旅の目的になる宿
「別邸 音信」
山口県内最古の温泉といわれているのが長門湯本温泉です。
音信川を中心に形成される温泉街には昔ながらの共同浴場があり、
江戸時代からの湯治場の面影を残しています。温泉はアルカリ性単純温泉。
なめらかな湯は肌にやさしく心身がほぐれるようです。
由緒あるこの温泉地にある「別邸 音信」は、老舗旅館「大谷山荘」の別邸として平成18年に開業しました。
宿のコンセプトは湯治モダン。日本文化の粋が随所に現われ、ラグジュアリーな心地よさがあります。
宿の玄関の扉が開くと、目の前には水盤が広がります。
回廊を巡り次の扉が開くと風が吹き抜けるホール。
庭園と一体となるこのホール、四季をそして一日の変化を感じることができる空間です。
もうここまでのアプローチで、めまいがするような非日常の演出にノックアウトです。
お着きのお茶は、お茶室で和服美人のもてなしです。
客室は18室、メゾネットタイプや和洋室などすべて設えが異なります。
高い天井と露天風呂がある広いバルコニー。家具・調度品は和洋アジアンが上品にミックスされ、
居心地が良い、というか良過ぎるほどで、もう部屋から出たくなくなるほど。
冷蔵庫内フリーのホームバーや、大型ビジョンのホームシアターなども備わり、至れり尽くせり。
楽園のようだわ〜。
温泉は部屋の露天風呂はもちろん、館内の大浴場、さらには本館の大谷山荘へ専用通路を抜ければ、
本館の大浴場も自由に使うことができます。
湯浴み三昧で、どう考えても1日では回りきれないという、うれしい悲鳴。
そしてお楽しみの夕食も、想像以上のスケールなのです。
食事処「雲遊」でいただくのは「美味草紙(うまぞうし)」と名付けられた、
まったく新しいスタイルの日本料理。
まずは長門湯本の名刹・大寧寺の精進料理を参考に作られた典座(てんぞ)料理から始まります。
料理長が、地域の特徴を出すためにと大寧寺で勉強し習得した料理で、
一汁三菜の動物性油脂を一切用いない膳です。
胡麻豆腐や、須々保里(すずほり)漬けという玄米酢ともろみで漬けた漬け物、
俵山の豆腐で作る擬似豆腐など。風呂上りの体に優しく染み入り、胃がすんなりと落ち着きます。
このあとにお肴(あて)しだいという、一品料理が続きます。
八寸・吸い物・お造り・小鍋・焼き物・椀物・飯・水菓子。
さらに町屋料理というおまけの郷土料理も。
これらが供される日本酒に合うこと、合うこと。
手間隙かけて丹精に作られた料理が口福の極みとなります。
料理は日本料理のほかに、フレンチ、鉄板焼きも選ぶことができます。
料理を堪能したあとは、水盤を眺めるバーのカウンターへ。あ〜幸せ。
ゆっくりと贅沢な時間が流れていきます。
館内にはライブラリー、スパ、フィットネスジムなども完備。
裸足で浴衣でどこをうろうろしても気持ちがいい空間が広がり、
ホテルライクの機能性や使いやすさも、もちろんしっかり備えています。
さらにスタッフの客との距離感が抜群で、付き過ぎず離れ過ぎず。
う〜ん、やっぱりどう考えても1泊ではこの宿を楽しみ尽くせない...。
素敵すぎて、とにかく"おとずれ"てみて下さいという言葉しか出てこない...。
旅の目的となる宿、そう言い切れる貴重な宿のひとつ。ぜひ連泊をお薦めします。
山口県長門市湯本温泉 別邸 音信 1泊2食付きひとり3万6900円〜。