前編では、「星野リゾート 奥入瀬渓流ホテル」ホテルや食事について紹介しましたが、後編では今回楽しんだバラエティ豊富なアクティビティをご紹介します。
●奥入瀬ランプ制作体験
地元で育てられたかわいらしいひょうたんに穴を空け、奥入瀬の苔やシダの葉を表現したランプ作りを体験できます。一見同じような形に見えるひょうたんですが、よく見るとちょっと長細かったり、どしりと座りがよかったり、ツルがひょろっと伸びていたりとひとつひとつ違います。皮の厚みによっても明度が異なるそうです。好みの形のひょうたんとデザインを選んだら、あとはデザイン通りに錐(キリ)でひたすら穴を開けていきます。注意点は、表面に対して垂直に穴を開けること。真っすぐな穴の方が光の反射がきれいになるそう。
淡く灯る明かりに癒される
最初こそ慎重にゆっくりと錐を刺していきましたが、慣れていくうちに穴を開ける感触がクセになり快感になっていきます。一緒に体験した方もひたすら無言で無心。行程の途中で光の灯り方を試しながら、ひたすら穴を開け続けて約50分で完成! 丸みを帯びたひょうたんのかわいらしい形と、あたたかみのある幻想的な灯りが、自分で作ったものながらとってもステキです。LEDの電球と専用台座付きできちんと梱包してくれるので、旅の思い出にぴったりです。家でランプを点けたら、まるでプラネタリウムのようでした。販売もしているので、体験する時間がない方もお持ち帰りできますよ。
アクティビティラウンジのディスプレイもステキ
・期間:2019年11月27日(水)まで(当日申し込み可)
・時間:10:00~、13:00~、16:00~ 所要時間約60分
・料金:1人5,000円
●奥入瀬渓流「目隠しさんぽ」
アイマスクをして目隠し状態で奥入瀬渓流に入り、触覚、聴覚、嗅覚で奥入瀬渓流の大自然を楽しむという今年から始まった新しいアクティビティです。人は視覚を奪われると、他の感覚が鋭くなるといいますよね。参加した後の私の場合は、両手の触覚が敏感になっていた気がします。
美しい奥入瀬渓流を目隠しで散策
この日案内してくださったのは、このアクティビティを発案したネイチャーガイドの折原さん。「奥入瀬渓流の大自然を感じていただくには、見るだけでは勿体ない。アイマスクをして渓流をあえて見ずに、耳・手・匂いで感じていただきたいと思います。目隠しをした状態と、アイマスクを外した時との違いも、面白く感じていただきたいですね」と折原さん。
スタート地点までは車で向かいますが、なんと車中でアイマスクを付けるのです。ワクワクが止まりません! 外が明るいことはなんとなくわかりますが、それ以外はアイマスクのため何も見えないので、送迎車から降りる時から折原さんがサポートしてくれます。下車した途端に、「川が右から左へ流れている?それとも左から右?」なんて感覚が狂っているのが不思議です。折原さんの肩につかまりながら、いよいよ渓流沿いの散策路に入っていきます。
折原さんによると、目隠ししているため車を降りるのさえ怖く感じる方もいれば、少しずつでもちゃんと進む方など、降車時の様子で参加者の特徴がつかめるそう。そして、私自身はほとんど怖がることもなく、折原さんに先導していただきながら散策路をグイグイと進む、今までの参加者の中でも一番積極的なタイプだったそうです(笑)。それは何故かな?と思ったのですが、折原さんの丁寧なサポートのおかげが一番でしたが、私自身が木や岩、苔や渓流に見守られているような気持ちになっていたからだと思います。隣りにはとどまることなく流れ続ける渓流、耳を澄ませば葉擦れや風の音、夜に降った雨のおかげで、しっとりと濡れた苔やたくさんの木々の匂い。視覚がなくとも心がすっと落ち着き、ここがとっても居心地のいい空間となっていたのです。
折原さんの案内でさわったり、嗅いだり!
散策中は折原さんの案内でアイマスクをつけたまま、さまざまなものに触ったり、匂いをかいだりといろいろな体験ができます。そして折り返しポイントでアイマスクを外します。来たコースを今度は戻りながら、先ほど触ったものは何か?匂いをかいだものは何か?客室から持参したルーペを使って苔の観察をしたり、奥入瀬渓流の生息環境を解説してもらいながらの答え合わせです。
想像していた通りだったり、想像していたものとはまったく違っていたりと、答え合わせの時間も新たな発見がいっぱいです。参加者の中には、靴を通して足の裏の触覚が鋭くなったり、苔の種類の違いを匂いで判別できる方もいるとか。私自身の臭覚は鈍感でしたが、目隠ししながら手でいろいろなものを触れていくことがとても楽しく、苔むした太い幹に抱きつくような勢いで好奇心のままにあちこちさわっていました。通常の奥入瀬渓流散策とはちょっと違う、目隠ししての散歩で新たな発見をしてみませんか?
最後は目隠しを外して。苔をアップで見ると!?
・期間:2019年9月15日(日)まで(要予約)
・時間: 16:00ホテル出発 所要時間約1時間半
・料金:1人3,240円
●渓流モーニングカフェ
早朝4時50分にホテルをシャトルバスで出発し、観光客でにぎわう前の奥入瀬渓流を散策して、渓流を眺めながらコーヒータイムを楽しめるプログラムです。こんなに朝が早いので、参加者も数えるほどなのかな?と思っていたのですが、集合時間前から参加者が続々と集まってきます。実はほぼ毎回満員になる大人気のプログラムだったのです。シャトルバスで約5分、スタート地点から渓流沿いの散策路を歩きながら苔観察をしたり、写真を撮ったりと思い思いのペースで歩きます。ゴールではモーニングカフェがオープン。“やませ”と呼ばれるこの時期特有の霧がかかる幻想的な光景の中でコーヒータイムを楽しみます。
・期間:2019年11月5日(火)まで(要申込)
・時間: 朝4:50ホテル出発(9月1日からは5:50発) 所要時間約1時間
・料金:無料(宿泊者専用)
●奥入瀬ブレス
渓流モーニングカフェから戻ったら、ホテルの敷地内で開催される屋外ストレッチプログラムはいかがでしょうか? やわらかな朝の光がさしこむ中で、深呼吸を中心とした誰でも参加できるプログラムです。終了後にはハーブティーも用意されます。
・期間:2019年9月30日(月)まで
・時間:6:00~6:30
・料金:無料(宿泊者専用)
●森の学校
奥入瀬渓流の魅力をより多くの方に知ってもらいたいと、西館の「ラウンジ 河神」で開校される日替わりの夜のプログラムです。この日の講師は十和田市出身の自然写真家・岩木登さんによる「十和田湖・奥入瀬渓流・八甲田山のスライドショー&写真講座」。地元の方だからこそ見られる・撮ることができる素晴らしい四季の写真の数々にうっとり。カウンターテーブルに用意されたドリンク片手に椅子に腰かけ、美しいスライドショーを見るという、ゆったりとした夜のひと時を過ごせました。
・期間:2019年11月26日(火)
・時間:19:00~、21:00~ 所要時間約30分、入退場自由
・料金:無料(宿泊者専用)
アクティビティ豊富でどれに参加しようか迷ってしまいますが、星野リゾート 奥入瀬渓流ホテルには温泉もあるので、入浴時間もお忘れなく。女性専用時間もある外湯の混浴風呂「八重九重の湯」はシャトルバスで約5分の場所にある、九重の瀧を望む開放的な露天風呂です。湯浴み着も用意されているので、家族やカップルも一緒に入浴できます。冬季クローズで、4~11月の14:00~22:45にオープンします。
渓流露天風呂と八重九重の湯
館内には、奥入瀬渓流を望む絶景の渓流露天風呂があります。夜に入浴すれば、ほんのりと照明が灯るぼんやりとした暗闇の中、すぐそばを流れる渓流の音が聞こえ、日中に入れば目の前に広がる鮮やかな緑に囲まれながらの湯浴みを楽しめます。これまで星野リゾート 奥入瀬渓流ホテルは季節限定で営業していましたが、2017年12月から冬季営業がスタートしました。こちらの渓流露天風呂では、寒さ厳しい冬季は氷結した滝に囲まれながら、銀世界の氷瀑温泉を楽しむことができます。
初めて奥入瀬渓流を訪れる方も、再訪問の方も、1泊では楽しみ尽くせないさまざまな魅力がある奥入瀬渓流。忙しい毎日を過ごす内に、いつの間にか心が急いてしまいがちですが、豊かな自然の恵みに囲まれた「星野リゾート 奥入瀬渓流ホテル」で心と体をときほぐし、自分の時間を取り戻してみませんか。
星野リゾート 奥入瀬渓流ホテル
青森県十和田市大字奥瀬字栃久保231
料金:1泊2食付き1名22,000円~(2名1室/青森りんごキッチンでの夕食・朝食利用の場合)
Sonoreのディナーコース1名15,000円。
渓流テラス朝食 大人4,000円(ビュッフェ朝食付からの変更は大人+1,300円)
https://www.oirase-keiryuu.jp/
取材・文:塩見有紀子