コルドバ、グラナダに続き、バルセロナの世界遺産をご紹介します。
バルセロナの世界遺産といえば、何といってもサグラダ・ファミリア聖堂をはじめとした「アントニ・ガウディの作品群」が有名ですが、今回は、ガウディと同時代の建築家リュイス・ドメネク・イ・モンタネールによる「バルセロナのカタルーニャ音楽堂とサン・パウ病院」へとご案内します。
カタルーニャの守護聖人サン・ジョルディの
彫刻が印象的なカタルーニャ音楽堂
ガウディより2歳年上で、ガウディに講義したこともあるというモンタネールは、ガウディと同様にモデルニスモを代表する建築家です。モデルニスモとは、19世紀末から20世紀初頭にフランスで起こったアールヌーヴォーに類似の、スペインで興った新しい芸術様式のこと。アールヌーヴォーといえば、花や植物などのモチーフ、曲線を組み合わせた装飾、鉄やガラスといった当時の新素材の利用などが特徴ですが、カタルーニャのモデルニスモは、そこにさらにムデハル様式を取り込んだのです。ムデハル様式とはレコンキスタ後、イスラム教とキリスト教の建築様式が融合したもので、モデルニスモとはスペインならではの様式といえるでしょう。
そんなモデルニスモを代表するモンタネールの最高傑作といわれるが「カタルーニャ音楽堂」です。
現在もコンサートホールとして使われている
美しい彫刻や華やかなステンドグラスで飾られた内部
何よりも目を惹くのは天井のステンドグラス。
本当に美しく、外からの光を集めてキラキラと輝く
モザイクタイルで彩られる柱。
過剰にも思える装飾が特徴となっている
ステージの奥の壁には女神が!
女神たちは楽器を手にしていて、今にも音が聴こえてきそう!
私はガイドツアーで内部を見学したのですが、次回訪れるチャンスがあれば、ぜひここで音楽を聴いてみたいと思いました。
そして、カタルーニャ音楽堂とともに世界遺産に登録されたのが、モンタネール最大のプロジェクト、「サン・パウ病院」です。1902年に着工し、モンタネールが完成を待たずになくなると、彼の息子によって引き継がれ、1930年に完成しました。広大な敷地に48棟の建物が立ち並び、なんと2009年まで病院として使われていました。
サン・パウ病院の正面玄関
建物を支えるための大きな柱
手術室がある建物
ガラス張りのホールは手術室だった場所
モスクを思わせるような建物の内部
廊下の天井や窓ガラスの上部にも
繊細な装飾が施されている
中庭から見た景色。たくさんの建物が立ち並ぶ
一見、病院とは思えない装飾の施された建物ですが、モンタネールは「芸術には人を癒す力がある」と考えていたそうです。
バルセロナを訪れたなら、ガウディだけでなく、他のモデルニスモ建築もぜひ訪ねてみてくださいね。
■スペイン・1997年登録/2008年範囲拡大・文化遺産
■バルセロナのカタルーニャ音楽堂とサン・パウ病院
(Palau de la Música Catalana and Hospital de Sant Pau, Barcelona)
(文・山本 厚子)