「デイヴィッド・ホックニー展」2023年11月5日(日)まで開催中
自分が86歳になった時、いったい何をしているだろう。体力が衰え、老眼でよく見えない日々を送っているかもしれない。でも、デイヴィッド・ホックニーは違いました。86歳になった現在でも、iPadをも使って全長90メートルにも及ぶ新作を精力的に作り上げています。
現代で最も革新的な画家のひとりとも称されるデイヴィッド・ホックニーの大規模個展が、東京都現代美術館で2023年11月5日(日)まで開催中です。ホックニーは1937年、イギリス中部の工業都市ブラッドフォードで生まれました。ロンドンの王立美術学校を卒業後、「ポップ・アートの旗手」と評されデビューを華々しく飾りました。そして、日本を含めて世界各地へ旅しながら制作を続け、現在は主にフランスのノルマンディーで制作をしています。
「デイヴィッド・ホックニー展」展示風景
《ウォーター近郊の大きな木々またはポスト写真時代の戸外制作》
2007年 テート蔵 ©︎ David Hockney
全8章からなる今展で、最初に私たちを迎えるのは、第1章のラッパスイセンを描いた2枚の絵。ヨーロッパでは春の到来を告げる黄色のラッパスイセンの絵は、2020年3月16日にオンライン上で公開されたもの。そう、当時は先の見えないパンデミックにより世界が混乱と不安に満ちていた時でした。「いつか明るい春が来る」という作家のメッセージが込められた作品なのです。
「デイヴィッド・ホックニー展」展示風景
左:《花瓶と花》1969年 東京都現代美術館
右:《No.118》2020年3月16日「春の到来 ノルマンディー 2020年」より
2020 作家蔵 ©︎ David Hockney
次章以降も、初期から新作まで、時系列やテーマごとに絵画、ドローイング、版画など60年以上に及ぶ画業を辿る多彩な作品が展示され、日本初公開の作品も多く並びます。
そして70代でiPadを手に入れると、彼はまた新たな美しい世界を生み出しました。全長90mの《ノルマンディーの12か月》は新しいテクノロジーで描かれているとはいえ、描く対象は自然や季節の移ろい。素朴さにあふれる表現に、見ているこちらの心も躍ります。
「デイヴィッド・ホックニー展」展示風景より
《ノルマンディーの12か月》2020-21年 作家蔵 ©︎David Hockney
『デイヴィッド・ホックニー展』
https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/hockney/
デイヴィッド・ホックニー展を開催中の東京都現代美術館は1995年に開館。緑豊かな木場公園にあり、コレクションは約5,700点を超えます。
特に目を引かれるのは、幅10m、天井高8m、全長140m!ものエントランス。その広さに圧倒されますが、ガラス張りなので明るい自然光に癒されます。
2016年のリニューアルの際、レストラン「100本のスプーン」、カフェ&ラウンジ「二階のサンドイッチ」、ミュージアムショップなどの施設が誕生。中庭や屋外展示場など、屋内外にもさり気なくアート作品が展示されており、これら多くの場所は無料で入ることができます。
「二階のサンドイッチ」の過去展のメニューより
◇おひとり様ポイント◇
東京都現代美術館はおしゃれエリアの清澄白河にあり、アートやカルチャー好きの方にぜひ訪れていただきたい楽しい美術館です。カフェはカウンター席もあるので一人でも利用しやすいですよ。