東京の下町ともいえる蔵前にある、2020年7月にオープンしたアートストレージホテル「KAIKA 東京 by THE SHARE HOTELS」。アート好きとして興味が湧き、昨年12月にプライベートで泊まってきました。
KAIKA(カイカ)ってちょっと変わった名称の由来は「開架」。開架とは、まるで図書館のように誰でも自由に閲覧できる“見せる”方式のこと。こちらのホテルもまさにその言葉のように、現代アートの収蔵庫を自由に見られるホテルなのです。
外観はいたってシンプル
元々こちらは地下1階・地上 6 階建ての倉庫ビルとして建てられた築 55 年の建物。それをホテルとしてリノベーション。かつて駐車場として使われていた地下1階と1階の共用部の計8区画は、現在はアートストレージ(収蔵庫)としてアートギャラリーが利用しています。つまり、収蔵・保管スペースをギャラリーが “見せる収蔵庫”として宿泊者や一般客に公開し、アートの裏側を見られるようになっているのです。
倉庫ビルだった頃の様子
(画像提供:KAIKA 東京 by THE SHARE HOTELS ※画像の転載・コピー禁止)
ホテルエントランスに入ったすぐ横のアートストレージでは、本堀雄二氏による《薬師堂》出迎えてくれます。フェンス越しなので一瞬なにが展示されているのかわからないかもしれませんが、よくよく見るとなんと使い古しの段ボールで作られた仏像なのです!
実は、KAIKAという言葉には、開架の他にも、日本のアート文化を広める「開化」、アーティストの才能を「開花」させるという意味も込められているそう。本堀氏は10年以上前から注目される作家なのですが、美術は好きでも現代アートにはとんと疎い私は初めて聞く作家さんです。
私がこのホテルに泊まったことで段ボール仏を初めて知ったように、多くのゲストにとっても現代アートを知るきっかけとなりそうです。なお、エントランスに面したスペース「GALLERY ROOM・A」はインディペンデントキュレーターの青木彬氏とアートプラットフォーム「ArtSticker」が共同運営する企画展も随時開催されています。
フェンスに囲まれた、段ボールで作られた仏像《薬師堂》
(画像提供:KAIKA 東京 by THE SHARE HOTELS ※画像の転載・コピー禁止)
ホテルでより一層倉庫感が増しているのは地下1階。地下は宿泊者専用の天井高約4.5mのラウンジで、電気ケトルやマグカップなどが用意されており、ワ―ケーションスペースとして利用できたり、旅の計画をたてたりするのにも便利な場所です。
そしてアートストレージのあるフェンスの先は区画ごとに分けられた各々のギャラリーの収蔵スペースとなっています。各区画には、絵画や工芸、彫刻などの梱包材として使われていた段ボールや木箱、梱包されたままの作品が多数保管され、他にもちょこんと作品らしきものも置かれています。アートのバックスペースを見られるなんて滅多にないので、なんだかドキドキします。
地下にあるアートストレージスペース。床には駐車場だった名残の文字も
ストレージ空間の雰囲気のあるグレーグリーンを中心とした落ち着きあるカラーでまとめられた客室は、10タイプ 73 室が用意されています。1名から利用できるツインやダブルルームのほかにも4名、6名部屋もあるので、家族やグループ旅行にも便利です。
ツインルームにも備わるちょっとしたソファスペースが便利
(右上・左下画像提供:KAIKA 東京 by THE SHARE HOTELS ※画像の転載・コピー禁止)
また、1階のアートストレージに隣接して、一般客も利用できるバーラウンジ「BAR KAIKA」もあります。日本茶カクテルやコーヒーなどをフィンガーフードとともに味わえるとともに、朝は宿泊者専用の朝食スペースとなります。こちらのスペースにもアートが展示されているので、自由に閲覧できるアートブックのページをめくりながらコーヒータイムを過ごせますよ。
朝食やティー&バータイムを楽しめる「BAR KAIKA」
近年、カフェやビストロ、雑貨屋さんなどが点在し、おしゃれな街として注目の蔵前。浅草や東京スカイツリーにもほど近いので、せっかくならこんなおしゃれでリーズナブルなアートホテルに泊まって、ゆっくり観光してはいかがでしょう。
KAIKA 東京 by THE SHARE HOTELS
1泊素泊まり1室9,000円~(税込)※プランや日程により変動あり
https://www.thesharehotels.com/kaika/
提供写真以外は2020年12月撮影です
Part1のアートホテルはコチラ