あなたも「近代化遺産」萌え! by 関屋淳子

旅心を貯金しよう!~Keep on traveling,Stay safe~ 第19回 ああ、のんびり歩きたい水郷とヴォーリズの町・近江八幡 (滋賀県)

いよいよ都道府県をまたいでの旅が解禁されました。さあ、どこへ行こうと盛り上がる気持ちと、もう少し自粛しようかしらと迷う気持ちがいったりきたり。わくわくする次の旅への想いを心に貯めて、あたためておく「旅心貯金」。もう少し貯金してもいいし、パッと使ってしまってもいい。旅恋厳選、旅心を誘う記事をお届けします!#旅心貯金 #旅恋

19回 ああ、のんびり歩きたい水郷とヴォーリズの町・近江八幡 (滋賀県)

琵琶湖東岸に位置する滋賀県近江八幡市。駅前からバスで10分ほど行くと、美しい堀割の八幡堀と古い商家が並ぶ町並みが広がります。ここは豊臣秀吉の甥で養子の秀次が整備した城下町で、築城とともに開削された堀は琵琶湖とつながれて水運として利用され、近江商人の繁栄の礎にもなりました。

堀には石橋が架かり、小さな舟が係留され、思わず「時代劇で見たことがある!」と。ロケ地としても有名なこの景観は地域の方々の堀の再生事業の賜物で、ゆったりとした水郷巡りの遊覧船も走ります。

時代劇でもおなじみのこの景色!


水郷巡りの遊覧船も

 

国の伝統的建造物群保存地区となっている古い町並みには近江商人の商家が連なりますが、その中に異国情緒ある洋風建築も数多く残されています。これらの建築の設計を手掛けたのが、明治38年に英語教師としてアメリカから来日したウィリアム・メレル・ヴォーリズです。ヴォーリズの建造物は全国に点在しますが、ここ近江八幡にも現存し、多くは実際に住まいとして用いられています。その特徴は「様式のない建築」と言われ、コロニアルスタイルや和洋折衷の木造住宅など多彩。毎年春と秋に特別公開があり、今春は残念ながら中止になってしまいましたが、この秋はぜひ! もちろん蕩けるような近江牛や琵琶湖の魚料理もぜひ!

記念すべき第1号建築、アンドリュース記念館

 

ヴォーリズの偉業は建築にとどまりません。その活動分野はキリスト教の伝道や教育、医療、医薬品事業など。なかでもご存知の「メンソレータム」の輸入会社・近江兄弟社を忘れることはできません。

懐かしいパッケージも。近江兄弟社メンターム資料館で。

販売権を譲渡されたウォーリズはその利益の大半を伝道活動や社会教育活動に投じ、私有財産をほとんど持たなかったといいます。83歳の生涯を終えるまで近江八幡に留まり、日本人の奥様と仲睦まじく、私利私欲を追わず清廉に質素に暮らしたのです。

ヴォーリズ記念館


若き日のウォーリズと妻の一柳満喜子

いつか彼の生涯が朝ドラになることを私はひそかに願っております。

近江八幡観光物産協会

 

取材・文/関屋淳子

Tag

このページをSHAREする

最新記事一覧へ