京都府の日本海側は“海の京都”と呼ばれるエリア。日本三景のひとつ・天橋立や舟屋が並ぶ伊根など風情ある観光スポットがあります。舞鶴もそのひとつで、城下町の面影が宿る西舞鶴と、軍港として発展した東舞鶴があります。
舞鶴赤れんがパーク
東舞鶴は明治34年(1901)、旧海軍舞鶴鎮守府が開庁。明治から大正にかけて建設された赤煉瓦の建造物が多く残っています。「舞鶴赤れんがパーク」は貴重な赤煉瓦倉庫を活用した観光交流施設で、カフェやレストラン、イベントスペースなどに生まれ変わり、全12棟の倉庫群うち8棟が重要文化財に指定されています。そして映画やドラマのロケ地としても知られ、「日本のいちばん長い日」「海賊とよばれた男」「男たちの大和」「鋼の錬金術師」などなど。ノスタルジックな雰囲気たっぷりですので秀逸なロケ地といえます。私が訪ねたときもコスプレのイベントがあり、奇抜なスタイルのコスプレイヤーが闊歩し、赤煉瓦の前で撮影会を行なっていました。
撮影風景(写真:舞鶴フィルムコミッション)
パーク内の建物は舞鶴鎮守府の軍需品などの保管倉庫として使われていました。明治期のものは明治34~36年という短期間に造られているにもかかわらず、基礎には松の木の杭を打ち込み、花崗岩や外国産の鉄骨などで強化。その後大正期に建てられたものと比べると、外観のデザインも洒落ていて、近代化へ向かう意気込みのようなものを感じます。ちなみに煉瓦倉庫は1棟当たり約46万7000個の煉瓦が使われています。
赤れんがロードの倉庫
赤れんが2号棟(舞鶴市政記念館)の洒落たステンドグラス
煉瓦はイギリス積み。長手だけの段と小口だけの段が交互に積み上げられています。強度が高く使う煉瓦が少なく効率的、このような軍事用施設や鉄道、土木関係に多い積み方です。ほかにフランス積みがあるのですが、これは1段に長手と小口を交互に組むもの。優美な印象があり、代表例は世界遺産の富岡製糸場です。
レトロな撮影スポット 煉瓦はイギリス積み
パーク内でぜひ足を運んでいただきたいのが「赤れんが博物館」。旧舞鶴海軍の魚雷庫として明治36年(1903)に建設された、最古級の鉄骨煉瓦建造物です。まず、外観をよーく見ると、なんと煉瓦はフランス積みなのです。ここだけ、不思議なのですが。煉瓦の積み方の違いがはっきり判りますよ。
赤れんが博物館&フランス積みの煉瓦
館内には煉瓦にまつわる展示や、ホフマン式輪窯の再現などがあり、煉瓦好きにはたまりません。ミュージアムショップでは海軍カレーなどのお土産もぜひチェックしてみてください。
後編は、非公開施設も訪ねる舞鶴赤れんがガイドツアーを紹介します。