ルーツは青森県人!公私ともに全力で青森応援中
Vol.2 髙橋伶央さん 1991年生まれ・29歳(星野リゾート 奥入瀬渓流ホテル 総支配人)
コロナ禍の4月、青森県の景勝地、奥入瀬渓流沿いに建つ「星野リゾート 奥入瀬渓流ホテル」の総支配人となった髙橋伶央さん。荒波にもまれた船出ながら、しっかり地元に根を張った戦略を遂行していました。青森を知り尽くしたい!という純粋な思いを語る素顔に迫ります。
――奥入瀬渓流という圧倒的な景勝地に立つ宿としての利点はなんでしょう。
髙橋:北海道札幌市出身で、札幌国際大学観光学部でエコツーリズムを専攻し、2013年に新卒で入社しました。沖縄の小浜島、北海道のトマムを経て、ここで総支配人に就任しました。
ホテルと奥入瀬渓流は切り離すことができない存在です。相互の魅了の相乗効果を生み出すという、学んでいたエコツーリズムが、今、生きていると思います。奥入瀬渓流は大きな旅の目的になりますが、それ以上に奥入瀬渓流ホテルを目指して旅をしてくださるお客様を増やしたいのです。
フレンチレストラン「Sonore(ソノール)」で過ごす優雅な時間を筆頭に、渓流オープンバスツアーで巡る奥入瀬渓流や様々なアクティビティなどを通して、ホテルに一日滞在してみて、もっと泊まってみたい、季節を変えてまた滞在したいと思っていただける、旅の目的地になる宿が私の目指すところです。
――そのために総支配人としては何が必要だと思いますか。
髙橋:スタッフ一人一人が同じ目標に向かいお客様をお迎えすることです。それは、現場で何が起きているかを大事にすることなのです。総支配人はどうしてもデスクワークが多くなってしまいますが、お客様に直接接しているスタッフからの話を聞く、自分の目で見る、あるいはお客様からじかに話を聞く、そういうことを怠ってはいけないと思っています。今日はロビーの掃除をしていましたが、実際にソファに座ってお客様目線でどこが気になるかをしっかり把握して掃除する、地味なことですがこのような積み重ねが大切だと思っています。
今は、目に見えない新型コロナウイルスが流行しています。お客様に安心していただくために、とにかく万全の対策を見える化することが一番大切だと思います。スタッフの出退勤の際の検温、飛沫防止対策、食事のビュッフェの際の様々な対策など、感染症防止対策を最優先する体制を整えています。
総支配人になってからの数か月間、いろいろと試行錯誤をしながら作り上げてきた対策ですが、これがベストだとは思っていません。さらにできることは何でも実行していきたいですね。ですので、お客様から安心して滞在できたというお声をいただくとほんとうに嬉しいです。
――休日は何をして過ごしているのですか。
髙橋:東北は北海道と異なる自然や歴史があり、今、それを楽しみながら吸収しているところです。休みの日は、近場の観光、マイクロツーリズムを積極的に行なっています。県内はほとんど足を運びましたね。八甲田山や周辺の温泉、青森のシードル工場など。A-FACTORYというシードル工房に行ったときには、リンゴの品種ごとにシードルがあることに驚きました。
食べ物もおいしいですね、なかでもホタテはその魅力をずっと語れるくらい、大好きです。また、十和田のバラ焼きも。この地域のB級グルメですが、歴史ある料理です。バラ焼きの誕生は戦後間もない頃で、米軍からの払下げで安価で牛肉のバラやホルモンが入手できるようになり、これを美味しく食べようとしたことに始まります。焼肉のような、韓国のプルコギのような、店ごとに味が違いますので、食べ歩きも楽しいです。
――全力で青森を満喫しているのですね。
髙橋:じつは最近家系図を作っていて、江戸時代までさかのぼることができました。出身は北海道ですが、ルーツは青森だったことが、つい最近判明したのです。祖父は青森の五所川原から函館に渡ってきたことはわかっていましたが、五所川原周辺にいた一族がご先祖様だったようなのです。それがわかってから、青森というご縁がある土地で暮らし、仕事をし、楽しみたいという気持ちがより強くなりました。なんだか導かれたような思いがします。
この素敵な土地の魅力をより多くの方に知っていただきたい、そのためにも自分が一番の青森の、奥入瀬渓流のファンであり続けたいと思っています。
関屋メモ
あまりにも優等生すぎる! チコちゃん的には「つまんねー奴だなぁ」と悪態をついてしまいそうになるほど、とても真っすぐな答えばかり。そんな思いで話を聞いていたのですが、その立派なガタイは、体育会系?と思ったところ、甲子園を目指していた高校球児だったと判明。たしかに、爽やかでしっかりとした野球少年の面影が見え隠れしていました。さらに、オリックス・バファローズのファンだというではないですか。オリックスファンなんて会ったことない!と過剰反応するほどの衝撃。ファンになった理由が、弱いチームを応援したいから。たしかに今年は特に最下位を驀進中のオリックスですから……。「つまんねー奴だ」なんて思ってごめんなさい、ユニークでひねくれていてすごく優しい奴だったのですね。来年は、オリックスと我が阪神タイガースの日本シリーズを楽しみにしましょう!
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取材・文/関屋淳子 撮影/yOU(河崎夕子)