今年の夏は暑かったですね。秋を先取りしたいなら、北に飛ぶしかありません! ということで、北海道の大自然を満喫できる「星野リゾート リゾナーレトマム」に行ってきました。
私がトマムを訪れるのは約8年ぶり。その時はウィンターシーズンで、スノーアクティビティを楽しみました(過去記事リンク)。スノーシューなどを楽しんだゴルフ場はファームに変わり、各種アクティビティと牧場体験、そして乳製品を楽しめるようになっていました。今回は秋の魅力を中心にお伝えします。
秋めく大地に放牧された牛たちを見ながら、アフタヌーンティーを堪能
北海道産食材が美味しいのは周知の事実。まして旅なら、食欲の秋の王道を行きたいところ。まず向かったのは、広大な景色を臨みながら楽しめる「ファームアフタヌーンティー」です。かつてトマムがリゾート開発される以前、一帯では約700頭の牛が飼育されていたのだそう。2019年に始動した「旅×農業」をコンセプトにした農業プロジェクト「ファーム星野」では、美しい農業景観を愛で、そこで生産される農産物を味わうことで、心も体を豊かにする旅を提供しています。
リゾート内のレストランやカフェで供される地産地消のファーム産乳製品は評判がよく、昨年はのんびりとワイン片手に味わえる、海産物や秋の味覚を用いた「食べるバター」が大人気に。今年はその進化版として、アフタヌーンティーが考案されました。
ファームエリアの一角に設けられた特設スペースは、目の前に牛が放牧され、秋風が吹きわたる特等席。小菓子やセイボリーはすべて、トマム牛乳(ファームエリアに放牧された牛から搾った牛乳)を原料にしたチーズや生クリームが使用されていて、目でも舌でもファーム星野を感じられます。
ゆっくりゆっくりと小菓子をつまみながら、秋の訪れを感じさせる森や空、雲、風を感じるひととき。「牧歌的」を絵にかいたような美景観が心底からのリラックスをもたらしてくれます。この時期のファームの乳牛たちは脂肪分を蓄え始め、牛乳は甘みと濃厚さが引き立ってきます。その美味しさをしっかりと感じられるように小菓子の甘さは控えめなので、罪悪感も控えめ。なんの躊躇もなく、存分に味わうことができました。
写真左=下段:スモークサーモンのサンドウィッチ、スコーン、トマム牛乳ジャムとクロテッドクリーム
写真中=中段:シャンパンジュレとりんごのヨーグルト、クレームダンジュとハスカップジャム、
イチジクの食べるバター、カンノーリ
写真右=上段:モンブラン、シャインマスカットタルト、牛柄マカロン
私が気に入ったのは、シャンパンジュレとりんごのヨーグルト、クレームダンジュとハスカップジャム、モンブランでした。いずれも軽やかなミルク感が心地よく、自分がどんな乳製品が好きなのかの嗜好を探ることもできました。
手軽にファーム星野の乳製品を食べたい!という方は、ファームエリア入り口にあるファームカフェ「ファームデザインズ」に立ち寄ってみましょう。ソフトクリームやホエー(チーズを作るときにできる乳清)を使ったドリンク、モッツアレラチーズを挟んだパニーノなどが味わえます。
私は、モッツアレラと生ハムをはさんだパニーノを店内でいただきましたが、口どけがよくミルクの甘みが感じられ、生ハムの塩気やバルサミコソースとよくマッチして、結構なボリュームにもかかわらずペロリと平らげました。これ、テイクアウトしてピクニックで食べたら、絶対もっと美味しいはずです!
モーモーカートでGO! お気に入りの場所にカートを止めて一休み
約100haもあるファームエリアを楽しむなら、「ファームデザインズ」の隣にある「GAOアウトドアセンター」で実施しているアクティビティをチェックしましょう。ストライダーやバドミントン、フリスビー、虫取り網&虫かごなども貸し出ししているので、ちょっと草原で遊びたいなという時にも便利です。今回は牛柄のモーモーカートを借りて、1周20分間ほどのドライブに出かけました。
ファーム内には、牧草でできたソファーで寛げる「牧場ラウンジ」、羊さんが1匹…と数えながらお昼寝できる「羊とお昼寝ハンモック」、全長30mのダイナミックな「巨大牧草ベッド」などのスポットが点在していて、カートなら効率よく回れます。
「牧草ベッド」に寝転んでみました。牧草の手触りはゴワゴワしているように感じますが、寝転んでみると程よい硬さで寝心地サイコー! 斜面にしつらえてあるので風が抜けて、これは熟睡してしまいそう。雲海を見るのに早起きした日などは、ここでお昼寝するのがおすすめです。
北海道と言えばじゃがいも! ポテサラの無限の可能性を知る食体験
続いて、「リゾナーレトマム」から徒歩約10分の山の中腹にある「ホタルストリート」を訪ねます。食事や買い物を楽しめる9つの店舗がウッドデッキでつながれた、全長160mの街並みです。そのなかのcafe&bar「つきの」で開催されている、以前より興味津々だったイベント「ポテサラジェラートフェス」に参加しました。
ポテトサラダってとても身近ですが、味付けのバリエーションは限られていて、想像を超えない副菜だと思っていました。しかし、この「ポテサラジェラートフェス」ではなんと、全100種類の色とりどりのポテサラをラインナップ! じゃがいもの生産量全国1位を誇る北海道ならではの個性的な味や香り、食感、色を持つじゃがいもと、山海の様々な食材を組み合わせた、見ても食べても楽しいポテトサラダ。それを、コーンにのせてジェラート風に味わうことができるんです。
使用するジャガイモは、男爵いも、インカのめざめ、キタアカリ、メークイン、シャドークイーン、ノーザンルビーの6種。そして組み合わせるのは、ごはん系ならホタテ塩辛、鮭いくら、いか刺し松前漬け、とろろ昆布、山わさびなど。スイーツ系ならハスカップ、トマム牛乳、あんこ、ずんだ、きなこなど。
100種類という制覇できそうにないバリエーションから食べたいものを決めるのは、優柔不断な方でなくてもなかなかに難しいのでは? と思っていたのですが、今年は北海道各地のフレーバーを食べ比べができる「北海道まるごとポテサラジェラートセット」が登場。
「北海道まるごとポテサラジェラートセット」ラインナップ
トマム:ファーム星野の3種のチーズ×インカのめざめ
函館 :イカ飯×シャドークイーン
札幌 :シメパフェ×インカのめざめ
余市 :ワイン×メークイン
旭川 :ラーメン×ノーザンルビー
帯広 :豚丼×キタアカリ
釧路 :勝手丼×男爵いも
北海道7地域のご当地料理に合わせてアレンジしたポテサラがあらかじめセットされているので、手軽に北海道らしさを楽しむことができます。北海道の形を模したスタンドに、色とりどりのボリューミーなポテサラコーンが立てられた姿は、写真映えも抜群。何人かでシェアして食べれば、楽しさも倍増です。
上左:トマム)ジャガイモのまろやかさとチーズの酸味が合わさった優しい味。
上右:函館)一口目からイカがゴロゴロ。コーンの中にも煮イカが詰まっていて、じっくり味える一品
下左:旭川)煮卵に分厚いチャーシューのトッピングでラーメンそのもの!インパクトが楽しい!
下右:釧路)きらきらと輝く海鮮のビジュアルも良いし、男爵に加えたすし酢のおかげで味のまとまりも◎
繊細な優しい味わいから、インパクト抜群のワイルドな味わいまでその幅は広く、食べる順番は結構大事だなという印象。濃い味のフレーバーの後に淡い味のものを食べると、風味がわかりにくくなるかもしれません。私は函館の「イカ飯×シャドークイーン」と釧路の「勝手丼×男爵いも」に胃袋を射抜かれ、お酒飲みたいなぁとしみじみ。実はワインとのマリアージュができるフレーバーもあるので、左党の方はそちらをチョイスするのもおすすめです。
北海道各地のご当地料理ポテサラを堪能したら、北海道のワインも気になってきました。ということで、寄り道したのは「ホタルストリート」内にある「TOMAMU Wine House」。北海道産のナチュラルワインを常時16種サーバーに設置していて、30㎖からワインを楽しむことができます。気に入ったワインが見つかれば、カラフェに入れてお部屋に持ち帰りもOK。
北海道には、自分たちが守れる分だけの畑で育てたブドウを家の片隅で醸造するような小規模な農園が多く、個性のあるワインが作られています。どれを試そうか迷っていたら、なんと私の苗字と同じ名前の農園を発見! 運命を感じて、多田農園の「2018 C.N.」をチョイス。きれいな酸味と切れ味の良さが心地よい、好みのタイプの白ワインでした。
「2018 C.N.」上富良野にあるワイナリーで、道産キャンベルとナイアガラをブドウの皮目についた野生酵母で発酵させて作った白ワイン
「ピノ・ノワール2020」フルーティながら酸味もあり、シルキーな口当たりで、期待を裏切らない美味
余市の木村農園で育てたピノ・ノワールを、10Rワイナリーの醸造家ブルース・ガットラヴが野生酵母で醗酵、栃木県のココ・ファーム・ワイナリーが販売した「ピノ・ノワール2020」も試飲。好みの味をスタッフに伝えれば、これという銘柄を選んでくれます。お客様同士でワイン談議が始まることもあるとか。
店内ではファーム星野のチーズも販売しているので、ワインとのマリアージュも可能。モッツアレラチーズとリコッタの盛り合わせは、フレッシュなミルク感が楽しめる人気の一皿です。ほかにも道内の有名チーズ工房のチーズが味わえます。
ファミリー利用に最適! 広々リビングと独立したベッドルームが居住性抜群
全200室のすべてが展望ジェットバスとプライベートサウナを完備した、100㎡以上のオールスイートであるリゾナーレトマム。今回は20室あるというファミリーに人気の「デザインスイートファイブルーム」に泊まりました。ファームや雲海などが描かれた壁紙が特徴で、大きなリビングを中心に寝室を2つ備えた客室です。
段差が設けられたリビングにはクッションがあちこちに置かれていて、大人数でもそれぞれが居心地のいい場所を見つけることができそう。大きな窓からはトマムの大自然が望め、非日常感も抜群です。ガジェットを多く持ち歩く昨今、コンセントが多めなのも充電難民にならずうれしい配慮。二つの寝室があるので、みんなで集う空間とプライベート空間をわけることができ、特に三世代旅など日常生活のサイクルが違う場合でも、ペースを乱されずに過ごすことができます。
めくるめく北の大地の味覚を「OTTO SETTE TOMAMU」で堪能
楽しみにしていた夕食の時間。やっぱりトマムに来たなら、「OTTO SETTE TOMAMU」のイタリアンフルコースを味わわずにはいられません。「OTTO SETTE」はリゾナーレブランドのイタリア料理のメインダイニングで、八ヶ岳・那須・トマムにあります。いずれもその土地の旬の食材を、調理方法までこだわって供するのが特徴。
料理が引き立つように、店内は白を基調としたモノトーンに統一
「OTTO SETTE TOMAMU」では、コンセプトをイタリア語で「Calendario Gastronomico(カレンダリオ・ガストロノーミコ)」=「美食のカレンダー」とし、3つの海に囲まれた北海道の、季節ごと地域ごとに異なる特産品を組み合わせて、色彩豊かな食のカレンダーをめくるような楽しみを提供しています。料理に合わせてアルコール、ノンアルコール、それら両方を組み合わせたペアリングも用意されていて、一皿ごとにドリンクも含めて味わうことができます。
いただくのは秋限定のディナーコース。宝石箱と名付けられた「彩り豊かな小さな前菜」から始まります。乾杯のドリンクは「フランチャコルタ・エクストラ・ブリュット・ミレジマート 2018」。ブドウ一粒一粒の凝縮した旨味と熟成感を感じられる、エレガントな辛口です。
お寿司に見立てた「彩り豊かな小さな前菜」の3品は、北海道らしさを感じさせるウニやイクラが美しくて、食べるのがもったいないほど。私はショウガを利かせた焼きナスのピューレとイクラのタルトが気に入りました。
もうひとつの前菜は「海の幸を詰め込んだテリーナ」。テリーヌですがジュレで固めず、魚介やキノコ、野菜、ハーブなど13種の食材を24時間以上プレスしたもの。余分な水分が抜けて凝縮した旨味を楽しめます。
パスタは「秋刀魚の冷製カッペリーニ」。秋刀魚の身や内臓、骨を煮詰めたほろ苦いスープとトマトのピューレを絡めたパスタの調和が絶妙。トッピングには秋刀魚の刺身に秋刀魚の魚醤をかけて炙ったものが乗っており、秋らしさを感じられます。
ジビエも登場!温前菜の「エゾ鹿サルシッチャのストゥファート」。冬に向けて栄養を蓄える秋は、シカ肉が最もおいしくなる時期。直前加熱でほとばしる肉汁も堪能します。ワインはジャムのような果実香とタンニン、力強い旨味を感じられる「タウラージ ヴィーニャ・チンクエ・クエルチェ 2015」。お互いの長所を成長させあうペアリングです。
魚料理「キンキのヴァポーレ」は、キンキのアラとツブ貝のゆで汁にトマト出汁を合わせたスープを目の前で温めなおし、ふっくらと蒸しあげたキンキともち麦のリゾットに注いで供します。脂ののったキンキにトマトの酸味が活き、プチプチとしたもち麦の食感がアクセントになった楽しい一皿。
肉料理は「牛フィレ肉と鮑のアロースト」。昆布出汁とマルサラワインのソースと鮑の肝ソースの2種のソースでいただきます。ワインは「ピノ・ネーロ2014」を合わせ、ミネラル感のあるふくよかな果実味が、赤身肉と鮑のうま味を引き立てます。
デザートは2種類。トッピングを楽しめる「トマム牛乳のジェラート」と「秋の果実とパンナコッタ」。パンナコッタにはファーム星野のリコッタが使われており、ブドウの甘みと赤ワインソースによく合います。見た目も秋らしくて、秋のコースの締めくくりにぴったりの一品でした。
「星野リゾート トマム」には20か所以上のレストランがあるので、旅の目的に応じて食事場所を選ぶことができます。ファミリーの場合、みんなで一緒に楽しめるビュッフェ形式のレストランもいくつかありますが、「OTTO SETTE TOMAMU」で夫婦水入らずなひとときを過ごしたい!という場合は、キッズサービスを利用することができます。「OTTO SETTE TOMAMU」の1階下のフロアに託児所があり、託児と夕食がセットになっています。
嬉しいのは、夕食の際に「OTTO SETTE TOMAMU」で使うのと同じ食材で年齢に合わせたディナーメニューが用意され、フォークとナイフを使ってご飯を食べさせてくれること。私が訪ねた日も2組が利用していて、夕食にはスタッフのアシストの元で懸命にハンバーグを切りわけて、お口に運んでいました。2~6歳までが利用でき、テーブルマナーを早いうちから学べるのはとても良い経験になるのではと思います。
今日は出るか?見えるか? ドキドキしながら雲海テラスで運試し
昨晩はゆっくりと「OTTO SETTE TOMAMU」のイタリアンを堪能し、部屋に戻ってジェットバスを楽しみ、5ベッドのどこで寝ようか迷いに迷った末に就寝。
最大音量にしておいた目覚ましのアラームに助けられ、目覚めたのは午前4時。そう、トマムの朝は早いのです。宿泊者の多くがトマム滞在の楽しみのひとつに挙げている、トマム山からの雲海を見るために、早起きして雲海ゴンドラ乗場へと向かいます。
2022年秋には累計来場者数140万人を超えた雲海テラス。早朝4:30からこの人気ぶりです
前日の予報によると、本日の雲海出現率は40%。これは悪くない数字だそうで、俄然期待が高まります。雲海を望むために2006年に作られた雲海テラスは年を追うごとに進化しており、2015年からは英語のスラング“I am on cloud nine”=“この上ない幸せ”の意にちなんで「Cloud9(クラウドナイン)計画」も始動。トマム山の山腹にさまざまな形の展望スポットが点在しています。現在6つが完成していて、9つ目指して今後も増やしていく予定とのこと。
Cloud Pool(クラウドプール)縦横10mのハンモック状の展望スポット。ふわふわ揺れて雲に乗っている気分
Cloud Bar(クラウドバー)地上から約3mの高椅子に腰かけて雲海が朝日を眺められる特等席
ゴンドラが到着する展望デッキは、2021年にリニューアルして高さ12m、3階建てとなり、これまでよりさらに間近で雲海を鑑賞できるようになりました。雲海ガイドも常駐しており、トマムで見られる雲海の種類や今日の天気の状況などを随時解説してくれます。
ですが! 結論から言いますと、今回は雲海を見ることは叶いませんでした。うーん、残念!
ダイナミックな雲海が見られる太平洋産ではあったのですが、予想以上に背後からトマム山を超えてなだれ込んできた雲が多く、「雲中」状態のまま雲が切れることはありませんでした。しかし、その場に集う皆さんの「晴れろ! 雲海、出てきて!」という前向きな願いが雲の中に満ち満ちていて、プラスの気しかない雰囲気がとても心地よく、待っている時間も苦になりませんでした。
この日一番、期待が高まったとき。雲海から昇る朝日を見たかった!
雲海テラスにある屋内カフェ「雲cafe」では雲海をイメージしたカフェ&スイーツが取りそろえられており、これが独創的でかわいいんです。早朝だというのに老いも若きも「雲ソフト」や綿菓子の乗った「雲海ソーダ」を片手に記念撮影に興じる姿が見られ、なんだか楽しい!
左から、雲ソフト、雲パフェ、雲海オレ、雲マカロン、雲海コーヒー、雲海ソーダ
雲をフューチャーしたきれいな色合いのメニューが揃っていて、見ているだけでも気持ちが浮き立ちます
記念と言えば、雲海テラスからハガキを出すこともできます。ショップでポストカードを購入し、備え付けのペンでメッセージと住所を書いて雲海ポストに投函! 切手は不要で、特別デザインの料金後納印が押されて配達されます。次回こそこんな雲海を絶対見るぞ!との思いを込めて、ハガキを投函しました。麓に降りると朝食です。実は朝食でもファーム星野の乳製品を味わうというミッションがあり、ビュッフェダイニング「hal」に向かいます。朝食名物の目の前で焼き上げる「たっぷりクリームのフレンチトースト」は、ファーム星野のトマム牛乳をふんだんに使用していて、香りが良くふんわり柔らか。早朝からのがんばりを労ってくれました。
ファームでのアクティビティ2種に参加! トマムの牛を知り、トマムの風になります!
到着後からあちこちで味わってきたファーム星野の乳製品。いよいよその美味しい牛乳を育んでくれる牛たちとご対面できる「モーモー学校」に参加します。約100haの広大なファームに放牧される牛は、ホルスタイン・ブラウンスイス・ジャージーの3種33頭。実は酪農王国・北海道とはいいますが、牛を放牧して育てているのは全体のわずか10%ほどなのだそう。のびのびとした環境で暮らすファームの牛たちの、習性や個性、牛乳の味の違いなどを学んでいきます。この日はファーム星野発足時からのプロジェクトリーダー宮武宏臣さんがガイドを務めてくれました。
まずは、朝の搾乳を終えた牛たちを放牧場へと導きます。今日はのんびりペースの日ということで、宮武さんが追い立てます。「オーイ、オーイ!」という大きな声に急き立てられて、牛がどんどん移動していきます。後で参加者も牛追い体験をするそうなので、声の出し方や追い立てる位置を覚えます。ひとまず広い草地に牛を追い込んだら、次は牛乳の飲み比べです。通常、我々が飲んでいる牛乳1リットルパックには、約2300頭分(!)の牛から搾乳した牛乳がブレンドされているとのこと。牛一頭一頭の味の個性を感じることは不可能なわけですが、このアクティビティでは個体別の牛乳を飲み比べることができるんです。並べられたのは右からベル・リコ・クラリーの3頭の牛乳。違いが分かるかなぁ?と飲んでみると、本当に歴然とした違いがあるんです! 牧草の香りを強く感じるもの、濃厚でやや塩味を感じるものなど、牛によって全然違う! これは驚きでした。私は真ん中のリコちゃんの牛乳が、クリアで優しい味わいがして好みでした。
どうしてこんな違いが出るのか、宮武さんが紙芝居仕立てで解説をしてくれて、牛と牛乳について、グンと知識が深まります。
最後は、牛追いに挑戦です。と思ったのですが、この日は追う必要ないほど牛が端まで進んでしまい、ぎゅうぎゅうの状態に。ホルスタインは特に警戒心が強く、今日はまだ気持ちがほぐれず、みんな固まっていたいようです。かろうじてさっき飲んだ牛乳の持ち主であるベル・リコ・クラリーを宮武さんが紹介してくれました。犇めく(牛が3つでひしめく)ってこういうことを言うんだな、と実感。一方で人懐っこい牛もおり、あいさつに来てくれる子も。牛にだって個性や性格があるんだなぁと改めて感じ、これまでより身近に感じるようになりました。
さて、食べに食べ続けてきた秋旅ですが、カロリー消費もしなければと参加したのが「バギーアドベンチャー」です。四輪バギーに乗るのは20年ぶりくらいでしたが、走り出して数分もすればアクセルとブレーキ、コーナリングの加減もなんとなくわかってきます。インストラクターさんに続いて試運転をしたのち、ファーム内へと繰り出します。参加したのはファミリー・ライトコースで、13歳から運転可能。ほとんどは舗装あるいは整備された草地を走りますが、後半では少しですがオフロードも走行し、バギーの楽しさを感じることができます。想像以上にこれが気持ちよくて、ちょっとクセになりそう。16歳以上から参加可能なアクティブコースならば、小川を渡ったりとよりワイルドなコースになると聞き、次はアクティブだな、と心に決めました。
旅の締めランチはファーム星野のチーズを使ったハンバーガー
盛りだくさんの滞在もいよいよ終わり。最後もファーム星野の乳製品を使用したメニューで締めます。ホタルストリートのcafe&bar「つきの」を再び訪れ、今度はメインメニューであるハンバーガーをいただきます。バンズからはみ出した大きなベーコンが食欲をそそるベーコンレタスバーガーが人気なのですが、私が訪れた9月頭に新作が登場。まだ正式名称が確定していないほど出来立てほやほやのチーズバーガーです。
私、チーズバーガーには目がないので、ここにきて大本命に出会った気分。モッツアレラと熟成チーズがミックスされており、濃厚なチーズが肉のうま味と絡んで、シャキシャキ野菜とのハーモニーも良く、ほんっとに美味しい。ホテル内のショップではファーム星野のチーズなどの乳製品を販売しており、部屋に持ち帰って食べることができるのですが、今回は試し損ねてしまったので、最後にチーズバーガーとして堪能できてラッキーでした。冷蔵状態を保つため遠方への持ち帰りは難しいため、滞在中に味わうのがおすすめです。
思い残しなく、ファーム星野の乳製品を胃袋に収め、秋旅もおしまいです。ごちそうさまでした。
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家に帰って体重計に乗る時の怖かったこと(笑)。でも、食欲の秋の旅として、これ以上うってつけの場所はないなぁと大満足。美味しく食べて、素敵な風景を見て、また明日からがんばる力をもらいました。
このごろ日本の気候が変わり夏の暑さは尋常ではありません。疲れの出るこの季節に、いったん心身をリセットできるトマム旅は絶対おすすめ。私も来秋、リピートの予感がしています。
星野リゾート リゾナーレトマム
https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/risonaretomamu/
(取材・文/多田みのり)