夏が突然終わり、涼しい季節を迎えました。いよいよスポーツの秋! 体を動かすのに最適な季節に自転車散走にトライしてみませんか?
サイクリングといっても、整備されたサイクリング専用コースではなく、都会のまっただ中の散走です。
"散走"はもしかしたら聞き慣れない言葉かもしれません。ですが、移動手段が自転車となるだけで、"散走"とは歩いて観光スポットや街並みを散策するように気楽にのんびりと食べ歩きしながら走らせること。走ることが目的ではないので、本格的な自転車でなくてもよいのです。折り畳み自転車でも、坂道は少しキツイかもしれませんがギアのないママチャリでもよい、普段遣いの自転車で走れる手軽さが"散走"の魅力です。自転車版のお散歩、「ポタリング」ともいいます。近年、外国人観光客にも都内の散走ツアーも人気を集めています。
最近都内では、車道の左側が青くペイントされていたり、青い矢印が書かれた自転車専用車線も整備されつつあります。車には気をつける必要がありますが、デコボコと段差のある歩道より、車道の方が"散走"には快適なのです。
そして、「散走」は季節や目的によって楽しみ方も様々です。以前私自身は桜の開花ととも散走しましたが、これからの季節なら秋晴れが美しい東京タワーや東京スカイツリーのふもとまで自転車で行って見上げるのも気持ちがいいですよ。また、都内の紅葉は12月とまだ先ですが、都内の紅葉スポットもおすすめです。自転車だからこそ、少しひんやりとした風を肌に感じながら、足を延ばして何ヶ所もの紅葉スポットを巡れるはずです。さらに、隅田川沿いはいろいろな橋が続々と目の前に現れたり、超高層マンションや高層ビルなどが建ち並ぶ都会ならではの散走を楽しめます。路地裏に佇む食事処やおしゃれカフェなど、走りながら見つけたスポットに立ち寄ってみては?
以前、自転車で都内を何気なく走っていたところ、どこかで見たことがある場所?と思ったら、目の前に国会議事堂を発見したこともありました。通行できない日もありますが、特に目的地もなく"散走"していたので、自転車で国会議事堂へ行くという貴重な体験ができました。
また、早朝散走やナイト散走もおすすめ。早起きして自転車を走らせて築地市場で朝食を食べたり、通行量が少なくなった夜の都会を走ってライトアップされた神社や寺めぐりをしたりなどはいかがでしょうか?
電車や徒歩移動の時とは違う景色に出会えるはずです。
皇居前を走る「パレスサイクリング」も都内散走の人気スポットのひとつです。大きな行事やイベントが行われる時は開催中止となりますが、毎週日曜日の10時〜16時まで、平川門交差点〜祝田橋交差点の往復約3kmの内堀通りが、一般車両の通行が禁止となり、歩行者や自転車が通れる専用道路となるのです。自転車の持ち込みはもちろん、専用自転車を無料で借りることもできます。普段は多くの車が行き交う4車線もある広い車道を、丸の内のビル街を眺めながら車を気にせず走れる贅沢なコースです。
もちろん都会だけでなく、海沿い散走も心地よさはいっぱいです。鉄道会社によって規則は異なりますが、自転車を折り畳んだり、車輪を外して分解して自転車専用袋(輪行袋)や大きなビニール袋で包めば、自転車ごと電車に乗車することも可能です。遠距離を電車移動し、鎌倉や湘南、三浦半島や房総などで散走なんてことも。オンシーズンは海水浴客や渋滞で大変な混雑ですが、涼しいこれからの季節には快適な散走ができるはずです。
また、いくつかのルールはありますが、隅田川を運航する水上バスも自転車の乗船は可能です。別途、特殊手荷物券は必要ですが、折り畳んだりせず走行状態のまま持ち込みできるのもうれしいところ。浅草や豊洲、晴海やお台場などへ水上バスでのんびり移動し、到着したらそのまま走り出せます。行動範囲がグッと広がりますね。
散走ツアーを行っているショップもいろいろあるので、初めての場合は、2015年6月1日に改正された道路交通法の自転車走行のルールを再確認する意味でも、一度ツアーに参加してみてはいかがでしょうか?
きっと散走の魅力にとりつかれるはずですよ。
<文:塩見有紀子>