いよいよ都道府県をまたいでの旅が解禁されました。さあ、どこへ行こうと盛り上がり気持ちと、もう少し自粛しようかしらと迷う気持ちがいったりきたり。わくわくする次の旅への想いを心に貯めて、あたためておく「旅心貯金」。もう少し貯金してもいいし、パッと使ってしまってもいい。旅恋厳選、旅心を誘う記事をお届けします!#旅心貯金 #旅恋
国内外の美味を求めて旅するフードライター・江藤詩文さんがご紹介します。
第24回 旅心は屋久島のエシカルで優美なリゾートへ(鹿児島県)
日本で初めてユネスコ世界自然遺産に登録された屋久島。縄文杉に代表されるユニークな植生や神秘的な雰囲気から、秘境のイメージがありますよね。
ところが、実は空からも海からもアクセスできて、意外と行きやすい。飛行機なら大阪・福岡・鹿児島からひとっ飛び。船なら鹿児島と種子島から、フェリーと高速船が運航しています。スケジュールにゆとりがあれば、種子島と組み合わせてアイランドホッピングも楽しそう。
ジブリ映画「もののけ姫」の舞台になったとされる白谷雲水峡
わたしはこれまで2回、屋久島を訪れました。初めての屋久島はなんと宮之浦岳縦走。それまで高尾山(ケーブルカー利用)しか登ったことがないのに、です。山に詳しい方なら、どれだけ無謀かおわかりいただけるかと…。縄文杉、白谷雲水峡、ウィルソン株といった屋久島ならではの絶景を見られたけれど、虫のいる山小屋でお風呂にも入れずに眠り、乾燥米を食べ、時間に追われて半泣きで歩いた記憶しかありません。
干潮の前後2時間だけ入浴できる「平内海中温泉」で国際交流
残りの人生、いつか屋久島に来ることはあるのだろうか。そう思っていましたが、2度めの機会は仕事でもたらされました。撮影リストを握りしめ、日没を気にしながら車を飛ばしたくても、そこは屋久島。ヤクザルやヤクシカに道をふさがれて、本来ならほっこり心和む風景のはずですが、カメラマンとふたりイライラしながら先を急いだことを思い出します。
サルが寝ていたりシカが飛び出したりすることもあるので安全運転で
ほんとうは屋久島に行ったら、滞在したいホテルがあったのです。それが屋久島の自然に融合したエシカルなホテル&スパ「sankara(サンカラ)」。
屋久島で最高級のラグジュアリーリゾートです(写真提供:サンカラ)
今年10周年を迎えたこのリゾートは、地産地消の島食材をファインダイニングの技術を生かしてモダンに構築するという、現在の世界的ムーブメントを日本でいち早く取り入れた先駆けのひとつです。
レストラン「okas(オーカス)」では
フレンチのフルコースを味わえる(写真提供:サンカラ)
食いしんぼにとって、屋久島は食材もお酒も揃っている魅力的なデスティネーション。次回は縄文杉より首折れサバ、ウィルソン株より愛子(焼酎)、そしてサンカラで島キュイジーヌを味わいたい。
鮮度抜群のゴマサバ、通称「首折れサバ」は刺し身で食べると絶品
サンカラが屋久島と共に歩んだこの10年。振り返ると、わたしは毎月1回以上のペースで海外に出かけていました。これからはもっとスローに、旅先での時間を大切にしたい。サルやシカをいつまででも眺めていられる島時間を慈しむように。
海と空が溶け合ったマジックアワーには、
プールサイドでカクテルをと妄想中
いつかまた屋久島に行く日が来るでしょうか。いまサンカラでは「クラフトシリーズ」として料理やパンを全国に発送しているので、まずはお取り寄せから島の味を楽しんでみようと思います。
https://www.sankarahotel-spa.com/10th/
取材・文/江藤詩文