緊急事態宣言が解除となりましたが、都道府県をまたいでの旅に出ることはまだもう少し、自粛したいものです。そんな今だからこそ、「旅心貯金」をしてみてはいかがでしょうか。わくわくする次の旅への想いを心に貯めて、あたためておく。旅恋厳選、旅心を誘う記事を緊急企画しました!#旅心貯金 #旅恋
国内外の美味を求めて旅するフードライター・江藤詩文さんがご紹介します。
第16回 祈りの島・上五島で心と胃袋の平安を満たす(長崎県)
なんて穏やかなのだろう。上五島を訪れると、そこに流れる空気がはっきりと変わったことに気が付きました。長崎港からジェットフォイルで1時間15分、長く伸びる五島列島は北東部を上五島、福江島がある南西部を下五島と呼びます。
ユネスコ世界文化遺産「長崎と天草地方の
潜伏キリシタン関連遺産」のひとつ、頭ヶ島天主堂
ご存じのように、信仰の自由を守るためにこの島に流れ着いた人々は、いまも祈りと共に生活しています。くらしと共にある教会群を見せていただき、潮風を感じつつ、島を取り囲む透明な海を眺めていると、月並みな表現ですが心が洗われるよう…。
美しい海。この海水を使った「矢堅目の塩本舗」の
天然海塩はミネラルたっぷり
とはいえ現世を生きるわたしたち。心の平安も大切ですが、胃袋の平安も大事!ですよね(わたしだけ?)。海と共にある上五島の食卓は、海の恵みに溢れているのです。
椿油を使って手延べした細いうどんを
熱々のあごだしで味わう「地獄炊き」
水揚げされるのは、主にムラサキウニとアカウニ。
やや甘めのタレによく合います
名物のひとつは、「アゴ」と呼ばれる焼いたトビウオ。これで取った出汁は絶品で、あごが外れるほどおいしいから「アゴ」と呼ばれるようになったという説があるほど。そんなアゴだしで味わうのは、島名物の五島うどん。夏にかけては、甘味が強くとろりととろけるウニが旬を迎えます。
伝統食として試してみたいのはクジラ。周辺の海は、かつてはクジラが多く、地元の人にとって身近な食材だったとか。
クジラの部位食べ比べ。
五島灘沖で養殖されている「金太郎マグロ」もぜひ
離島の旅は楽しく、ローカルフードや移住者がやっているカジュアルなカフェは充実しているけれど、ワインがちょっとね。そんな“お酒至上主義”なわたしが上五島推しになった理由は、リゾートホテル「マルゲリータ」があるから。メインダイニング「海と空の十字路」では、信頼できる高い技術で島の食材を調理した「島イタリアン」と、それに合わせて選ばれたワインのマリアージュを楽しめます。
「海と空の十字路」の料理は野菜たっぷり。
気取らずに食べられるカジュアルな料理が揃っています
気軽な民宿や旅館が多い上五島で
唯一の本格リゾート「マルゲリータ」
2019年3月には、姉妹ホテル「マルゲリータ奈良尾」がオープン。いつか訪れる日が来たら、島の美味を心ゆくまで堪能したいです。
取材・文/江藤詩文