虫の声が賑やかです

 

2012年9月26日(水)晴れ

 

気がつけば9月も終わりです。暑さ寒さも彼岸までって、すごい。その言葉の通り東京にもやっと涼しさが漂っています。夕方からは虫の声がすごくて、窓を開けているとそのコーラスの美しさに聞きほれるばかりです。

地方取材が続き、美味しいものを食べ、浮かれた気分で帰ってきましたが、そうそう、間隙をついて観劇で、国立劇場・文楽公演も楽しみました。

「冥途の飛脚」です。近松の人情物の代表格ですからね。それにしても忠兵衛の情けないこと。だいたい心中物は男が情けないのが常なのですが、こいつは最悪の男です! 自分が悪いのに逆切れはするは、仕事は投げ出すわ、簡単に死にたいなんてぬかすわ。それに付き合って寄り添う遊女・梅川が極みの美しさを見せるわけですから、文楽って女の見せ場のための舞台かも。

文楽を集中攻撃するどこかの市長さんもじつは女の業が怖くて文楽嫌いになったのかしら、なんて思ってしまいます。

私は歌舞伎も好きですが、文楽のほうがもっと好き。それは人形ならではの魅力があるからです。生身の人ではない、でもまるで生身の人間が動いているような、そして生身の人間以上の動きがある...それが文楽の最大の魅力です。そこにストーリーテラーの大夫と三味線の奥行き。三業一体の、どれを除いても成り立たない素晴らしい芸術。どうしてこれがわからないかなあ〜。上方が誇るべき文化なのに。

芸術は子どもの頃から触れるのが一番です。どうぞこの伝統芸能を親子で楽しんでみてください。なんだかわからなくても、魅力を突き止められる感性がある子なら、絶対分かるはずです。残念ながら市長さんはそういう感性を子どもの頃に忘れてきたのでしょう。

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