ひとり旅にアート心も入れて by 塩見有紀子

ロングステイのススメ

皆さんは「ロングステイ」ってご存じですか? 言葉としては聞いたことがあるけど、よくわからない、という方もいらっしゃるかと思います。「ロングステイ」とは、"移住"や"旅"ではなく、余暇を目的として日常と離れた別の場所に2週間以上滞在し"生活"すること、とされています。最近は、以前から住んでみたかったハワイで、物価の安いアジア圏で、など現役引退後に海外や国内でロングステイをしている方がテレビで取り上げられることもありますよね。

少しでもロングステイに興味を持たれた方のために、2001年4月にカナダで約1ヶ月、2002年3月にオーストラリアで約1ヶ月半、2005〜2009年の毎年7〜9月頃に北海道で1ヶ月半〜2ヶ月半のロングステイを楽しんでいる、経験豊富な方にロングステイに関するアドバイスを訊いたのでご紹介したいと思います。

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◎ロングステイ(以下、LS)に向く方

◇趣味がある人、様々なことに興味を持つ人
 →スケッチ、写真、温泉めぐり、釣り、グルメ、ハイキングなど、熱中できるものがある人
◇自主性のある人
 →判断力が必要となることも多いので、自分で何でもできる人
◇適応力のある人・機転のきく人
 →長期滞在ともなると、管理人や近隣の方との近所づきあいの機会もあり、また日常とは違う不自由な生活に対する適応力や機転も必要となってくる

これらを持ってない人はLSには向かないのでは?

◎滞在先を決める際の注意点

<海外の場合>
◇言葉が通じる国
 →長期で"生活"をすることになるので、日常会話ができた方がストレスなく暮らせる
<海外・国内共通>
◇生活物資の調達ができるか
 →スーパーや市場などが近隣にあり、自炊をすることが可能か。近隣にない場合は車で行くことになるので、その際はレンタカーが可能か
◇自然環境・天候
 →避暑や避寒になる地域か。現在の暮らしより優れている地域でないと、長期滞在する意味がない
◇より良いLS施設
 →LS施設の善し悪しで、LSが快適になるかが決まる。ワンルーム形式のホテルタイプではなく、自炊ができるキッチンやベッドルーム、リビングに分かれたコンドミニアムや貸別荘スタイルの方が、長期滞在をより快適に過ごせる。料金的にもホテルより安く済むことが多い

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左上:湿原の散策路 右上:食材は道の駅でも

左下:パークゴルフ 右下:図書館もあれば便利

◎ロングステイの長所・短所
<長所>
◇長期滞在することで、その地に仮の生活・活動の基盤を作れるので、そこからさらに旅に出ることが可能になる
◇自宅にないものが得られる
 →都会暮らしなら静かな田舎へ、暑い時期なら避暑など、自宅では得られない環境で過ごせる
◇日常生活の変化を得られる
 →LS先で新しい友人を作り、様々なことを吸収して刺激のある生活を送れる

<短所>
◇移動方法やLS先の事前調査など準備に相当な時間がかかる。時間をかける必要がある
◇インターネット環境や固定電話がない場合もある

◎アドバイス
◇1人より、2人で。健康であること
 →夫婦での滞在などの方がより楽しめる。同じ趣味なら一緒に楽しめ、違う趣味なら別々の時間をそれぞれ非日常空間で楽しめる
◇事前の現地調査の必要性
 →インターネットなどで事前調査を行うこと。業者任せより自分自身で行うと、より選択肢が広がる。滞在先の写真だけでは周辺環境の判断がつきにくいため、事前に体験滞在ができればより快適に過ごせる。体験滞在をした上で合格なら、その時点で滞在期間を延ばすなどの選択を
◇資金は「余力の範囲」で
 →移住ではなく、あくまでも"余暇"。自宅での生活を切り詰めてはいけない。滞在費、食費、観光などの予算配分に注意すること

 
以上はあくまでも一例ですが、参考になりましたでしょうか? 敷居が高いと思うロングステイかもしれませんが、一度経験して"味"をしめると、毎年行きたい衝動が抑えられなくなるようです。ちなみにこの経験談は、実は私の両親のこと。引退してから始めたインターネットを駆使して、滞在先の選定から調査、準備まで自分達だけで行い、海外や国内で毎年のようにロングステイしています。身体の負担を考え、ここ数年は海外ではなく、北海道の同じ場所、同じ貸別荘でロングステイを満喫中。また、現地での移動を考えて、往きは途中で3〜4泊しながら自家用車で自宅のある神奈川から北海道まで自分達で運転して移動しています。さすがに復路は苫小牧からフェリーですが。

今夏は北海道での両親の様子を見てみたいと思い、私も北海道に行ってきました。二人のお気に入りの滞在先は、ニセコの近くにある「蘭越」という田畑に囲まれた集落にある「ふれあいの郷 とみおか」という貸別荘。車で片道20〜40分ほどのエリアには効能の違う温泉が数多く点在しています。散歩する場所は事欠かず、誰でも簡単に格安(100円程度)でできるパークゴルフ場も豊富。毎年同じ貸別荘に滞在しているので、近所の農家の皆さんと仲良くなり、野菜を分けていただいたりすることも多々。スケッチが趣味の二人は、貸別荘の窓から広がる山々の風景や訪れた温泉、草花や頂いた野菜など、絵を描く毎日を思い切り楽しんでいました。

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北海道でのLSは温泉も楽しみ(左:ニセコ五色温泉 右:ニセコいこいの村)

じっくり滞在型のロングステイ。一度やってみるのもいいかもしれませんよ。

hokkai-1.JPGふれあいの郷 とみおか
電話:0136-57-6181(管理棟) 

(執筆:塩見有紀子)

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