VOL.8 星野リゾート 西表島ホテル 比佐雅宏さん

西表島の魅力を歩いて見つける、お手伝い実践中!

Vol.8 比佐雅宏さん 1997年生まれ・24歳(星野リゾート 西表島ホテル)

2021年夏、世界自然遺産に登録された西表島(いりおもてじま)。その豊かな自然を満喫してほしいと、「星野リゾート 西表島ホテル」で始まったのが「イリオモテガイドウォーク」。スタッフの比佐雅宏さんが島の魅力を楽しくガイドしてくれます。

―――お仕事の内容を教えてください。

 入社してから1年とちょっと。沖縄の大自然が好きで沖縄エリア配属希望だったのですが、これ以上遠くないところに配属になりました(笑)。配属されてからは図鑑を手にジャングルを散策したり、海辺の生き物を観察したりと勉強しています。仕事はフロントのサービス管理と、ガイドウォークの運営に携わっています。ガイドウォークでは単純に動植物を紹介するのではなく、世界自然遺産に登録された本質である、この島のもつ生物多様性に絞ってお客様にお伝えしています。島の魅力と価値を感じていただくというホテルのメッセージも伝わりますし、お客様の満足度も高いと思います。

どなたでも参加できるガイドウォークですので、そのときに参加されるお客様の年齢層に合わせてご紹介できるようにしています。子供向けには鳥の人形で説明したり、ご高齢のかたは、ゆっくり足元を気にされて歩いていると逆に小さな生き物を見つけられることが多いので、興味をもってくださったことに説明する形にしたりと、工夫しています。2021724日から始まったばかりですので、まだまだ改善点も多いです。

―――実際にジャングルコースを案内してください。

 まず、オオタニワタリという植物です。高い樹木に着生して生育する着生植物で、不思議な形状をしています。葉がたまって腐り、腐葉土を作って着生しています。あらゆる場所に着くことで、光を取り入れようとしているのです。天ぷらなどで食べることもできますよ。

 

クロツグという木は人の暮らしと関わってきた木です。沖縄の民芸品の指ハブの材料なんです。

 

タカサゴシロアリが歩いた跡が木に付いています。その巣がこれです。森にとっては有益なシロアリで、倒木に巣をつくって木を分解します。この巣に住み着く鳥が、アカショウビンで、子育てに使ったりします。

 

―――ところで、ご趣味は何ですか。

フィールドワークが好きで大学の時にもよく散歩をしていました。そのなかでとくに都内の銭湯に関心をもって、卒業論文も銭湯でした(笑)。銭湯に興味を持ったのは、友人が「銭湯同好会」に入っていて、誘われて行ったのがきっかけです。東京・渋谷にある「改良湯」に行ったときに、ちょっと暗くてモダンな雰囲気が、心身共に落ち着いてとても寛げたのです。大学に入ってから、何かしなければと自分の思考が凝り固まってしまっていて…そんな自分がホッとできる場所が銭湯だったのです。それから銭湯巡りをするようになりました。

480円で、地域の中で誰でも行くことができ、裸の付き合いができる気軽な空間が銭湯の良さです。体の解放感としてはサウナも好きです。西表島の海で浮遊しているのも好きです。ちなみに私が好きな東京の銭湯のベスト3は渋谷の「改良湯」、高円寺の「小杉湯」、墨田区の「大黒湯」。銭湯は地域の文化の交流の場として進化しています。

この会社に入ったのも、運営に特化する会社だからこそ、内部の魅力や企画で施設を盛り上げるということを学びたかったからです。いずれは地域との結びつき、文化の発信地という拠点づくり、居場所づくりに関わっていきたいです。

 

―――西表島を訪れるゲストに伝えたいことはありますか。

 西表島の一番の魅力は、自分で発見する面白さ、でしょうか。私たちガイドがまずはお手伝いをしますので、次は図鑑を手にいろいろな場所を歩いてほしいですね。

マングローブの種が落ちていることがありますので、特徴的な形なので気づいてほしいですし、電線に留まっている鳥もカラフルなのでぜひ注目してください。キンバトやチュウダイズアカアオバトなどが見られます。シロハラクイナは親子で歩いていることもあるので、出会ってみてください。この島でしか体験できないことがたくさんあるので、ぜひ楽しんでみてください。

  

関屋メモ

正面から見ても、横から見ても爽やかだあ~。爽やかさを絵で描くとこういう青年になるという印象の比佐さん。長野にいるご両親と葉書のやり取りをしているとのこと。相手を想いながら葉書に向き合う時間が好きだという、ほら、好青年! 電話やSNSでもご家族とは連絡は取りあうとのことですが、「書くこと」をやり取りすることは西表島だから習慣になったということで、とても楽しんでいる様子が伝わります。空間づくりに興味があるという比佐さん、今後星野リゾートの大きな戦力へと成長していく過程も追ってみたいと思いました。どこに行っても、その爽やかさは失わないでねと、老婆心丸出しでした。

比佐さんとご両親がやり取りしているお葉書など

 

取材・文/関屋淳子 撮影/yOU(河崎夕子)

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