スキーシーズンも始まり、「星野リゾート リゾナーレトマム」はきらきら光る雪と氷の世界に包まれています。壮大な雲海で知られる雲海テラスは霧氷テラスに変わり、12月10日からは幻想的な氷の街・アイスヴィレッジが現れます。スキーばかりでなく、様々な冬の体験ができるのが、この施設の素晴らしいところ。
そして、さらにこの夏から強力な魅力が加わりました。レストラン「オット セッテ トマム」です。「オット セッテ」は同グループ施設の「リゾナーレ八ヶ岳」にもあり、フルコースのイタリア料理が堪能できるレストラン。トマムでも同様に素晴らしい食の世界を展開しています。12月からは冬メニューがスタートしていますが、私が堪能した秋メニューを改めてご紹介したいと思います。
北海道×イタリアンの神髄
レストランのコンセプトは「美食のカレンダー」。その時期の一番おいしいものが提供されるのですが、トマムと同じ山岳地帯に位置するイタリアのピエモンテ州や海産物が豊富なリグーリア州の郷土料理を北海道ならではの食材で料理。これに厳選したナチュールワインをペアリングします。
ではいただいた秋メニューをご紹介。
「宝箱」という名のアミューズ。その名の通り宝石箱に入っているのはホタテのムースや鱈のコロッケ、コーンのガスパチョなど。エディブルフラワーの彩りも加わり、食欲が刺激されるアミューズです。
温かい前菜は牡丹海老とクロスターチェのトースト。甲殻類のソースで牡丹海老の旨みがアップし、春菊などのサラダに白バルサミコの泡が程よい酸味で包み込みます。これに合わせるのはピエモンテのオレンジワイン。旨みの相乗効果が生まれます。
パスタは豚肉のラグーとおぼろ昆布のタヤリン。おぼろ昆布の強い旨味が和を感じるパスタ。イタリアンと北海道の融合がよくわかる料理です。
続いて魚料理はキンキのゴルゴンゾーラソース、玉ねぎのグラティナート。濃厚なソース、トリュフの香り、そして端正なキンキがベストマッチで、樽香のあるふくよかなシャルドネがキリリと締めます。
肉料理は落ち葉に隠れた牛肉と茸のカルトッチョ。カルトッチョは紙包み焼きで、こちらは牛肉の塩釜焼きです。マルサラとマスタードのソースで3種の茸とトリッパもあり。牛肉のしっとり感はもちろん、噛みしめるごとに旨味があふれ出し、食べ応え抜群。
デザートは2品。ラベンダーを添えたティラミスとソテーした温かい洋ナシに冷たいジェラート。赤スグリと黒スグリがアクセントです。
思い出すだけで口福の時間がよみがえります。季節をかえて料理をいただきに行くだけでも価値がある、そんな気分にさせてくれる素敵な体験でした。
レストランで使用している野菜を提供しているのが、旭川の隣、当麻町にある高橋農園さん。「オット セッテ トマム」の料理長とは旧知の間柄という農園さんです。ハーブや野菜を育てるビニールハウスを覗かせていただきました。土の起こし方を工夫する、肥料は馬糞のたい肥でもちろん無農薬。毎日きちんと成長具合や様子を見ることが大切と話します。旭川をはじめ周辺のレストランのシェフから信頼を得る、食のレベルアップには欠かせない存在なのです。
朝食は人気のブッフェで。ふわふわのフレンチトーストやジュース、サラダなどで健康的に。
そして忘れてはいけないのがフレッシュな牛乳。敷地内で育つ12頭の牛のミルクです。1日2回、スタッフが搾ります。ひと口に牛乳といっても季節ごとに味が異なるそうで、冬はこってり、春は甘く、夏は草の力強い味が出て、秋はさっぱりとのこと。私も乳搾りを体験させていただきましたが、一頭一頭に、どれほどの愛情を込めて育てられているかがよくわかります。
リゾナーレというと、自然と遊ぶ!ですが、スキーもスノーボードもしなくても、冬のお楽しみが尽きないのが「リゾナーレトマム」。「雪ガールステイ」という、滑らなくても楽しめるアクティビティや絶景スポットでの体験などができる宿泊プランも用意しています。
そして、なんといっても美食!「オット セッテ トマム」はきっと貴方の心とお腹を満足させてくれることでしょう。
オット セッテ トマム 冬メニュー
2019年12月1日〜3月31日 18:00~20:30
リゾナーレトマム サウス棟31階
1万3000円(税・サービス料別)
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取材・文/関屋淳子