第9回 「星のや 軽井沢」(後編)

星のや 軽井沢」には、無料で参加できるものから、滞在日数や目的や合わせた有料のものまで、スパプログラムが多数用意されています。フロントスタッフに相談しながら参加してみてはいかがでしょうか
 施設や食事等を紹介した前編に引き続き、スパプログラムをご紹介します。

乾燥や冷え対策に
10分間の簡単ハンドケア

最初に私たちが体験したのは「葉あわせ」です。これは、331日までの冬限定のスパアクティビティですが、体調に合わせた草根木皮(そうこんもくひ)のお茶とオリジナル和精油によるハンドケアを施術してくれるものです。

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好みの香りに包まれながらの心地いいハンドケア

スパ受付で身体にいい黒豆茶をいただきながら、コンサルティングシートで簡単な質問に答えます。セラピストと相談しながら、冷えやむくみ、便秘など、症状に合わせた4種類の草根木皮の茶から好みの香りをセレクト。草根木皮とは、草の根と木の皮のことで特に漢方薬で用いられます。いかにも身体に良さそうですよね。木の香りが強いもの、甘い花のような香りがするものなど、その時の気分で選びます。

その後、日本人の肌に合わせてブレンドされたオイルを4種類から選びます。ヒノキ、カボス、ショウガ、ユズなどオリジナルの和精油からもセレクトできます。オイルのやさしい香りに包まれながら、セラピストが手首付近から指11本の爪先まで丁寧にマッサージしてくれます。特に冬は手足の冷えが気になる私ですが、10分ほどのハンドケアで血行が良くなり身体がほんのりあたたかくなりました。
乾燥しがちで仕事や家事などで日頃からがんばってくれているお疲れ気味の「手」をこの機会にケアしてあげてみてくださいね。

料金:1200円(草根木皮の茶葉+ハンドケア)/要予約

 

光と闇のバスで
五感を研ぎすませて入浴

客室の檜造りの内湯にも惹かれますが、源泉かけ流しの温泉を使ったちょっとユニークな温浴施設へ向かいます。温浴施設「メディテイションバス」は、光がやわらかく差し込む「光の部屋」と、ほのかな光のみが届く、まるで洞窟のような「闇の部屋」に分かれています。

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あたたかみのある「光の部屋」

浴場に入ると、まずシャワーブースと打たせ湯があります。浴槽の入口は段差になっているので注意しながら入りましょう。この段差は身体への負担を軽減し、ゆっくりと身体をあたためながら温泉に慣れるように入るために段差になっているのです。
打たせ湯を抜けると、広々としたスペースが広がっています。ここが「光の部屋」。天井も高く、明るさに包まれているので、穏やかな気持ちへと導いてくれます。そして闇の通路を抜けると、そこには「闇の部屋」が。このスペースは、低めの天井に打たせ湯の音がかすかに届く心を静める瞑想の空間。光の部屋から闇の部屋へと向かうので、ほんのり光が届くとはいえ、最初はほぼ真っ暗な印象でこわいほどです。ですが、暗闇に慣れたら、頭を空にしてみてください。いつの間にか身体がほぐれ、心身が静かに解放されていきます。

 

「メディテイションバス」の湯温は40度前後の微温の湯です。水深は90センチほど。これらは副交感神経を刺激し、血液やリンパの流れを改善してくれるそうです。また、ここでは触覚・視覚・聴覚などを研ぎ澄ます、腹式呼吸を取り入れた"瞑想入浴法"も提案されています。浴場の入口に入浴法が書かれていますので、ぜひ試してみてください。

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上)打たせ湯 左下)リラックスルーム 右下)アメニティもいろいろ

温泉の泉質は、皮脂汚れを落とす弱アルカリ性。湯上がり後は脱衣所に用意されたボディクリームでたっぷりと保湿を。そして、リラックスルームのリクライニングチェアに身を横たえて、さらに身体を休めましょう。

 

ゆっくり深呼吸しながら
目覚めのストレッチを

20140315strech.jpg翌朝目覚めた後は、まず「のびのび深呼吸」に参加してみました。メディテイションバスのリラックスルームで毎朝830から行われているプログラムです。
7カウントで息を吐き、3カウントで息を吸うヨガの呼吸法を取り入れたストレッチを行いじっくりと身体をほぐします。首を曲げたり、足の指を回したり、股関節を伸ばしたりするゆっくりとした動作ですが、ほんのり汗ばむほど。身体が固い人は無理をせずに、タオルなどを使って楽な姿勢で行いましょう。20分ほどのストレッチで、すっかり身体が目覚めました! 毎日の生活にも取り入れられるような簡単な動きばかりなので、自宅でも実践したくなりますよ。

また、毎晩2045からは「ゆるゆる深呼吸」も行われています。これは就寝前、深い呼吸とゆっくりとした動作で心身をリラックスさせて、深い眠りに誘う夜のストレッチ。朝の「のびのび深呼吸」も、夜の「ゆるゆる深呼吸」もいずれも無料で参加できるプログラムですので、客室に用意された作務衣を着て気軽に参加してみてくださいね。

美と健康のために
温泉美養で水中ストレッチ
「のびのび深呼吸」で身体が目覚めた後は、930から行われる「温泉美養」に参加しました(男性は900〜)。メディテイションバスの「光の部屋」を使った、温泉水中ストレッチです。水着着用のプログラムですが、ボディラインがあまり気にならないスポーツタイプの水着レンタルがあるのも安心です。

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「光の部屋」で温泉水中ストレッチ

スパセラピストのレクチャーのもと、浮力や水圧を利用し、40℃前後の温泉につかって深呼吸しながらストレッチを行います。浮力のおかげで身体に負担がかかりにくい運動の上、血圧を下げて血行をよくする効果もあるそう。用意されたレモン水で休憩を取りつつ、先ほどの「のびのび深呼吸」で実践した73のヨガの呼吸法を行いながら20分ほど水中でストレッチを行います。
特に楽しかったのは、足を大きく広げながら水中を歩く動作。足を広げることで内ももが刺激され、歩くことで身体が上下するのでちょっとした浮遊感も味わえます。また、ジムで水中ヨガに参加したことがありますが、「温泉美養」はよりゆったりとした動きなので、運動した後も重い疲労感はありません。あたたかいお湯の中でゆったりと心身をほぐしていきますので、身体がより軽くなったような気がします。

 

20140315onsenbiyo2.jpgまた、14301500には昼休憩として「浮遊浴」も行われています。温泉の水面に身体を横たえて浮遊し全身を脱力させることで身体が浮く感覚を体験できるそうです。

 

料金:無料/前日21時までに要予約(浮遊浴は当日12時までに要予約)

 

朝は、「のびのび深呼吸」と「温泉美養」、昼は「浮遊浴」、夜は「ゆるゆる深呼吸」と13回、自分の身体と相談しながらスパアクティビティに参加してみてくださいね。

 

黒豆豆腐豆乳鍋と発酵玄米で
やさしく一日をスタート

ストレッチの後はお楽しみの朝食です。ルームサービスの朝食もありますが、今回は、昨晩ディナーを堪能したメインダイニング「日本料理 嘉助」で、朝の光に包まれながら「発酵玄米朝食膳」をいただきました。

 

季節ごとに献立は変わりますが、この日の朝食は生姜入りのかりん湯ドリンクで始まりました。季節の鉢物は、ふろふき大根の胡桃味噌添え。やわらかく煮込んだ大根に、ほんのり甘い味噌がよく合います。焼き魚は、鮭(トラウトサーモン)、蝦夷ししゃも、かますから選べます。私が選んだ蝦夷ししゃもは、オスとメスのししゃもが供されましたので、味比べができたのが楽しかったです。

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身体にいいメニューがいろいろ!
右上が豆乳鍋、右下は釜で炊きあげた、発酵玄米のもっちりご飯

豆腐豆乳鍋は、黒豆で作った豆腐の鍋です。鶏団子とキノコ、セリとベビーリーフも一緒に。これを出汁入りの豆乳につけていただきます。豆腐を口にした途端に、口いっぱいに黒豆の香りが広がります。ほろりと崩れるやわらかさも、出汁のやさしい味わいも、ふっくら弾力のある鶏団子も、身体にいいものが全身に染みわたるようです。
朝食のメインといってもいいのが、あたたかい場所で
3日間もかけてじっくり熟成させ、釜で炊きあげた発酵玄米のご飯。深みのある色合いの玄米ご飯は甘みがあり、驚くほどもっちり。そのままいただいても、金山寺味噌、梅干し、ちりめん山椒と一緒に味わうのもいいですね。あまりのおいしさに、思わずおかわりをしてしまいます。
この日のデザートは、砂糖入りのレモン水に生のまま1日漬け込んだリンゴのシロップ漬けでした。

朝のあたたかい光が雪に反射してキラキラと輝く棚田を眺めながら、"谷の集落"の朝ご飯をおいしくいただきました。新緑の季節には、まぶしいほどの緑を眺めながらの朝食を楽しめることでしょう。朝食は正午まで利用できますので、「のびのび深呼吸」と「温泉美養」を朝一番で利用してから遅めのブランチにしてもいいですね。

 

輝く美肌へと導く
酒粕・米粉の幸せトリートメント

「星のや 軽井沢」には、23日からのスパや食事を組み込んだプログラムもあります。今回わたしたちは331日まで行われている「発酵美人滞在」に組み込まれたスパトリートメントを体験してきました。

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粕玉を使った酒粕ボディトリートメント

まずは、スパ受付でひとりひとりの悩みや症状に合わせた丁寧なコンサルテーション。そして、水辺にある専用トリートメントルームへ移動します。2人同時の施術も可能なので、ご夫婦やカップルでも受けられます。

 

まずは、長野県佐久市の橘蔵酒蔵の新酒の酒粕を使った足湯からスタート。アミノ酸の働きにより美白や保湿効果があるとのこと。足湯をしながら、ローズウッドとセージ、またはローズラベンダーとゼラニウムを使ったフェイス用オイルを選びます。

そしてボディの施術には、酒粕と米粉をやわらかくまるめたボール状の「粕玉」が使用されます。足先から背中、デコルテ、腕、頭まで、セラピストによって全身をマッサージ。顔は桑の葉のお茶をひたした「ソウハクヒ」と呼ばれる桑の葉マスクで仕上げてくれます。こちらも美白と保湿効果があるそうです。あまりの心地よさに、度々意識を飛ばしてしまうほどの至福の時間へと誘われます。施術後はすぐに顔を洗わず、30分〜1時間ほど手で優しく顔を包んでみてください。こうすると、美白成分がより芯まで浸透していくそうです。

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3月31日まで行われている「発酵美人滞在」
毎冬の人気スパプログラム

「発酵美人滞在」のプログラムでは、1日目は胃腸のバランスを整えて慢性的な冷えを改善する、温球を使った指圧。2日目は、今回私たちが受けた「酒粕ボディトリートメント&桑の葉コラーゲンマスク」のスパを受けられます。そこに、「温泉美養」や、美白や身体の温め効果のある発酵スープの「発酵食スパキュイジーヌ」などを取り入れた内容となっています。23日の滞在で、スパ、食事や呼吸法指導、指圧や瞑想など、さまざまなアプローチで、体内の巡りを整えて美肌へと導いてくれるのです。

他にも季節に合わせた食事付きの滞在型スパプログラムがありますので、詳しくは公式HPをチェックしてみてくださいね。

 

星のや 軽井沢>

住所:長野県軽井沢町星野
電話:050-3786-0066(星のや統合予約)
23日(食事なし)156,000円〜(税・サ込/21室利用時の1名あたりの料金)
チェックイン
15チェックアウト12

http://www.hoshinoya.com/

(取材・文 塩見有紀子)

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