観光地のイメージが強い浅草。でも、「都民が泊まっても、予想以上に面白かった!」。そんな浅草滞在記をご紹介します。
泊まったのは、2023年7月に開業したOMO3(おも)浅草 by 星野リゾート。浅草駅から徒歩約4分、浅草寺二天門までは馬道通りを渡って徒歩1分と絶好の立地にある、「粋だねぇ、浅草上手」をコンセプトにした浅草ならではの楽しみ方を提案する街ナカホテルです。この立地の良さを最大限に感じられるのが、なんと言っても眺め。現在全国でOMOブランドが15施設ありますが(2024年1月時点)、開放感抜群のルーフトップテラスがあるのは、OMO3浅草が初!
ルーフトップテラスより。冬季はこたつ布団を用意
浅草寺&スカイツリーを一望
13階のパブリックスペース「OMOベース」では、西側は浅草寺の境内を見渡せ、東側にはスカイツリーが。しかも、OMOベースから階段を上がって屋外のルーフトップテラスに出たら、「ち、近い!」と思わず声が出てしまうほど、スカイツリーが目の前。
OMOベースには24時間利用可能なフードショップ「OMO Food&Drink Station」があり、地元浅草らしい食べ物や飲み物などを中心に約80種類が並びます。
例えば、1950年創業の浅草の老舗ベーカリー「ケーキショップ テラサワ」のコロネやクリームパン、江戸末期に浅草寺参詣人に団子を供した茶屋から始まった「龍昇亭 西むら」のどら焼きやブッセ「羽衣」、「雑穀おにぎり専門店 maimai 松屋浅草店」の雑穀おにぎり、神谷バーで名高い電気ブランなどなど。
朝ごはんには、大正時代創業の高級伊奈利寿司専門店「浅草 福寿家」の裏返した油揚げに酢飯を包んだ伊奈利寿司や、6種類の野菜と酢飯をお揚げで巻いたサラダ感覚の「伊奈利ロール」も並びます。早めの時間に完売することもあるので、見つけたら即買いがおすすめですよ。
ここで好きな商品を買ったら、OMOベースのお好きな席で浅草の街の様子を眺めながら食べたり、客室へ持ち帰ったり、ルーフトップテラスで絶景を一望しながら味わったりと、あとは自由。お土産にもぴったりです。
江戸屋台ミーティングで浅草グルメのヒントをGET
OMOに泊まるなら、街を丸ごと楽しみ尽くせるアクティビティに参加しない手はありません。チェックインしたら、まずは「江戸屋台ミーティング」へ。毎日16時~と16時30分~の2回開催される、参加無料、予約不要のアクティビティです。
江戸時代の屋台フードとして人気だった蕎麦、天ぷら、寿司、うなぎのどれかをテーマに、街の案内人であるご近所ガイド OMOレンジャーがクイズや店舗紹介を交えながら紙芝居形式で紹介してくれます。江戸の外食文化の始まりは浅草だった!?屋台にも2種類ある?などなど、軽妙な語り口に引き込まれます。
紹介される店舗は1階と13階の2ヵ所にあるOMOベースのご近所マップで再チェック。無数にある浅草の飲食店から、地元住民から教えてもらった馴染みの店や地元住民の口コミをベースに、OMO3浅草の開業前からスタッフが足と舌!?で稼いで集めた情報がたっぷり紹介されています。
この夜私が行ったのは、OMO3浅草から歩いて10分弱の駒形にある「蕎上人(そばしょうにん)」さん。OMOレンジャーがおすすめしてくれた、季節の変わりそば5種類を味わえる「五色そば」を迷わずオーダー。数寄屋造りの店内で、江戸前の風味豊かな手打ちそばを味わえます。酒のつまみに、江戸前のほんのり甘い玉子焼もおすすめです。
この日の五色そばは、田舎、茶切り、芥子、せいろ、柚子(左上)
玉子焼(右上)、湯葉が乗った京野菜のお蕎麦(左下)もうまい
満腹でなければ、ご近所マップで紹介されている寿司屋で日本酒を嗜みながら握りを三貫、四貫つまんだり、バーで過ごしたりと、浅草ハシゴグルメを楽しむのもいいですよ。そして、スカイツリーを眺めながら、OMO Food&Drink Stationで買ったお酒とおつまみで一日を〆るなんていう最高の過ごし方も。
夜の浅草寺は雰囲気が一変。人がほとんどいない浅草寺で腹ごなしの夜散歩
夜の落語でひと笑いふた笑い
これぞ浅草!となるのが夜のアクティビティ「浅草落語ナイト」です。毎週金曜・土曜の21時~開催され(開催日は公式サイト参照)、こちらも宿泊者無料、予約不要です。浅草の夜景を背景に、普段は浅草演芸ホールや各所の寄席で活躍する正真正銘の本物の噺家さんが、高座が設けられたOMOベースで落語を一席披露してくれるのです。
落語が初めてでも大丈夫。ダジャレやボケで軽~くつかまれたら、いつの間にか落語家さんの笑いの世界に引き込まれています。流石です。最後は噺家さんとツーショットも撮れる貴重な機会もありますよ。
浅草っ子たちの拠り所、浅草寺と三社さまを知る
翌朝もまだ楽しみは続きます。
毎朝6時半(冬季以外は6時~)から始まるのが「粋だねぇ、明けの浅草さんぽ」。OMOレンジャーが浅草寺や浅草神社(三社さま)などを巡って案内してくれる街のガイドツアーです。
早朝のこの時間に境内で見かけるのは、お参りしたり散歩する地元の方がほとんど。僧侶による朝の法要「朝座(あさざ)」の声明が辺りに響き渡り、観光客でごった返すほどにぎやかな日中とはまったく異なる清々しい空気に包まれています。
そして、OMOレンジャーが地元の方からうかがった話を元に、浅草寺や浅草神社のことはもちろん、浅草の歴史や見どころなどをたっぷり紹介してくれます。江戸っ子と浅草っ子って違うの?浅草に日本初のエレベーターがあった?江戸の迷子探しはどんな方法だった?などなど、東京に住みながらも、これまで知らなかった浅草の新たな面を知ることができます。
そうそう、せっかくなら朝6時前に目覚ましをかけて、浅草寺境内の弁天山にある「時の鐘」を聞いて、朝をスタートさせましょう。鐘の音がお腹まで響き、神聖な気持ちで朝を迎えられます。
シンプルで使いやすい、8タイプのゲストルーム
OMO3浅草の客室は、人気のデラックスツインルームや、寄席ツインルーム、やぐらルームなど、旅の目的に合わせて選べる8タイプ。浅草寺ビューやスカイツリービューの客室もあります。シャワールームのみの客室がほとんどなので、大きな湯舟に浸かりたい場合は、浅草の銭湯でひとっ風呂なんていう過ごし方もいいですよ。
また、レンタルパジャマ、アメニティセットの販売、チェックイン前後に使えるセルフの荷物預けスペース、キャッシュレスのランドリーは1階に、13階には電子レンジもあるのが便利です。
浅草をとことん食べ尽くす!遊び尽くす!
せっかくならチェックアウト後も浅草をぶらぶらしてみてください。
実は浅草はベーカリー激戦地なので、ご近所マップでチェックしたパン屋さん巡りをしたり、落語を聞きに浅草演芸ホールへ行ったり、浅草寺で病気平癒の薬師如来や開運出世の大黒天など一気に諸堂詣でをしたりと、浅草を遊び尽くしてみてはいかがでしょう。
浅草には、節分や金龍の舞、白鷺の舞、三社祭など、毎月何かしらの催事が行われるほど下町らしさが残ります。ローカル色あふれる浅草にふれたくなって、きっとまた浅草を訪れたくなることでしょう。
OMO3浅草 by 星野リゾート https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/omo3asakusa/
寄席ツインルーム1泊1室24,000円~(税込、食事なし)
取材・文/塩見有紀子