心と体によく効く、大人の山歩き by 西野淑子

第50回 ミツバツツジの群落を愛でながら今熊山へ(東京都・あきる野市)

山でのんびりツツジのお花見へ。東京都あきる野市に位置する今熊山は、山麓の今熊神社でミツバツツジが春に見頃を迎えます。

今熊神社遥拝殿周辺のミツバツツジ。山麓が赤紫色に染まる

今熊山は「武州の呼ばわり山」の別名を持つ山です。

江戸時代、なくしたものや失踪した人を捜すとき、この山に登り、大声で名前を叫ぶと戻ってくるという信仰があったのだそうです。

今熊山登山口へは、JR五日市線武蔵五日市駅、または中央線八王子駅から路線バスでアクセスします。バス停から県道八王子五日市線を進み、大きな石の道標に従って細い道に入ります。のどかな集落の中を歩きます。途中には古い石の道標も残されています。

今熊神社の大きな石柱を左に進む

バス停から15分ほど進むと、今熊神社遥拝殿に到着。ここが今熊山の登山口になります。境内周辺の山の斜面にミツバツツジ植栽されているのですが、山頂を往復してからゆっくりお花見を楽しむことにします。

登山道は歩きやすく整備されています。緩やかに登っていきます。歩きながらちらちらとミツバツツジが咲いているのを眺めることもできます。

今熊神社遥拝殿でお参りをして登り始める

標高を上げていくと、展望ポイントが現れます。北側の眺めがよく、送電線の向こうに奥多摩の山々が連なっています。さらに登っていき、しめ縄が張られた木を過ぎると今熊山園地に。トイレがある広場で、眺めのよい方向にベンチが置かれています。関東平野が一望に見渡せ、スカイツリーや都心のビル群が眺められます。

最初の展望ポイントからは大岳山や御前山など奥多摩の山々が眺められる

トイレのある今熊山園地。ベンチがあり関東平野の眺めがよい

景色を楽しんだら、古い石段を交えた登りで今熊山の山頂に到着します。

テーブルとベンチが置かれているあたりはヤマザクラが多く、春はサクラを愛でながらくつろげます。山頂の看板がある広場の奥には、今熊神社の奥宮があります。

ヤマザクラが見られる山頂。ベンチとテーブルがある

山頂には今熊神社の社殿が建つ

帰りは来た道を戻り、今熊神社の遥拝殿に向かいます。改めて、ミツバツツジのお花見をしていきましょう。ミツバツツジは、山で咲く花木の中でも、早い時期に咲く花。木々の芽吹きよりも早く、赤紫色の花を咲かせます。

今熊神社では約1500本ものミツバツツジが斜面を埋めつくします。例年の花の見頃は4月上旬から中旬にかけて。時期を同じくしてサクラやハナモモなど春の花木も咲き、濃淡のピンクが鮮やかです。

ミツバツツジと時期を同じくしてサクラやハナモモも咲く

お花見を楽しんだら、今熊山登山口バス停まで戻ります。

時間と体力に余裕があるなら、今熊山登山口バス停から武蔵五日市駅に向かう路線バスで途中下車して、小峰公園に立ち寄っていくことをおすすめします。丘陵地を生かして整備された公園で、山のサクラのお花見が楽しめます。「桜尾根」という散策路があり、満開のサクラを楽しみながら散策ができます。

小峰公園の桜尾根、文字通り「サクラのトンネル」を歩ける

【今熊山:山歩きデータ】
アクセス:JR五日市線武蔵五日市駅からバス10分、今熊山登山口下車
コース:今熊山登山口…今熊神社遥拝殿…今熊山…往路を戻る…今熊山登山口
歩行時間:約2時間
体力度★★☆ 技術度★☆☆

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