標高3000m級の高山は、7月が高山植物の最盛期。厳しい環境の中で咲く可憐な花を見にいきませんか。「3000mの高山なんて限られた登山者だけの世界でしょう?」…と思われそうですが、北アルプス・乗鞍岳(のりくらだけ)には「バスでアクセスできる高山植物の楽園」があるのです。
高山植物が咲き乱れる畳平のお花畑
長野県松本市と岐阜県高山市にまたがる乗鞍岳は、標高3026mの剣ケ峰を主峰とする、いくつかの山々の総称です。乗鞍岳登山や観光の起点となる標高2702mの畳平まで、長野県側、岐阜県側からそれぞれバスでアクセスすることができます。
剣ケ峰をはじめ、いくつもの山が連なっている
畳平バスターミナルから歩いて数分で「畳平のお花畑」にたどり着きます。山に挟まれるような草原の中に木道がしつらえられています。1周40分程度の道のりですが、黙々と歩くだけではもったいない。足元や周りを見渡しながらゆっくり歩けば、色とりどりの小さな花がたくさん見つけられるでしょう。
畳平のお花畑は木道が整備されている
7月から8月上旬にかけてはさまざまな花が草原を彩ります。愛らしい花姿のチングルマやハクサンイチゲ、クロユリなど、標高3000m級の山を歩かないと見られない高山のお花を、木道から間近に眺められるのは嬉しい限りです。
愛らしい花姿のチングルマは高山植物の人気者
乗鞍岳の主峰・剣ケ峰へは、畳平から往復で歩行時間約3時間半。短時間で往復できますが、森林限界を超え、気象条件も厳しいため登山専用の装備や技術が必要です。
畳平周辺の小ピークへ登ってみましょう。畳平の北側に位置する魔王岳や大黒岳は、よく整備された登山道を片道30分弱で登ることができます。穂高連峰や槍ヶ岳など周囲の山々が見渡せて気持ちがいいですよ。大黒岳は登山道からコマクサの群落も眺められます。
展望のよい魔王岳の山頂
日帰りでも楽しめる乗鞍岳ですが、私のおすすめは「畳平の宿で1泊」。昼過ぎに畳平に入って畳平周辺を散策し、2日目は乗鞍岳を登り、山麓の温泉で疲れをいやして帰る。1泊2日の素敵な山旅が楽しめます。3000m級の山で見る満天の星空、大黒岳から眺めるご来光、忘れられない夏の思い出になるでしょう。
早朝の大黒岳から穂高岳方面を望む
【乗鞍岳:山歩きデータ】
アクセス:JR松本駅からバス1時間40分、乗鞍高原で乗り換えて50分、乗鞍畳平バスターミナル下車/JR高山駅からバス1時間、平湯温泉で乗り換えて1時間、乗鞍畳平バスターミナル下車
コース:乗鞍畳平バスターミナル…肩の小屋…乗鞍岳(剣ケ峰)…往路を戻る
所要時間:約3時間30分
体力度★★☆ 技術度★★☆