外国人でにぎわう箱根強羅駅の目の前。中村屋という土産物店の一角に、2年前の3月、小さなスイーツショップ「nukafuku」がオープンしました。
店の前の黒板には英語で「Vegan」「Gluten-Free」と書いてあり、日本語では「卵や乳製品、小麦粉、白砂糖」は不使用で「米ぬか」を使っているとの説明が。こんなお店ができたんだなぁと、さっそく看板メニューのドーナツ「ぶらりん」を食べてみたところ、これがホントおいしい! 数ヶ月後、再訪し、話をうかがってきました。
店主の中村千穂さんが製造販売しているこのドーナツ、季節のフレイバーを含めて常時5〜6種類を作っています。たまたまオープン2周年の日にうかがいましたが、「すっかり記念日を忘れていました」と中村さん。これも日々、お一人で手間暇かけてスイーツを作っているからこそ。米ぬかは、小田原のお米屋さんから農薬や化学肥料不使用のものを仕入れた後、自分で焙煎して製粉、アーモンド粉と米粉を混ぜ合わせて生地を仕上げています。砂糖もてんさい糖と素焚(すだき)糖を調合し、深みのある甘みを作り出しています。お店を開業するまでの2年間、素材などの調達や配合、焼き方などの試作を重ねてきましたが、「今も試行錯誤を繰り返しています」とのこと。
「食感をもう少しカリッとできないか」と、先日より米油でさっと油通しをすることに。さっそく定番の餡クリームをいただいてみると、確かに表面はカリッと、中はしっとりとしていて、以前よりぐっと食感が良くなっています。お腹に軽く、でも満腹感もあります。動物性の原材料を使わなくても、これだけおいしいスイーツができるんだなぁと感動してしまいました。
店の脇にある屋外スペースにちょこっと座って食べることも。
餡も手作り。クリームは豆乳。美味♡
中村さんご自身はベジタリアンではありません。が、10年ほど前、カナダ在住の大切な友人がセリアック病にかかってしまい、色々と調べていくうちに、人によって様々な食のバリアがあることを知ったのだそうです。世界中からゲストがやってくる温泉地・箱根で、卵や牛乳などのアレルギーがある人も、ビーガンの人も、誰でもがガマンせずに食べられるスイーツを提供したいとお店をはじめました。そこにはきっと、子育て中の母親としての優しい視線も含まれているのだろうと思います。植物性だとか米ぬかを使っているから、だからではなく、おいしいから食べたい、そんな箱根のスイーツです。
nukafuku(ヌカフク)
https://www.instagram.com/nukafuku?igshid=ZDdkNTZiNTM%3D
*お一人で切り盛りしているので急なお休みもあります。インスタをチェックしてからお出かけを