トコトコ東北 by 川崎久子

第30回 桜の名所・夜の森に活気を再び!思いのこもった新名物(福島県・富岡町)

420本のソメイヨシノが並ぶ夜の森の桜並木。見ごろは例年4月上旬〜中旬ごろ。

樹齢およそ100年のソメイヨシノが全長2.2kmにわたって連なり美しいトンネルをつくる夜の森の桜並木は、福島県下有数の桜の名所。ここ夜の森地区で原発事故にともなう非難指示が解除されたのは、202341日のことです。やっと人が住めるようになったふるさとに、震災以前のようなにぎわいを取り戻したいという思いから、その第一歩となるバウムクーヘンの工房がオープンしたと聞き、富岡町を訪ねてみました。

バウムハウス ヨノモリ」は桜並木の大通りから一本入った場所にある。駐車場に降り立つと、焼き立てバウムクーヘンの芳ばしい香りが漂っており、店に入る前から期待が高まります。

真新しい工房兼店舗は歯科医院だった建物をリノベーションしたもので、店頭のスタッフさん曰く、歯科医院に通っていたというお客さんからは往時を懐かしむ声もあるのだとか。大きな窓から陽光が差し込む明るい店内には、ちょっと休憩ができるようテーブルが置かれており、くつろげる雰囲気。工房内での作業の様子もガラス窓越しに見学できます。

店内から望む工房の様子。

こちらのバウムクーヘンは、富岡町内で育てられた米「天のつぶ」を工房で米粉にして使用しています。お味の種類は卵とバターの味わいを活かしたプレーン、夜の森の桜並木をイメージした桜もち風味、弾力がある食感が特徴の玄米(ハード)の3つあり、大きさは直径12cmほどのものと、直径7cmの「KIBO BAUM 樹望バウム」の2サイズから選べます。それぞれの味わいや食感の違いを食べ比べてみましょう。工房に併設の店舗らしく製造過程で出る切れ端なども販売。自宅用なら端っこ詰め合わせもおすすめです。

夜の森バウムは、まだ生まれたばかり。新しい町の特産として全国に羽ばたいてほしいものです。

手のひらサイズの「KIBO BAUM 樹望バウム」

端っこ好きにはたまらない切れ端の詰め合わせ。

ところで米粉として使用している「天のつぶ」、私は今回はじめて存在をしりました。1995年から15年もの開発期間を経て誕生した福島のオリジナル品種で、ふっくらと炊き上がり、粘りが少ないことからチャーハンや丼ものにぴったりとか。さらに冷めてもおいしく、お弁当やお寿司などにも向くそう。「天のつぶ」、ご飯としても俄然食べてみたくなりました。今年の新米の時季に探してみなくては!

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