あなたも「近代化遺産」萌え! by 関屋淳子

第10回 狙い目は午後4時、転車台で方向転換し扇形庫に入るSLを見逃すな!京都鉄道博物館(京都市)

動態保存される蒸気機関車

かつて梅小路蒸気機関車館として、梅小路機関区の扇形庫を活用し、蒸気機関車の動態保存を行っていた貴重な産業文化財が平成28年(2016)に京都鉄道博物館として新たにオープンしました。「地域と歩む鉄道文化拠点」を基本コンセプトに、鉄道の総合博物館となったのです。実物車両の展示やジオラマ、運転シミュレータなど、じっくり見学すると半日は存分に楽しめるほどの圧倒的なボリュームです。

しかし、ここでどうしても体験していただきたいのが、実際の蒸気機関車が転車台で方向転換する、大興奮の展示です。

本館2階の連絡デッキを渡ると、見えてきました、美しい扇形庫! ここに整列するのが20両の車両。デゴイチの愛称で知られるⅮ51形、SLやまぐちを牽引していたC57形、義経の呼び名があった7100形など、鉄道ファン垂涎の車両が並びます。

思わず歓声を上げたくなる全体像

 格納される名車両

扇形庫は大正3年(1914)に建設された鉄筋コンクリート造りで、引き込み線とともに重要文化財に指定されています。蒸気機関車は前後の区別があるため、進行方向により向きを変える必要があり、転車台で方向転換していました。SL時代の花形施設が転車台と扇形庫、鉄道の近代化を支えた素晴らしい遺産です。

石炭と水の積み込み作業

博物館では本物の蒸気機関車が牽引する客車「SLスチーム号」に乗車することができます。1日10回(2021年4月時点)、汽笛を鳴らし黒煙を上げながら走る蒸気機関車に乗るのは大人も子供も貴重な体験ですね。しかし、もっとすごいのが、16時最終の乗車体験のあとなのです。SLスチーム号が客車を切り離し、石炭の燃え殻を落とし、石炭と水の積み込み作業を行います。この作業に伴い、転車台に乗り、ダイナミックに方向転換するのです。これは子供より大人のほうが大興奮!! 実際に転車台が回り蒸気機関車がひと回り(サービスでふた回りしたような)して、扇形庫に格納されるのです。

はっきり申し上げますと、私はこれが見たいがために、この時間に合わせて博物館へ行きました(笑)。

転車台でグルグル!かっこいい~

さて出口に向かいますと、あの旧二条駅舎があります。明治37年(1904)に開業したこの駅舎は、木造2階建ての入母屋造り。正面には車寄せが設けられています。明治期に建築された本格的な和風駅舎で、平成8年(1996)に駅舎としての役目を終えました。日本各地にあった趣のある駅舎が次々と失われるなかで、旧二条駅舎は博物館のミュージアムショップとして美しい姿を留めています。

出口の旧二条駅舎

京都鉄道博物館 https://www.kyotorailwaymuseum.jp/

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