心と体によく効く、大人の山歩き by 西野淑子

第6回 福と寿で春を先取り!陽光にきらめくフクジュソウに出会う四阿屋(あずまや)山(埼玉県・小鹿野町)

早春のお花見山歩き。先月ご紹介した梅に引き続き、今回ご紹介したいのはフクジュソウです。早春、まだ寒い時期にいち早く花を咲かせる、キンポウゲ科の多年草。低山や里山にある群生地を訪ねてみませんか。

フクジュソウ。つややかな花は冬の山でよく目立つ

フクジュソウを求めて山歩き、私のおすすめは秩父の四阿屋(あずまや)山です。山一帯が「両神国民休養地」となっていて、季節の花をめでながらハイキングが楽しめます。山の中腹にフクジュソウ園地があり、早春は多くのハイカーが訪れます。花の見頃は例年2月半ばから3月上旬にかけて。

 

フクジュソウ園地上部からの眺め。三角形の山は武甲山

フクジュソウ園地では、さんさんと陽光が降り注ぐなか、フクジュソウが群生しているのを、保護のネット越しに見ることができます。思ったより株は大きくどっしりした印象。つやつやとした花びらは光を浴びてキラキラと輝いていて、太陽のかけらが落ちてきたようだ…といつも思います。「寒さに耐えて咲く儚い命」というより、「寒風に負けず力強く生き抜く生命力」を感じます。

四阿屋山フクジュソウ園地のフクジュソウ

園地にはロウバイも植栽されており、つややかなレモンイエローの花がよい匂いを漂わせています。園地全体が春めいているようです。園地に向かう林道沿いには、紅梅や白梅が咲いているのを見ることもできます。

よい匂いを漂わせるロウバイ。花の見頃は2月

山麓の登山口から2時間程度で四阿屋山の山頂に立てますが、山頂直下は岩や木の根が露出したところがあり、冬は若干凍結しているときもあります。山を歩き慣れていない方はフクジュソウ園地の散策にとどめておきましょう。

四阿屋山の山頂には山名盤もある

下山後は道の駅「両神温泉薬師の湯」へ。温泉でよく温まったら、併設の食堂でそばを味わったり、農産物直売所で新鮮な野菜をお土産に求めるのもよいものです。体力と時間に余裕があるなら、バスを乗り継いで堂上のセツブンソウ自生地に足を延ばしてもいいでしょう。葉を落とした明るい広葉樹の林床に、小さな真っ白い花がびっしりと咲いています。

セツブンソウも春を告げる花のひとつ

【四阿屋山データ】

アクセス:秩父鉄道三峰口駅からバス20分、薬師堂下車。

コース:薬師堂バス停…鳥居山コース…両神神社奥社…四阿屋山…フクジュソウ園地…両神温泉薬師の湯

所要時間約3時間30分

体力度★★☆ 技術度★★☆

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