やちむん。
沖縄では、焼き物をこう呼びます。
那覇空港から国道58号線を1時間ほどひた走りたどり着く読谷村には、
「読谷やちむんの里」と呼ばれる、陶芸家の工房が集まるエリアがあります。
読谷やちむんの里には、10数軒の工房が点在し、徒歩ですべて回ることができます。
里に整備されている駐車場に車を停めて、のんびり工房めぐりといきましょう。
と、その前に沖縄の焼き物の歴史を少々。
沖縄の焼き物の発展に尽力したのは、琉球王朝の尚貞王。
1682年に、各地に散らばっていた窯元を現在の那覇市壷屋に集めました。
それまでの技術を磨くことはもちろん、
日本各地に留まらず、中国など大陸の技術も積極的に取り入れたのだそうです。
読谷やちむんの里では、この壷屋で生まれた焼き物の流れを汲む読谷壷焼と
この地で発祥した読谷山焼の2つの焼き物がつくられています。
里を歩いていると昔ながらの登り窯が。これは今も現役で使用されており、
タイミングがよければ、煙を上げている様子を見ることができます。
里には、工房兼ショップがあるほか、「読谷山窯共同売店」や「読谷山焼 北窯売店」のように、
いくつかの窯元や陶芸家が共同で開いている売店もあります。
特にこの北窯売店には、沖縄最大級といわれる13房の大型の窯で焼かれた作品が並びます。
素朴な風合いの食器が並び、値段も比較的手頃なので、普段づかいにもぴったりです。
読谷やちむんの里は、ざっくりと見て回るだけなら小一時間でぐるりと一周できます。
工房めぐりの休憩には、ギャラリー喫茶「まらたに」がおすすめ。
沖縄のやちむんに盛られたスイーツや軽食を楽しめます。
じっくり煮込んだ豆と黒糖の蜜がかけられた沖縄の定番スイーツ「黒糖ぜんざい」は、
かき氷の下に白玉団子が隠れていました。
ミニケーキに季節の花が添えられ、心がほっこりしました。
併設のショップには、読谷村内で活動する50名以上の陶芸家の作品がずらり。
お気に入りが見つかりそうです。
読谷やちむんの里では、毎年12月に陶器市が開かれます。
今年は12月19日〜21日の3日間。
この機会に訪れてみてはいかがでしょう?
(取材・文 川崎久子)