金沢城、兼六園、武家屋敷、金沢21世紀美術館などなど見どころ盛りだくさんな金沢ですが、街なかからほんの少し足を延ばして海を一望する記念館を訪れてみませんか? 大型客船も停泊する金沢港クルーズターミナルから、醤油蔵を使ったカフェやギャラリー、ショップなどのある大野地区を抜けてぷらぷら歩いて約30分。からくり技術を用いた作品を展示する「大野からくり記念館」へ向かいます。
人形回し、郷土玩具、人形浄瑠璃、お祭りの山車にも使われるからくり。電力を使わずして一体どんな仕掛けで動くのか考えたことありますか? 「大野からくり記念館」では、幕末に活躍した発明家であり科学技術者・大野弁吉が遺した数多くのからくり技術を見られます。
大野からくり記念館を目の前にすると、特徴的な建物にまず興味を惹かれます。日本海に突き出すように建てられたこの建物は、皇居・吹上御苑の新御所や東京の世田谷美術館などを設計した建築家・内井昭蔵によるもの。波を打つようななめらかな外観は、江戸時代の北前船をイメージしているそう。回廊でつながれた内部も放射線状に配置された梁が幾重にも続き、木をたっぷり使った屋根や楕円形の構造も一体となっており、ここにからくりの世界が広がっています。
まるでからくり仕掛けのような屋根も見どころのひとつ
今度は展示物を見てみましょう。館内には大野弁吉に関する作品のほか、セリや回り舞台の技術を使った舞台のからくり、レンズ越しに動く絵を覗けるのぞきからくり、娘の顔から口が裂け角が出て鬼に変わる、人形浄瑠璃に使われる「日高川入相桜(ひだかがわ いりあいざくら)」の清姫のカシラなど、江戸から続く日本の技術がふんだんに使われた「からくり作品」など約100点を展示。人形の中のゼンマイや歯車が動いたり、制御されたりと、仕掛けが動く様子を見られる展示もあります。実際に動かせるものもありますので、ぜひ体験してみてくださいね。
特に子どもにも大人にも人気なのが、からくりパズルやからくり箱です。頭のかた~い私はこういったたぐいはとても苦手なのですが、知恵の輪のようにどうやったら外れる?どう動かしたらハマる?など、謎解きに時間を忘れて夢中になってしまいます。
からくりパズル
からくりパズルに夢中になって、見逃してはいけないものもあります! それは、エントランスゾーンで見られる茶運び人形の実演です。からくり人形の職人さんが全国的に減っている現在、一から人形を製作するのはもちろん、故障時に修理を出すのもなかなか難しいもの。でも、こちらでは、とても貴重なからくり人形が実際に動く姿を目の前で見られるのです。
茶運び人形や段返り人形が、電池も電力も使わずになんでこんなにスムーズに動くのか? 人形が動く度に観客から感嘆の声があがり、創意工夫で技術を磨いていった江戸の職人たちの創作意欲の高さに驚きます。開催前には館内案内が流れるので、聞き逃しなく。
石川県金沢港大野 からくり記念館 https://www.ohno-karakuri.jp/
◇おひとり様ポイント◇
金沢港クルーズターミナルには金沢市公共シェアサイクルスポットがあるので、天気のいい日は大野からくり記念館や大野地区へのサイクリングが気持ちいいですよ!