旅の出発地であり、旅の終着地でもある駅。「上野発の夜行列車~♪」や、クリスマスに毎年流れる「雨は夜更け過ぎに~♪」のCMロケ地となったように、駅は人間模様が垣間見えるステージでもありますよね。
廃線となったり、無人駅も増えつつありますが、今回は観光の目的にもなりそうな駅をご紹介します。
静岡市は、全国に出荷されるおよそ8割のプラモデルを生産する「ホビーの街」「プラモデルのまち」です。日本有数の模型メーカーの本社や工場があったり、昭和34年に始まり、今では世界中のファンを集める「静岡ホビーショー」も毎年開催されます。
その魅力を発信するため「静岡市プラモデル化計画」と称して設置されたのが、「プラモニュメント」です。プラモデルとモニュメントをかけあわせた造語で、2025年2月現在、静岡駅や市内各所に13箇所14基が設置されています。
駅前の「模型の世界首都 静岡」(左)
駅構内にあるプラモニュメントは実際に公衆電話として使える(右)
2023年の大河ドラマ『どうする家康』を機に駿府城公園に設置されたプラモニュメントは、若き日の徳川家康が身に着けていたとされる甲冑「金陀美具足(きんだみぐそく)」がモチーフです。静岡市の久能山東照宮の博物館には、金色に輝く甲冑の実物が展示されています。
上野駅から特急ひたちで約1時間30分、首都圏からのアクセスもとても良いのが日立駅です。2023年の豪雨で被害に遭いましたが、現在はまた美しい姿を見せてくれます。
駅舎を設計したのは、金沢21世紀美術館や、フランスのルーヴル美術館の別館「ルーヴル・ランス」の設計で知られるSANAA(サナア)のおひとりであり、日立出身の世界的建築家・妹島和世氏。
全面ガラス張りというインパクトのある建物で、2014年には鉄道の国際デザインコンペティション「ブルネル賞駅舎部門」で優秀賞を受賞した”世界で最も美しい駅舎”です。
日立駅は海岸沿いに位置しており、駅構内の自由通路からは太平洋が一望! そして構内のカフェ&レストランではまるで海に浮いているような感覚になりながら、カフェタイムを楽しめます。
最後は、高尾山や成田空港、特急で松本や甲府へも行ける世界一の乗降客数を誇る新宿駅です。現在、100年に一度といわれる新宿駅の再開発に伴って西口の解体が進み、見慣れた景色がすっかり変わってしまいました。
小田急百貨店新宿店本館や西口地下ロータリーを手がけた坂倉準三(1901-1969)は、世界遺産の上野の国立西洋美術館を設計したル・コルビュジエに師事した建築家で、日本を代表する建築家のひとり。新宿駅西口広場は、地下にありながらも“行き交う人々に太陽の光と、二重螺旋のスロープで広がりのある都市的な景観”を目指して設計されたそうです。
再開発の完成は2040年代とまだまだ先のことなので、移り変わる新宿駅を定点観測するのも楽しそうです。
2024年6月。小田急百貨店本館が解体され、ルミネが見えるようになった
新宿駅のようにもう二度と同じ姿を見られない一方、以前旅恋アンバサダーがご紹介した福岡県の門司港駅や東京駅のように、創建当時の姿に復原される駅もあります。改札を通り過ぎてすぐ観光へ出発するのではなく、駅を目的に旅をしてみるのもいいですよ。