暑さ寒さも彼岸までといいますが、気象庁の3か月予報(9月~11月)によると、日本列島は全国的に気温が平年より高いと予想されています。そろそろ夏の疲れが出ている方もいるかと。そんなときは気持ちのいいダムに出かけてみませんか?
通称「くろよん」と呼ばれる、日本一の高さを誇る黒部ダム。富山県東部、黒部川の上流に1963年に完成しました。総工費は513億円、7年の歳月をかけ、1000万人もの人々の手により造られました。堰堤の高さは186m、長さは492m、その両端にウイングが付くアーチ式ダムです。
北アルプスの3000m級の山々に囲まれる黒部峡谷。豊富な水量と大きな落差から、水力発電には最適の条件といわれ、関西の深刻な電力不足を補うために建設に着手したのが1956年。掘削工事を進めると、破砕帯と呼ばれる地下水を溜め込む軟弱な地層が現われ、竣工は困難を極めました。世紀の大工事といわれた物語は映画「黒部の太陽」などで映像化されています。171名の犠牲が出る中、日本の土木技術を信じ、完成へと導いた使命感や情熱は言葉にできぬものがあります。
電気バスのくろにょんの手すり
黒部ダムへは長野県の大町と富山県の立山から入る方法がありますが、長野県側からのアプローチが便利です。JR長野駅から特急バスで扇沢へ。扇沢から電気バス16分で黒部ダムへ向かいます。電気バスにはマスコットキャラクターのくろにょんの手すりが! くろにょんは黒部ダムに住んでいるので、お散歩姿を目撃できるかもしれません。
ヘルメットとシャベルを持つくろにょんのゆるキャラに会えるかも
黒部ダム駅はトンネル内にあります。トンネル内の気温は夏でも10度前後。極楽に涼しいので防寒対策をお忘れなく。トンネルから60段の階段を降りると堰堤に出ますが、やはり220段の階段を上って展望台へ向かいましょう(エレベーターもあり)。
階段を上るごとにスケール感がわかる
6月中旬~10月中旬の観光放水がなんといっても見どころ。外階段を上っていけば、途中に放水観覧ステージがあり、毎秒10トン以上の水が噴き上げる放水シーンが目の前に展開。大迫力に興奮が隠せません! さあ、急げ!
また、コンクリートを運んだバケットなども展示され、興味をそそられます。ずんずん上っていくと、ダム展望台です。ここからは黒部ダムの全容が見晴らせ、そのスケールに圧倒されます。9月中旬頃からは周辺の山々も紅葉に染まっていきます。
中央がコンクリートを詰めたバケット
さらに、ダム堰堤を歩き、遊覧船乗り場から遊覧船ガルベで黒部湖を周遊してみるのもいいですね。そして、ぜひ味わっていただきたいのがダムカレー。黒部ダムレストハウスの「黒部ダムカレー」はほうれん草を使った辛口のグリーンカレー。アーチ型の堰堤のご飯を崩しながらどうぞ。
写真を撮る前に食べてしまった!