第114回 「界 松本」でワインに溺れ、温泉でふやける。大人こそ!わかる至福の滞在 (長野県・松本市)

美しい山々に囲まれ、国宝松本城が鎮座する松本。豊かな文化に育まれる魅力的な街です。松本駅からタクシーで約20分、1300余年の歴史を有する浅間温泉に位置する「界 松本」では、大人こそが楽しめる滞在の魅力にあふれます。

 

 

テイスティングで識る「NAGANO WINE紀行」

 有名な日本ワインの産地のひとつである長野県。千曲川・日本アルプス・桔梗が原・天竜川という4つのワインバレーがあることで知られています。なかでも松本市の南、塩尻市の桔梗が原は標高700m前後、水はけのよい砂礫層でワイン用ブドウの栽培に適し、寒冷地では栽培が難しいとされるメルローを真っ先に定着させた地です。

ワイン産地としての歴史や風土がわかる

NAGANO WINE紀行」(1500円、フロントで予約)では6つのワイナリー生産者の想いが伝わるオリジナル動画を観賞し、3か所のワイナリーのメルローを味わいます。テイスティングのお供は信州みそを使った味噌チーズと、種なし巨峰のドライフルーツ。これがとてもワインに合うのです。

メルローの飲み比べと、赤玉スイートワインも

桔梗が原メルローのパイオニアである五一ワイン。創業者の林五一氏が率先し、メルローの栽培を進め、それまでコンコードが主流だったワインを、世界に通用するワインへと導きました。メルローは豊かな香りとほどよい渋み、エレガントで飲みごたえがあります。

1916年創業の信濃ワイン。父子4代で幅広いラインアップを展開しています。こちらのメルローは柔らかな果実香と樽香が調和し、飲み飽きしないバランスの取れた美味しさです。そしてもうひとつがサンサンワイナリー。遊休荒廃地をワイン畑に転換し、地域の環境保全と振興を続けています。メルローはベリー系の果実感とほどよい酸味があるやさしい味わいです。

色々質問してみよう

こうして飲み比べるとそれぞれのワイナリーの個性がよくわかり、自分の好みも分かります。グラスのなかで温度が変わるとまた味わいも変化する、そんな微妙なテイスティングも楽しめました。

夕食はワインのペアリングでパワーアップ

 夕食の特別会席でもぜひワインを合わせて味わいましょう。

先付の蕎麦の実とフォアグラのムースには、青梅を使った日本酒スパークリング。これは、料理をこのお酒に合わせて作ったでしょうと思えるほどのぴったり感。ワインではないのですが、まずこの組み合わせに驚きます。

先付から驚きのペアリング

信州サーモンなどのお造りにはシャトーメルシャンの桔梗が原メルローのロゼ。揚げ物にはアルプスワインの松本平シャルドネ。

松本手まりをかたどった器も素敵

揚げ物は白ワインですっきりと

そして台の物、鶏と鴨のおしどり鍋には井筒ワインのシラー。鍋物に赤?と思いましたが、鶏がらベースの出汁にくぐらせる鴨肉が、スパイシーな香りとなめらかなシラーによく合い、とても新鮮な組み合わせでした。

さらにデザートのワインゼリーに合わせるのは五一ワインの氷果の雫。ナイアガラを凍結させて造るデザートワインで、華やかで贅沢な締めくくりとなりました。

また、日本酒の飲み比べセットもあり、酒好きにはたまりません!

ワイン片手に音楽の夕べ

 そして、まだまだ続きます。「界 松本」では「ご当地楽」として、ロビーコンサートを行っています。松本は「セイジ・オザワ 松本フェスティバル」が毎年開催されるなど楽都と呼ばれるほど音楽に縁のある地。ロビーは天井高が13mもあり、さながらコンサートホールのような造りで、ここで毎晩、地元の音楽家が素晴らしい楽曲を披露してくれます。

この日の演奏者は、トランペット・民谷和大さん、ピアノ・渡邉玉紀さん

振る舞いドリンクとして長野ワインが用意され、ワイン片手に優雅なひととき。ワイン三昧の一日の締めくくりに、奏でられる音色とワインに酔いしれる、これぞ大人の夜の愉しみ! なんと心地良い時間でしょう。

 

8種13通りの温泉とサウナを楽しみ尽す

 「界 松本」がある浅間温泉は、飛鳥時代の698年、『日本書紀』に登場する束間(つかま)温泉であろうと推定されています。ですので1300年以上の古湯とされ、江戸時代には初代松本城藩主・石川数正により御殿湯が置かれ、歴代藩主が親しみました。一時期は温泉芸者も多く、華やかな雰囲気もあったそうです。

右:ラディアントバス 左:檜おがくず風呂

「界 松本」には2つの大浴場(男女入れ替え制)があり、813通りの温泉とサウナが楽しめます。内湯、露天風呂、寝湯のほか、檜の香りに包まれる檜おがくず風呂、岩盤浴のようなラディアントバス、ドライとミストのサウナなど趣向を凝らしたものばかりです。

 

どの順番に入るのがいい?アルカリ性単純温泉の美肌の湯を効果的に楽しむにはどうしたらいい? そんな疑問に答えてくれるのが「温泉いろは」(フロントで要予約)。毎日1620分~、2階の食事処で開かれています。ぜひ参加して、湯浴みコースを実践しましょう。参加者にはオリジナル手ぬぐいのプレゼントもありますよ。

温泉は肌がなめらかになる美肌効果が期待できますから、滞在中何度でも入浴して、身体を温め、艶々肌に。さらに温泉を極めたいという方には、サウナ付きの客室に泊まり、大浴場の貸し切りができる「至福のサウナ貸切滞在」プランもあります。

温泉ひとり旅の充実プラン

 最近は温泉のひとり旅も人気です。誰に気兼ねすることもなく自由にひとり旅を楽しむ。そんな旅人を後押しするのが「界の温泉ひとり旅プラン」。「界 松本」では、露天風呂付きの客室に泊まり、個室の食事処で夕食はひとり鍋会席、ひとり時間に没頭できるご当地グッズとして信州ワインのリキッドソープ作りが用意されています。

露天風呂付きの客室とご当地グッズ

さらに、湯上がりご褒美セットとして、クラフトビールやシードル、葡萄のドライフルーツなどが用意され、湯浴みの後にひとりで、「ぷはー!」と極楽気分に浸れます。何もかも忘れて純粋にひとり時間を満喫する、普段忙し過ぎる方にこそおすすめの滞在です!

翌朝は現代湯治体操で目覚め、しっかり朝食をいただき、松本の街歩きへ。

しっかり朝食、朴葉味噌焼きはご飯が進む

松本はクラフトや民藝のショップや洒落たカフェ、美味しいお蕎麦屋さんなどが多く、歩いて楽しい土地。以前から何度も訪ねていますが、じつは「界 松本」は初訪問でした。大人が過ごすにふさわしい落ち着いた佇まいがとても好印象。大好きなワインと温泉にめろめろになりました!

界 松本 

長野県松本市浅間温泉1-31-1

電話:050-3134-8092(界予約センター)

26室 131000円~(21室利用時1名あたり、サービス料・税込み、夕朝食付き)

取材・文/関屋淳子 写真/yOU(河崎夕子)

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