「夜の森」と書いて「よのもり」。
福島県富岡町にある地区の名前で、常磐線の駅名にもなっています。県内有数の桜の名所として知られ、夜の森公園と公園へ続く約2kmにわたる通りに、合わせて1500本もの桜が植えられています。
この桜の歴史は古く、明治時代に遡ります。当時まだ不毛の原野だったこの地区に、相馬藩の郷士侍・半谷(はんがい)常清の長男として生まれた半谷清寿が、理想の村を作ろうと入植。開拓を記念して300本の桜を植樹したのがはじまりといわれています。その思いは息子に受け継がれ、10年後には1000本もの桜が植樹されたのだそう。震災以前は春が来るたび、空を覆い隠すように咲き誇る桜のトンネルの下で、多くの見物客がそぞろ歩きを楽しみました。
2011年3月11日。東日本大震災とそれに続く原子力発電所の事故で、町全体が立ち入りできない状態に。その後、少しずつ除染が進み、2018年には8年ぶりに念願の桜祭りの開催に至りました。一昨年の4月に訪れた際には、震災前に戻ったかのように、多くの人が花見を楽しんでいました。
2019年4月の夜の森の桜並木の様子
この桜の名所で1月31日まで、新たな取り組みとして「YONOMORI まち灯り2020」と題したイルミネーションイベントを開催しています。
桜の木約50本が赤や青のLEDで飾られています
開花基準木付近から続く桜並木が、およそ10万個のLEDで彩られます。私が訪れた時も、三脚を立てて写真を撮ったり、車内からイルミネーションを楽しんだり、見物客が見受けられました。福島県内のなかでも温暖な浜通りではありますが、夜ともなれば気温は氷点下に。その分、空気が冴え冴えして、イルミネーションはもちろんですが、星もきれいに見えます。
春が来たら、また満開の桜並木の下を歩きたいな。願わくは、マスクなしで。
ロータリーの真ん中にもイルミネーションが。富岡町のゆるキャラ・とみっぴーのフォトスポットも