オーストラリア2都市物語 (後編) ソーシャルグッドな美食都市で美味と美酒を満喫 (オーストラリア・メルボルン)

ビクトリア州の州都・メルボルンはオーストラリアきっての美食都市。食文化の体験を目的に旅をするガストロノミーツーリズムのデスティネーションとして、世界のフーディーズから支持されています。

建造物・自然・人々の暮らしがシームレスに繋がる美しい都市メルボルン

そのムーブメントをリードしてきたのが、こちらでご紹介したリトリートダイニング「Brae」。カントリーサイドまで足を延ばすならドライブが必須ですが、実はメルボルン市内にも、世界の最先端をキャッチした魅力的なダイニングやカフェ・バーがひしめいています。

メルボルンに行ったら見逃せない4つのランドマーク。左上から時計回りに、フリンダースストリート駅、ヤラ川、ビクトリア州立図書館、Hosier Laneのストリートアート

直航便・(カンタス航空  が成田=メルボルン線を運航)があり、公共交通機関の利便性が高く、治安が安定していて、街並みは清潔。道路も整備されているメルボルンは、大人の美食旅行、とりわけ大人の女性のひとり旅にぴったり。今回はわたしが食べ歩いた中から、いま行っておきたいとっておきのアドレスを公開します。

トラムにはフリーゾン(無料乗車区間)がありちょっとした移動もストレスがない

 

世界のファインダイニング by 江藤詩文  を愛読してくださっている方なら、絶対に刺さるのは「IDES 」。ニュージーランドから移住したPeter Cunnさん率いるクールなファインダイニングで、パシフィックリム(環太平洋地域)の繋がりをコンセプトに、アジアとオーストラリアの味覚を融合しながら、キレのいいイノベーティブな料理を提供しています。

店内を周回するプレゼンテーションも今っぽい

リラックスしてくつろぎたいなら「Embla 」。ビクトリア州のものを中心にオーストラリアのワインが揃ったワインバーです。ワインに合うフードは、飾らないプレゼンテーションながら、麹を使うなど小技を効かせた新鮮な味わい。シェフやフードジャーナリストの社交場という一面もあり、日本の有名シェフもここで研修しています。

めずらしいナチュラルワインをグラスでオーダーもOK

ビクトリア州の食への理解を深めたいなら「Victoria by Farmer’s Daughters 」が最適解。ビクトリア州のプロダクツだけを使って料理とドリンクをサービスするという、究極の地産地消に挑戦しています。とはいえコンセプト先行ではなく、肉も魚も野菜もワインも最高品質のものが身近にある、自然の恵みへの感謝を表現しているとか。

アラカルトの他ひとり客にも嬉しい少量のセットメニューもあり

街がこじんまりとして歩きやすく、治安のいいメルボルンでは、女性ひとり旅でもナイトライフを楽しめます。また、オーストラリアはワイン造りが文化として根付いているため、アルコールへの法的規制が厳しくなく、各地域でワインをはじめクラフトビールやクラフト蒸留酒を見つけることもできます。

オーストラリアには固有の植物も多く、世界中でここにしかないフレーバーのリキュールやカクテルなどをつくることができるため、クリエイティビティに溢れたバーテンダーが、世界各地から集結しています。

そんなメルボルンのバーシーンのカリスマが「Above Board 」を率いるHayden Lambertさん。グラフィティアートがびっしり描かれた脇道から、よその店を通り抜けてやっと辿り着く隠れ家で、”Bad Banter(冗談を言ってからかうこと)”なカクテルと会話を楽しめます。

味噌や梅干しを使ったユニークなカクテルも

音楽と共に街のカルチャーを感じたいなら「Caretaker’s Cottage 」一択。カクテル担当、サービス担当のほかDJとして活躍する音楽担当の3人のユニットで、異なるプログラムのパーティやイベントを毎週のように開催しています。

The World’s 50 Best Bars 2024 でオセアニア最高位の21位にランクイン

そしてメルボルンといえば欠かせないのがカフェ文化。個人経営の個性的なカフェなど、市内には2000軒以上のカフェがあると言われているそうです。メルボルンっ子なら誰でも、サードプレイスとしてお気に入りのカフェがあるとか。

わたしがサードプレイスにしたいのは「Abacus Bar & Kitchen 」。”スモールビジネスを営むノマドワーカーでヘルスコンシャス”というゲストに好まれる、ローカルの野菜やハーブを使ったメニューが充実しています。

食べ応えのあるメニューはブランチにちょうどいい

質の高いコーヒーを味わえるのは「Higher Ground 」。カフェ好きの間では世界的に知られた有名店です。世界のコンテストなどでも活躍するバリスタによるコーヒーを、テイスティングセットで飲み比べられるのも楽しい。

とりわけフラットホワイトが秀逸

レストランとしてカフェとしてバーとして、まるでオールデイダイニングのようについ足が向くのは「Gimlet at Cavendish House 」。店名に掲げたギムレットが名物で、バーカウンターにちょっと立ち寄り、キンキンに冷えたギムレットとタスマニア産の牡蠣をさっと味わってディナーへ。大人って最高だ!

ランチ飲みスポットとしても押さえておきたい

オーストラリアが国として進めてきたマルチカルチャリズム(多文化主義)。国籍も性別も年齢も問わず、多彩な文化的背景を持つ人々を受け入れてきたメルボルンは、グローバル都市として成熟しています。これをフードシーンの視点から見ると、もういいことしかないわけで。

3月21日〜30日には、オーストラリア最大のフードイベント「メルボルン フード&ワイン フェスティバル」が開催されます。日本からはみなさんおなじみ「SEZANNE」のDaniel Calvertさんと「Florilege」の川手寛康さんが参加予定。

フーディーズに過ごしやすい季節を迎えるメルボルン。今が行き時&食べ時です。

 

取材協力/Visit Victoria(ビクトリア州政府観光局) 

取材・文/江藤詩文(shifumy)

 

 

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