贅沢な空間で味わう狩猟肉ディナー
星のや富士のパブリックスペースやキャビンをご案内した前編に続き、後編では食事やアクティビティをご紹介。楽しみはディナータイムへと続きます。
星のや富士には3つのダイニングがあります。大きなグリル台のある「メインダイニング」、グランピングマスターとともにダッチオーブン料理を屋外で楽しむ「フォレストキッチン」、キャビンのテラスリビングでいただく「インルームダイニング」です。私たちが今回いただいたのは、グランピングの醍醐味を一番味わえそうなフォレストキッチンでの「冬の狩猟肉(ジビエ)ディナー」です
冬のジビエディナー
冬のジビエディナーは、"丘陵の森ごもり"をコンセプトとし、秋に収穫した狩猟肉を冬までじっくり熟成させた猪肉のハムやベーコン、他の季節に比べるとクセが少なく食べやすい鹿肉、根菜などの冬野菜を食材としたメニューです。実は、山梨県でも鹿や猪の急増により農作物や林業への被害が深刻化しているそう。県でも頭数を抑える対策として捕獲・消費を促しており、星のや富士でも地域への貢献という思いから、シェフ自らが山に入って地元の猟師さんに教えを請い、旨みたっぷりの良質の狩猟肉を滞在客に提供してくれているのです。
この日のディナーは、「猪ベーコンと里芋のみぞれスープ」でスタート。里芋と焼きネギをダッチオーブンで炒め、冬に甘みが増すカブのおろしをあたたかいコンソメスープに加えます。お好みですりおろしたユズをトッピング。ほっこりあたたかいスープは、冷えた体を一気にあたためてくれます。
猪ハムの藁スモークと冬野菜のジャーサララダへとコースは続きますが、「フォレストキッチン」でのディナーの楽しみのひとつが、グランピングマスターと一緒にディナーを作り上げること。ダッチオーブンや鋳鉄製のフライパン"スキレット"を使って、焼いたり炒めたり、そしてプレートへの盛り付けをしたりと、滞在客自らが料理を作る楽しみを感じられるのです。もちろん調理方法を熟知しているグランピングマスターのサポートがあるので、アウトドア初心者でも失敗することがまずないのも安心です。
ランタンの灯りのもと、自分たちで調理しながらいただく狩猟肉のディナーコース
私たちもグランピングマスターに教えていただきながらスキレットやダッチオーブンで調理し、「鹿レバーと香味野菜のスチーム ウイスキーと醤油の香り」や、「鹿ロースのグリル 冬野菜のロースト」をいただきました。特に気に入ったのが、「猪肉と味噌のリゾット」。ダッチオーブンで、地元の梨北米と猪肉のミンチをオリジナルのブイヨンスープで焦げ付かないようにかき混ぜながらぐつぐつ煮ます。そこにパルミジャーノ・レッジャーノチーズとクレソンを加えて煮込んだリゾットです。鼻に抜ける猪肉の香りとチーズのコクがあいまって滋味あふれる料理なのに、とってもおしゃれなメニューとなりました。
鹿肉や猪肉に合わせたウイスキーやワインと一緒にディナーを
ランタンのやさしい明るさやアウトドア用コンロの火が灯る中でいただく「フォレストキッチン」でのディナー。森の中ならではの解放感もありながら、臭みの少ないうまみが凝縮したジビエを自分で調理するというアウトドアならではの楽しさも体験できる贅沢なディナータイムでした。
冬の狩猟肉ディナーは2018年3月15日までですが、そのあとは春野菜を組み合わせた「春の狩猟肉ディナー」が始まります。また、キャビンのコタツで味わう「山麓の鹿しゃぶ鍋」は2018年3月15日までの提供なので、ぜひ味わってみてくださいね。
演出が楽しい!「モーニングBOX」
BOXにたっぷり詰まったおいしい朝食
翌日の朝食は、キャビンで提供される朝食限定の「モーニングBOX」をいただきました。こちらのモーニングBOXは、グランピングマスターが背負子を背負って朝食を持ってきてくれるという心憎い演出があるのです。そして、朝食が入っているタックルボックスは、バスフィッシングが人気の河口湖にちなんだ、釣り具を入れるタックルボックスをイメージしたオリジナルのステキな木製BOX。ここでもアウトドアを感じられるのが楽しいですね。
じっくり発酵させることで酸味を抑えたヨーグルト、昨日の夜にも登場したスキレットで焼いた具材たっぷりのオムレツ、ダッチオーブンで焼かれたふわっふわのパン、本日のスープなどがテラスのコタツに並びます。
うれしいことに、この日も朝から快晴! 清々しい朝の空気の中、美しく輝く河口湖を目の前に眺めながらのゆったりとした朝食は格別でした。
屋外のコタツでランチタイム
また、ランチタイムに提供される、クラウドテラスでの「香ばしスープのライスポット」もオススメです。"アウトドアのコタツ"という贅沢な場所で、熱々のダッチオーブンを器にしてグランピングマスターのサポートで自分で調理しながらいただけます。
自分たちで調理するのが楽しいのです
大鱒、信玄鶏、レンコンや蕪、ブロッコリーなどのグリル野菜をスキレットで香ばしく焼いたりと、ここでもアウトドア調理を楽しめます。そして、ダッチオーブンの中のおにぎりの上からお好みの熱々のスープを加えるとグツグツ煮立って一気に湯気が立ち上がります。食材をジュージュー焼く音や香り立つ食材の匂いが辺りいっぱいに広がり、食欲がそそられます!
お好みで、甲州味噌やセミドライトマト、パルメザンチーズ、ごま油などをトッピングにどうぞ。
森に浮かぶ空中テントで静寂の夜を
ここまでのご紹介があまりにもオシャレなので「これはアウトドアなのかな?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、星のや富士にはアウトドア体験もしっかり用意されています。ひとつめは、一日2組(1組2名まで)のとても贅沢な「星降る森の空中テント」体験です。冬の河口湖は大変寒いですが、空気が澄んだ静かな冬だからこそ楽しめるのが、このアクティビティです。
グランピングマスターの案内で、暗闇に包まれた森の中を入っていきます。するとそこに用意されているのは、薪ストーブやラウンジチェアなどが配されたリビングスペース。そして見上げると、3本の木を利用して地上1.5mに設置された、浮かぶ空中テント。テントが浮いている!とかなりびっくりするはずですよ。
おいしいスイーツとあたたかいドリンクが用意されています
専属グランピングマスターのサポートでまずはリビングスペースで好みのドリンクをいただいたり、ホットデザートをいただいたりして冬の森ならではのくつろぎの時間を過ごします。その後、ハシゴを使って空中テントの中へ。思っていたより広いテントの中には電気毛布が敷かれた寝袋が用意されているので、やわらかくあたたかな寝袋にもぐってしまえば寒さを感じることはほとんどありません。
天井がネット状になっているので、用意されている双眼鏡で星を眺めたり、覆いかぶさってくるような木立のシルエットの美しさに感動したり、ふたりきりの会話を楽しんだりと、ときおり揺れる空中テントならではのゆったりとした時間を過ごせます。心地よい揺れに、いつの間にか眠ってしまうこともあるかもしれませんね。
真っ暗な中、迫りくるような木立が美しいのです
そして、ギターや太鼓、バラフォンというアフリカの楽器などの演奏が日替わりで行われる「森の演奏会」。空中テントから耳を傾けると、森に響く幻想的な音色とともに自分もまるで森と一体となったかのような安心感に包まれるのではないでしょうか。
富士山を一望する早朝カヌー体験
翌朝もこんなに美しい富士山が見えました!
翌日のオススメアクティビティは、河口湖での「湖上の早朝カヌー」です。早朝6時50分に集合し、地元のアウトドアアクティビティショップの方の案内で、朝陽輝く神秘的な河口湖でカナディアンカヌー体験ができます。
まずはショップスタッフの指導の下、地上でカヌーの乗り降りの仕方や漕ぎ方を教わります。そして2人一組でカヌーに乗って、パートナーと息を合わせながら湖上へ漕ぎ出します。途中でスタッフの方がカメラで撮影してくれるので、富士山をバックにいい笑顔を見せてくださいね。よっぽどのことがない限り水に濡れることはありませんが、念のため足元はキャビンに常備されている長靴を履いていった方が安心かもしれませんね。
富士山をバックに地上で簡単に講習を受けてから漕ぎ出します
静寂に包まれた朝の河口湖で聞こえるのは、鳥が湖上を羽ばたく羽音や、自分たちがカヌーを漕ぐ音だけ。キンと冷え込んだ朝、湖上から立ち上る白い湯気、そして条件がそろえば裾野まではっきり見える雄大で美しいシルエットの富士山。静かで穏やかな河口湖での水上散歩は思わずため息がもれてしまうほどの贅沢なひとときです。朝一番の早朝カヌーは星のや富士だけの限定アクティビティなので、ぜひ参加してみてくださいね。
この他にも、星のや富士では、「星降る山麓 星空ツアー」「冬の森グランピングリトリート」「富士パノラマビュートレッキング」などの冬限定アクティビティや、乗馬体験、樹海ネイチャーツアー、燻製づくりなど年間を通して楽しめるアクティビティが豊富です。
冬にグランピング?とちょっと躊躇している方こそぜひ滞在していただきたい、星のや富士。凛とした澄んだ空気、冬空に輝く月や星、赤々と燃えるあたたかな焚き火、滋味豊かな料理、冬のアクティビティの数々。ゆったりとした時間を過ごせる冬のグランピングを星のや富士で体験すると、その楽しさにきっと魅了されるはずですよ。
ロマンティックで楽しい夜を過ごせます
星のや富士
1泊1室45,000円〜(食事別/税・サービス料込み)
https://hoshinoya.com/
(取材・文 塩見有紀子)