京都には深い井戸が幾つもある by 小林禎弘

第3回 あなたもプロに!知られざる紅葉の嵐山の撮影ポイント伝授(京都市)

京都人気エリアの東西横綱は、清水東山界隈と嵐山です。春秋を比べると、それぞれ桜の見どころはありますが、紅葉はやや嵐山に軍配が上がりそうです。

嵐山の歴史は、平安京遷都に尽力した渡来人の秦氏が上流に堰や中の島(人工の島)などを造り、今の嵐山の原風景を作りました。秦氏は、朝鮮の百済から秦の皇帝の末裔との触れ込みで渡来してきた一族で、一説によると故郷の風景に似ている嵐山を愛したそうです。

その後、嵐山は結界の外であるため魔界への入口だと言われても、平安貴族のリゾートになります。渡月橋がかかり、鎌倉時代には亀山天皇が亀山殿を造営し、室町時代に入ると亀山殿が天竜寺になり夢窓疎石が曹源池庭園を整備し、吉野から何千本と山桜を植林して現在の嵐山ができました。京都の風景はこのように、為政者の美意識を体現させて出来上がっています。

嵐山の植生。ここだけ切り取るのも面白い

残念ながら今年はこのような場面に出くわすことはないでしょう

 

さて嵐山の紅葉の写真は、保津川に張り出す楓と、保津川下りの船や行きかう屋形船を絡めたものが代表的なものです。そのポイントは知る人ぞ知る限られたエリアです。ではご紹介します。渡月橋のすぐ脇にも紅葉があり渡月橋を絡めた写真が撮れますが、とにかく人が多い!渡月橋の天竜寺側を上流に歩きます。吉兆を越え亀山公園の登り口まで来ると人は減ります。さらに突き当りまで歩きます。途中に1本、突き当りに2本の楓の巨木が川に張り出しています。屋形船が来るのを待ち、枝をうまく配して構図を作るとよく見る嵐山の写真が出来上がります。船頭は客にこの紅葉を見せるので、待っているとすぐにやってきます。

渡月橋から上流に歩けばこのような風景が広がります


粘るとうまい位置に船が来ます


山の陰に紅葉を入れると映えます

ここから亀山に登れますので、頂上の開けたポイント二か所から嵐峡と真向いのパッチワークのような樹木の配置の嵐山をなめて、保津川下りの船を入れても風情のある写真が撮れます。

亀山公園から見下ろす嵐峡。最高のポイントです

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