心と体によく効く、大人の山歩き by 西野淑子

第48回 菊に彩られる街並みを歩き展望の頂へ 笠間富士山(茨城県笠間市)

秋を彩る花のなかでも代表的な花のひとつが菊。秋になると全国各地で菊まつりが行われています。茨城県笠間市でも、10月下旬から11月下旬に「笠間の菊まつり」を開催。今回ご案内したいのは笠間市の市街地近くにそびえる笠間富士山。菊まつりの観光と合わせて、気軽に楽しめる展望の山です。

巨大な観音像が立つ笠間富士山の山頂

笠間の菊まつりは、日本三大稲荷のひとつである笠間稲荷神社をメイン会場に開催されています。まずは笠間駅から歩いて笠間稲荷神社を目指します。のびやかな景観の中を進み、華やかな菊で彩られた交差点を右折するとほどなく笠間稲荷神社に到着します。

立派な鳥居をくぐると、参道には鉢植えの菊や和傘が飾られて鮮やかです。山門をくぐると境内はさまざまな菊の花で彩られています。立ち菊や懸崖菊、盆栽菊など、普段なかなか見ることができない菊を楽しむことができます。また、毎年テーマを決めて行われる菊人形展も見どころのひとつです。

参道に菊の鉢植えや和傘が飾られている

笠間稲荷神社本殿の周辺も菊で彩られる

笠間稲荷神社で参拝し、菊まつりを楽しんだら、お目当ての笠間富士山を目指します。大石内蔵助の祖父で笠間藩の家老であった大石良欽の邸宅があった大石邸跡を過ぎ、舗装路を登っていきます。

笠間富士山はツツジの名所としても知られており、山頂一帯が「笠間つつじ公園」として整備されています。例年の見頃は4月中旬〜5月上旬。ツツジの開花時期は佐白観音正福寺の境内からツツジの植栽された山道を歩いて山頂を目指すことができるのですが、ツツジの時期以外は舗装路を歩き、山腹を回り込むようにして山頂を目指します。

大石邸跡には大石内蔵助の像が立つ

笠間富士山の山頂は芝生の広場。巨大な観音像が出迎えてくれます。ベンチやテーブルもあるのでゆっくりくつろいでいきましょう。360度の展望が広がっており、加波山や吾国山など、茨城の山々が連なっているのを眺めることができます。

笠間富士山山頂から加波山方面を望む

笠間富士山をあとにして、佐白山まで足を延ばしてみましょう。佐白山入口の駐車場まで舗装路を進みます。途中には大黒石があります。丸々とした石で、いくつか小さなくぼみがついています。小石を投げてくぼみにとどまれば幸せが訪れるという言い伝えがあるのですが、実際に小石投げに挑戦してみると、なかなか難しいです…。

僧兵の争いにまつわる伝説の残る大黒石

佐白山はかつて笠間城が建てられていた山。堀の跡や石垣などが残されています。笠間城跡の石碑のある広場からさらに古い石段を進んだ先に山頂があり、佐志能神社の社殿が建っているのですが、現在は山頂直下が通行止めになっています。

かつて笠間城が建てられていた佐白山。城跡の石碑がある

佐白山からは道標に従って山道を下っていきます。今回のルートで唯一の「山道歩き」になりますが、樹林の雰囲気が心地よい道です。山麓に広がる佐白山山麓公園で一息ついていきましょう。秋はイチョウの大木やカエデ、サクラなどが紅葉して美しい公園です。

かつては笠間城の下屋敷があった佐白山麓公園

佐白山山麓公園から笠間駅まではゆっくり歩いて3040分ほどの道のりです。

帰りに改めて笠間稲荷神社に立ち寄って菊まつりを観賞していくのもよいでしょう。神社周辺に飲食店や土産物屋などが並んでおり、名物のいなり寿司や、栗を使ったスイーツを味わったり、笠間焼をお土産に求めたいものです。神社からすぐのところにある「かさま歴史交流館」も、菊のしつらえが美しいです。

明治時代建築の貴重な建造物、かさま歴史交流館

【笠間富士山:山歩きデータ】
アクセス:JR水戸線笠間駅下車
コース:笠間駅…笠間稲荷神社…笠間富士山…佐白山…城跡公園…笠間駅
所要時間:2時間30
体力度★☆☆ 技術度★☆☆

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