「春蘭の宿さかえや」は、日本でおそらく唯一、フリースクールを運営している温泉旅館です。女将が教員免許を持っていたこともあり、2015年、地元通信制高校の協力を得て開校、現在までに3名が卒業し高校資格を取得しています。卒業後はそのまま宿のスタッフになった人もおり、「お宿が母校」のような存在になっているのだそうです。
「スクールを始める前から、引きこもりや不登校の若者、障がいをもった人、鬱の症状がある人たちなどへ就労支援を行ってきました。人手不足解消もありますが、私の弟に障がいがあり引きこもっていたことも大きな理由のひとつです」と社長の湯本晴彦さん。今まで100人を超える若者たちが就労支援のプログラムに参加。なかには1年以上さかえやで働く人もいるのだそうです。「旅館では朝起きて、体を動かして働くことになるので夜は自然に眠くなり、生活リズムが整ってくるんです。しばらくすると顔つきが変わってきます」と湯本社長。フリースクールの学生も就労支援の人たちも社員寮で暮らすため、ほかのスタッフさんたちから応援やアドバイスを受けやすいのもプラスに働くとのこと。
すばらしい取り組みをしているさかえやさん、ぜひ泊まってみたい!と、信州渋温泉へ出かけてきました。
さかえやは、石畳が続く渋の温泉街の中心近くに立っています。建物は近代的な6階建て。すぐ近くに駐車場があるのも渋では貴重です。館内は和モダンな雰囲気。昭和2年の創業と、渋では比較的“新しい”宿。様々な試みにも挑戦しやすいのかもしれません。
すっきり整ったロビー
玄関を入ると、ほのかにお香がかおり、若いスタッフさんが明るく声をかけてくれます。チェックインはお部屋で。渋温泉の外湯巡りの案内なども含めて丁寧に説明してくれます。
宿泊した客室。照明のリモコンやコンセントの位置などよく考えられた使い勝手のいい客室でした
渋の温泉街には9の外湯が点在しています。どこも徒歩10分圏内。歩いて回るのにちょうど良い距離です。9つの外湯は、弱アルカリ、中性、弱酸性と泉質が異なるのも魅力。そしてどのお湯も熱くてよく温まります。
さかえやから徒歩2分の渋大湯。外湯めぐりもぜひ!
春蘭の宿さかえや
電話:0269-33-2531(10:30〜20:00)
住所:長野県下高井郡山ノ内町大字平穏2171
https://e-sakaeya.jp