VOL.4 星野リゾート OMO5東京大塚 安藤大介さん

自分も楽しみ、お客様に喜んでいただける企画を考案!

Vol.4 安藤大介さん 1987年生まれ・34歳(星野リゾート OMO5東京大塚)

2018年にオープンした「星野リゾート OMO5東京大塚」。旅のテンションを上げる都市観光ホテルとして、街に溶け込み、ご近所を丸ごと楽しむ企画を打ち出しています。「OMO」という新たなブランドに携わる安藤大介さんに、ホテル、街、ご本人の魅力に迫ります。

――「星野リゾート OMO5東京大塚」の開業メンバーですね。

 安藤: 20169月の入社ですが、その前はカンボジアのホテルで働いていました。入社後は「星野リゾート 界加賀」を経て、この新しいブランドの立ち上げに関わりたいと思いました。じつは大塚は名前も知らず、駅を降りたこともありませんでした。

OMO」では「ご近所ガイドOMOレンジャー」が街を案内するツアーがあります。散歩やはしご酒、定番グルメなど目的に応じたツアーがあります。お客様をご案内するのですから、まず自分たちが街をとことん知り尽くさなければいけません。開業前の1か月半ほど、さらに開業してからも、とにかく街中の飲食店を訪ねまくりました。

 ――街の探索はどのようにされたのですか?

 安藤:大塚は老舗の居酒屋やこじんまりとした素敵な飲み屋さんなどが多い街です。私はお酒は好きなのですが、飲むときは友人と連れ立って店に入るので、まったくひとりで、ということはありませんでした。暖簾がかかる店の扉を開けるのが怖くて、隙間から店の様子を覗いてみたり(笑)…それでも、えい!と勇気を振り絞って店に入り、カウンターの空いている席に座ります。「引っ越してきたばかりで、ホテルに勤めていて、何も知らないので」と素性を名乗ります。最初は緊張しながらでしたが、どのお店の方も皆さん、とてもフレンドリーだったのです。

一度顔を出す程度ではだめだと思い、日を待たずに通って顔を覚えてもらいました。でも仕事だからという意識ではなく、一個人として、その店で美味しいものを食べたい、楽しみたいという気持ちからです。今では大塚で飲むことがほんとうに多いですね。

こうして街の方と親しくなったことで、OMOレンジャーとして実際にお客様をお店にお連れしたときに、私とお店の方が自然に仲がいいということが分かっていただけるのだと思います。今はコロナ禍の自粛期間ということもあり、飲食店を一緒に訪ねるツアーはできないのですが、再開したときには、お客様におすすめのお店を体験していただきたいですね。

――大塚という街の魅力は何でしょうか。

 地元の方がお客様を楽しませたいという気持ちが強いと感じます。海外からいらしたお客様を案内しても、言葉が通じなくてもすぐに打ち解けて仲良くなってしまいます。街の人柄とでもいうのでしょうか、地元で長年愛されているお店や新規店でも、大塚への愛着がとても強いのです。ふらっと立ち寄るだけではわからないのですが、深く付き合うほど、地元の皆さんはとても魅力的です。

それでもOMOレンジャーとしてお客様をお店にお連れするときはとても神経を使います。お客様、お店の方、常連の方、そして私が一緒に楽しめる時間を持つことが理想ですから、周りの様子をみながら、感じ取りながら様々な判断をしなくてはなりません。OMOレンジャーの仕事は楽しいだけではなく、「察する力」を張り巡らせておかなければいけないと、実際に仕事をしてわかりました。気を遣っているのを悟られないようにしながら、めちゃめちゃ気を遣います(笑)。

OMOレンジャーとしてお客様を案内する間は完全なフリートークです。高度な接客ですよね。沈黙になるのが一番怖いです。お客様の好みを聞き取りながら、趣味や旅行の話などでお客様を和ませつつ場を盛り上げるようにしています。「カンボジア」「ディズニー」「パン屋」のどれかのキーワードでお客様と盛り上がります。

 ――ディズニーやパン屋ですか?

 安藤:はい、カンボジアのホテルで働く前はディズニーリゾートのホテルで、さらにその前はパン屋でも働いていました。学生の頃から接客の仕事がしたいと思っていました。ディズニーの世界観に憧れて、4年半働きましたが、毎日100%に近い稼働率で、お客様が来てくださるのは当たり前になり、ただ業務をこなしているという感覚になってしまいました。英語もしっかり話したいという気持ちもあったので海外のホテルへ。今は、お客様に来ていただくことがどれほど大変かということも実感しています。

OMO」は旅のテンションを上げることを掲げています。そのためにはスタッフが楽しんで仕事をすることが大切だと思っています。例えば、私たちには制服がありませんので、クリスマスシーズンにはサンタクロースっぽいセーターを着たりとか、「大塚下町DJナイト」という企画のために、3か月間プロのDJから教えてもらいながらスタッフが練習して、披露しました。桜並木をギターを弾きながら案内するとか……ここで色々なスキルが身につきましたね。

OMO」らしいフレンドリーなスタイルを、スタッフ全員で作り上げていきたいと思っています。夏に向けては、野球場のビールの売り子さんのようなスタイルで、お客様に黄金比の美味しいビールをご提供したいと張り切っています。

今後は、OMO5沖縄那覇やOMO7大阪新今宮など全国にできる「OMO」の開業にも携わってみたいですね。自分がワクワクすることをお客様に体験していただく。アンテナを常に張って楽しい企画を考えていきたいです。

 

関屋メモ 

とってもチャーミングな安藤さん。大学時代によさこいを踊り、今はダンスサークルで、Kポップにはまっているそうです。12人でユニットを組み、コンテストでIZ*ONE(アイズワン)の完全コピーで受賞をしたと嬉しそうに話してくれました。

ダンスサークルでのひとこま(ダンス写真は安藤さん提供)

撮影の際も、カメラマンの要求に応えて様々なポーズを披露、自分の個性を知りキラキラ、イキイキと毎日を暮らしていることがよく伝わります。割れた腹筋も見たかった(想像です)。ひとりっ子で甘え上手らしく、こりゃあ、年上女性にモテるでしょう?と聞くと、「はい」と素直な返事。よいよい。お酒も強いということで、今度一緒に飲みましょう! おばちゃんがだいてやるぜ~(富山弁でおごってあげるという意味です)。それから、OMOのダンスチームを作って、チームワーク抜群の素敵な踊りも披露してね。

取材・文/関屋淳子 撮影/yOU(河崎夕子)

 2018年、開業当時の宿泊リポートはこちら

 

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