自然の中に身を置いてゆっくり、のんびり過ごす1日。山歩きは心と体のリフレッシュになる、素敵なアクティビティです。「辛さや苦しさを乗り越える達成感重視の登山」ではなく、山の中にいることを味わいつくす、心地よい山歩きを始めましょう。
高尾山山頂、大見晴園地から眺める富士山
山に行ってみたい、どこに行ったらいいかしら?と相談を受けたとき、私が真っ先に勧めるのは高尾山です。高尾山には、山歩きの楽しさのすべてが詰まっている…と言ったら言い過ぎでしょうか。
私のおすすめは1号路。京王線高尾山口駅からスタートする、高尾山登山のメインストリートです。駅から5分ほど歩いて、ケーブルカーに乗りましょう。「え?登山なのに乗り物?」と思われそうですが、このケーブルカーは車窓からの景色が魅力。道沿いにはカエデが茂り、紅葉の時期は真っ赤に紅葉した木々を楽しめます。
ケーブルカー山頂駅から高尾山の山頂まではゆっくり歩いても1時間弱の道のり。全行程舗装道路で、登山未経験の方でも、ゆっくり歩いていれば気持ちよく山頂にたどり着けます。歩きやすい道だけに老若男女、いろいろな人が歩いています。人間観察も1号路の楽しみのひとつなのです。
1号路の浄心門。「霊気満山」の扁額がかけられている
道中にある薬王院にも立ち寄っていきましょう。いつも人でにぎわいつつも、清冽な気が流れているように思います。御朱印をいただいたりおみくじを買ったり。私が薬王院の売店で買うのは「黒豆の甘納豆」。登山のおやつにも最適です。
薬王院の御本堂。左右に天狗と烏天狗の大きなお面
広々とした山頂はいつも多くの人で賑わっています。テラスのある大見晴園地に出ると、丹沢の山々の向こうに富士山が眺められます。歩いてきてよかったなあ、気持ちいいなあ…。高尾山が「パワースポット」であることを実感します。
高尾山山頂の大見晴園地。富士山の眺めがよいのは晩秋〜冬
高尾山は1号路以外にもいくつもの登山道が整備されています。下山は来た道を戻ってもいいですし、他の道を下ることもできます。がっつり自然に触れたいならおすすめは6号路。沢沿いの道で、心地よい広葉樹の中を歩けます。山頂から高尾山口駅まで1時間半ほどの道のり。少しだけでも自然に触れたいなら3号路。山頂から1時間程度でケーブルカー山頂駅に出ることができます。歩いてきた1号路の広葉樹の林と少し雰囲気が違う、照葉樹が多めなのもおもしろいです。
高低差もあまりなく、たっぷりの緑を味わえる3号路
心地よい疲れとともに下山をしたら、駅から直結の日帰り温泉「極楽湯」に立ち寄ったり、高尾山名物のとろろそばで滋養をつけていくのもよいでしょう。
高尾山名物のとろろそば。山麓のほか山頂の茶店でも味わえる