前回、ポルトガルの世界遺産を取り上げましたが、今回は、ポルトガルにゆかりの世界遺産「マカオ歴史地区」のご紹介です。マカオは、中国が明と呼ばれていた時代に、ポルトガルのアジア貿易の拠点となった港町。19世紀末、清の時代にはポルトガル領となりましたが、1999年に中国に返還されました。
約450年にもわたって、ポルトガルと中国、東西の2つの文化が交わった歴史を持つマカオには、ポルトガル風の建物や中国の街並みが混在。2005年には、教会と中国寺院などの22の建物と8つの広場、合わせて30の構成資産からなる「マカオ歴史地区」として世界遺産に登録されました。
私は2018年12月にを訪れたのですが、クリスマス前の週末でたいへん混雑しており、また時間もあまり取ることができなかったので、今回巡ることができたのは、わずかな場所のみとなりましたが、ご紹介します。
大聖堂(カテドラル)
こちらはカトリックマカオ教区の中心となる教会で、現在も日曜ミサには多くの市民が集まります。かつてマカオ総督が新任の際には、この教会でセレモニーが行われていました。
当初17世紀に造られた建物は台風で損壊。現在のものは19世紀半ばに再建されたものとなっています。
静謐な空気に包まれた内部は、ステンドグラスも美しい空間です。
カテドラル広場
大聖堂の前の広場は世界遺産の構成資産のひとつです。市民や観光客でにぎわう広場の中央には、十字架も見られます。
広場の周りにはポルトガルの統治時代を思わせる建物が数多くあり、ここだけ切り取るとヨーロッパに来たかのようです。
聖ドミニコ教会
クリームイエローの外観がかわいい印象を受けるのが聖ドミニコ教会です。4階建ての左右対称の建物で、「バラの聖母」と呼ばれるマリア像を祭ることから「バラの教会」と呼ばれることも。1997年に修復され、教会奥の鐘楼にはマカオカトリックの重要な文化財約300点を所蔵・展示する「宗教美術館」が併設されています。
内部は中央の身廊と側廊のあるバシリカ形式となっています。
聖ドミニコ広場
聖ドミニコ教会の前にある広場で、レストランやショップに囲まれ、観光客でいっぱいでした。
聖ポール天主堂跡
世界遺産としてだけでなく、マカオを代表するシンボルとして知られる「聖ポール天主堂跡」。1602年にポルトガルのイエズス会によって建てられ、東洋一壮大で美しい教会と謳われたこともありましたが、2度の火災を経て、現在残っているのはファサード(正面の壁)と階段のみとなっています。それでも階段の上にそびえる姿は威風堂々としたものがあります。
ファザードに施された緻密な彫刻が見どころとなっていますが、この建設には、徳川家康の禁教令により日本を追われてマカオに渡ったキリシタンが協力したと言われています。その証拠に、ファサードの3層目には菊のモチーフが彫られているそうです。また2層目には日本でもおなじみのフランシスコ・ザビエルの像も見られます。
しかし、今回、私が訪れた時はテレビ中継なども入る、大きなイベントを開催中のようで、ファサードに近づくことができませんでした。再度マカオを訪れた時には、ファサードをよくよく観察したいと思います。
マカオの世界遺産が集まっているのは、マカオ半島のわずか2km四方。30ヶ所回るだけなら1日でも、じっくり見学しながらでも2日あれば十分です。
そして、街歩きのお伴におすすめなのは、ポルトガル由来のスイーツ「エッグタルト」! サクサクのパイ生地に卵、牛乳、砂糖で作ったとろーりとしたクリームが相性抜群で大人気! ぜひ焼き立てを買って、味わってみてください。
行列のできる人気店「マーガレット カフェ・エ・ナタ」の
エッグタルト1個HK$10(約140円/2018年12月)
■中国人民共和国・2005年登録・文化遺産
■マカオ歴史地区
(Historic Centre of Macao)
(写真・文/山本 厚子)