。