VOL.22 OMO7高知(おも)by 星野リゾート  坂上 拓未さん

“好き”を極め、モチベーションに!

VOL.22 坂上拓未(さかうえ・たくみ)さん 1998年生まれ、25歳 OMO7高知(おも) by 星野リゾート

20246月にグランドオープンした「OMO7高知(おも)by 星野リゾート」は高知の魅力を発信する「街ナカ」ホテルです。記事はこちら。街を愛するOMOレンジャーである坂上拓未さんは、想像力と創造力を併せ持つDIYボーイでした。

 

――30か国ほど海外を回られたと聞きました。

 高校卒業後、大学に行くかわりに何をしたいかと考えたときに、旅が好きだったことから海外を訪ねたいと思いました。ピースボート船旅に参加し、20か国ほどヨーロッパを巡りました。また、国内では環境問題に興味があったので、ごみゼロ(ゼロ・ウェイスト)を謳う徳島県の上勝町にも足を運びました。ホテルや旅館でアルバイトをして、お金を貯めて旅をするということを繰り返しました。4年ほどそのような生活をして、中途採用という形で星野リゾートに入社しました。

 ――自由な旅人から社会人になったのですね。

 ホテルや旅館でアルバイトをしていた時も、仕事が性に合っていると感じていましたし、環境問題にも取り組む星野リゾートに興味があり、入社に至りました。最初の配属は開業メンバーとして「界 霧島」でした。お酒も好きなので、焼酎のことも深く知ることができとても楽しかったですね。2年半ほど勤め、「OMO7高知」へ。もともと、自分自身の旅のスタイルが街歩きなので、街の方との関係を深く築くことができる「OMO」を希望していました。今はOMOレンジャーの仕事をメインにしています。

 

――OMOレンジャーの仕事はいかがですか?

OMO7高知」では、今のところ日曜市(お城下追手筋の約1㎞で開催される街路市)を巡るガイドツアーだけなので、日曜日限定なのですが、毎日行なえる近場の街の魅力を伝えるツアーを考案中です。高知の方は距離が近いと思います。日曜市でも、珍しい野菜や美味しい食べ方など様々なことを教えてくれます。気軽に声をかけてくれて、誰に対してもフレンドリーでウェルカムなんです。ホテルのスタッフも高知出身の方がたくさんいらして、休日遊ぶ時などもおすすめのお店などを教えてくれるので、頼もしい限りです。

ガイドツアーでは「酢がきいちゅう」という内容で、土佐弁で「酢がきいていて美味しい」と「気が利いている」を掛け合わせています。ですので、柚子酢を使ったお店や名物のお母さんがいるお店などを巡ります。日曜市はスーパーより安いですし、お客様から高知のことを深く知ることができたという声をいただけると、嬉しいですし、やりがいがあります。一方、日曜市では350店舗ほどが出店するのですが、ガイドツアーで寄ることができるのは10店舗ほど。幅広く紹介することができないのが、もどかしく、申し訳ない気持ちになります。街路市はほかの曜日もあるので、ガイドツアーを組む際の今後の課題だと思っています。

 

――高知の深掘りをしている最中なのですね。

 高知では、大人はもちろん、子どもの間でも土佐弁が飛び交っていて、びっくりします。それほど地元を愛している人が多いのだなと感じます。土佐弁も少しわかるようになってきました。ホテル周辺も若い方が開いたカフェなども増えてきていますので、新たな魅力をお伝えできると思います。ホテルのお客様は4060代の方が多いのですが、「鰹」と「坂本龍馬」以外を発信することを目指しています(笑)

 

――プライベートな時間は何をしていますか?

 器集めとDIYです。DIYでキャンピングカーやコンテナハウスを造っていました。キャンピングカーは、バンを購入し、中を改造して寝るスペースやキッチン、電気系統などを入れて造りました。キャンプに行くならば、自分の造った車で行くという感じで。以前の職場である「界 霧島」にはキャンピングカーで通っていた時がありました。今は、賃貸の部屋でできるDIYをしていて、集めた器を飾るギャラリーを造りました。

DIYで快適なキャンピングカーも(本人提供)

器は、高知在住の作家の方のところに行ったり、徳島にある「遠近」というショップとカフェを併設する店で民藝の器を購入したりしています。ただ、地方在住の作家の方の器は東京に集まってしまい、地元では購入できないことが多く、残念な感じがあります。料理を盛る器を集めていて、器から料理が好きになりました。好きな器を前にすると、心が豊かになると思います。また、カメラも好きで、ドローンも飛ばしています。純粋に好きなことを楽しんでいます。

好みの器を飾り、ギャラリー風に(本人提供)

 

――将来の夢を教えてください。

 家を自分で造りたいと。緑が見えて、自分の心地いい空間で楽しみたいなと。あるいは、自分の好きな器のセレクトショップを開き、その器で食事を提供するような場もつくってみたいなと思います。

 

 

関屋メモ

「とても緊張しています」と現れた好青年は、笑顔の素敵なやはり好青年でした。プライベートの充実ぶりは素晴らしく、とてもいい感じで仕事のモチベーションにも反映されているのでしょう。生みの苦しみを乗り越えた先にスキルが付き、さらに楽しくなるはずという言葉が印象的で、ゼロからモノ作りをするDIYを極めているだけあるなと。坂上さんと話をしていて浮かんだ言葉は「柳に雪折れなし」。しなやかに、さらに丈夫に大きく成長してください。

 

取材・文/関屋淳子 写真/yOU(河崎夕子)

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