【古墳プロフィール】
名 称:塚山古墳群
古墳の形:前方後円墳3基、円墳1基
時 代:5世紀後半~6世紀初頭
整備状況:県指定史跡として整備
U R L:宇都宮の歴史と文化財<塚山古墳> https://x.gd/eluBS
「こんなにカラフルな古墳があるなんて!」
初めて塚山古墳の写真を見た時、ドウダンツツジに見事に彩られた姿にとても驚きました。
約1万株のツツジが植えられており、5月上旬が見ごろ
(提供:(一社)宇都宮観光コンベンション協会)
古墳の復元には様々なスタイルがありますが、ここ栃木県宇都宮市にある塚山古墳は、ドウダンツツジやサツキ、マメツゲ、芝が植えられ、木道が整備された独特の景観を誇ることで知られます。赤、ピンク、白、緑…、初夏の塚山古墳は、まるでお花畑。
古墳に興味のない人も、ツツジを楽しみに足を運ぶきっかけになりそう
(提供:(一社)宇都宮観光コンベンション協会)
とはいえ、ここは歴とした古代の王が眠る古墳です。塚山古墳を中心とした塚山古墳群は、5世紀後半から6世紀初頭にかけて、この地域を支配した一族の墓と考えられています。元々は、少なくとも10基からなる古墳群でしたが、現在は主墳である塚山古墳のほか、塚山西古墳、塚山南古墳、塚山6号墳の4基が現存しています。
秋の塚山古墳。野草が生い茂り、よくある見慣れた古墳の姿に。こんな様子の時もある
最初に造られたと考えられる塚山古墳は全長98mの前方後円墳。1989年から行われた発掘調査により、三段築成で前方部中段テラス面と後円部には葺石が葺かれ、くびれ部の南側には造り出しが確認されました。また、前方部が剣先のように尖った特殊な形をしており、近畿地方にある大王墓と類似しており、その関係性が伺えます。
一方、塚山西古墳と塚山南古墳は、前方部がとても小さく、その形から帆立貝形前方後円墳と呼ばれています。
全長67mの塚山西古墳。周溝の中からは土器や埴輪が多数出土している
全長58mの塚山南古墳。大甕や高坏形器台など須恵器の優品を出土したことで知られる
古墳の周辺からは、円筒埴輪や鳥型埴輪、土師器、須恵器、玉類などのほか、5基の埴輪棺が見つかっています。埴輪棺とは、円筒埴輪を転用し、ふたつ繋げて棺にしたものをいいます。塚山古墳南側の畑の中で見つかった埴輪棺には、雌と雄のシカの絵が交互に描かれていて、どんな人が、何のために描いたのか、想像が膨らみます。
もうひとつ、この古墳には特筆すべき特徴があります。
それは古墳の下を道路が通っていること。古代の王様が眠るその下を、現代の車が行き来する不思議さ。全国にはいくつか、こうした遺跡の下を潜る道路がありますが、技術が進化したことで、遺跡を壊さずに共存する方法が生まれたんですね。その名も「塚山古墳アンダーパス」。ありがたい気持ちで、時折頭上に向かって手を合わせながら、古墳の下を通って帰路につきました。
★古墳日和ポイント★
国道沿いに飲食店がありますがコンビニはないので、古墳でピクニックしたい場合は、事前に調達してから行きましょう。