前編の「OMO3京都東寺」につづき、後編では、市営地下鉄京都市役所前駅より徒歩約2分のところにある「OMO5京都三条」ご紹介します。
歴史さんぽに、ショッピング。便利な立地の「星野リゾート OMO5京都三条」
「星野リゾート OMO5京都三条」は、にぎやかな河原町通りから少し奥まった場所にそっと立っています。ここ三条エリアは、京都市内屈指の繁華街。このエリアをOMOレンジャーはどう案内してくれるのか、わくわくしながらご近所アクティビティに参加しました。
ご近所アクティビティ「京町らんまん川さんぽ」で街の歴史を深掘り!
京都市の川と言えば、鴨川が一番に思い浮かびますが、それと並行するように流れる高瀬川という川があるのをご存知でしょうか?「京町らんまん川さんぽ」では、この高瀬川の歴史にぐっとクローズアップして街を歩きます。
三条をご案内してくれたのは、OMOレンジャーのお一人、八十田さん。大阪府出身ですが、なぜかスカーフを巻いての登場。その意味は?
軽妙な語り口で高瀬川の歴史を教えてくれる、笑顔もステキな八十田さん。
実は、八十田さんは以前、星野リゾートの学習休職制度を活用して、1年間インドを「放浪」していたことがあるのだそう(しかも日本から愛犬を連れて!)。そんなご紹介エピソードに八十田さんの経歴が気になってしまい、さんぽの道中も八十田さんのバックグラウンドを根掘り葉掘り聞いてしまいました。東寺を案内してくれた石橋さんもそうですが、OMOレンジャーは、興味深い経験を持つ方ばかり。引き出しが多いので、ついつい質問も多くなってしまいます。初めて会ったのに、友達のように気楽に接することができる、これもOMOレンジャー街歩きの魅力になっています。
[星野リゾートの学習休職制度]
OMOレンジャーの八十田さんが利用した学習休職制度は、MBAや留学などといった「勉強」的な目的がなくても取得でき、今後のキャリアに活かせる星野リゾート独自の制度です。
さて、高瀬川について。川べりに柳や桜の木が植えられ、瑞々しい緑も美しいこの川は、京の豪商・角倉了以(すみのくらりょうい)によって開削された運河。その歴史は古く、慶長16(1611)年に工事が始まり、慶長19(1614)年に、京と伏見を結ぶ全長約11kmの運河が完成しました。
町家が立ち並ぶ先に見えるのが押小路橋。そのすぐそばに高瀬川の起点となる一之船入があります。船入とは、荷物の積み下ろしや船の方向転換をする場所のこと。
高瀬川が開削されたことにより、川沿いの木屋町は大いに繁栄したそうで、今も川べりの木屋町通り沿いには多くのお店が軒を連ねています。すぐそばに鴨川があるのに、なぜ高瀬川が造られたのかなど、川や街の歴史についての話を聞きながらおよそ1kmを1時間ほどかけて歩きます。途中、高瀬川からちょっと離れて先斗町へ。路地裏の名店を教えてもらったり、歴史の秘話を聞いたり、寄り道もたっぷり楽しめます。
高瀬川沿いの石碑、看板コレクション。桂小五郎寓居跡、武市瑞山(半平太)寓居跡、佐久間象山・大村益次郎遭難之碑など、幕末の著名人のオンパレード!幕末歴史好きなら、なおさらときめきます。
かつての高瀬川に架かっていた橋の一部と思しきものも残されています。
花街・先斗町の街並みは風情たっぷり。さんぽ中、フリップを使用して説明してくれます。
「京町らんまん川さんぽ」のゴールは、角倉了以翁顕彰碑前にて。石碑のお顔を隠すおちゃめな八十田さん。どんな表情かは、「京町らんまん川さんぽ」に参加してのお楽しみ!ちなみに後ろに立つ雰囲気たっぷりの建物は、京都市立立誠小学校の旧校舎をリノベーションし、2020年夏にオープンした複合商業施設。
ご近所アクティビティ「京町らんまん老舗さんぽ」で、京の良品に出合う
江戸と京を結ぶ東海道の終着点、三条大橋。「京町らんまん老舗さんぽ」では、この三条大橋から始まる三条通をOMOレンジャーと歩き、おすすめの老舗に立ち寄ります。『東海道中膝栗毛』の主人公、弥次さん・喜多さんの像にあいさつしたら、いざ出発です。
幕末の刀傷も残る三条大橋の擬宝珠。橋の袂に弥次さん・喜多さん像が立っています。
本家船はしや
三条大橋のすぐそばに佇む町家は、昭和初期に建てられたもの。えんどう豆と砂糖でつくる「五色豆」は、京銘菓の一つに数えられています。店先にずらりと並ぶ瓶に入れられたあられやおかきも人気で、OMOレンジャーもよく買い求めているそう。
船はしやと内藤商店の立つ一画は、時間を巻き戻したような佇まい。
内藤商店
本家船はしやのすぐお隣、看板のないお店が内藤商店です。職人さんの手による棕櫚(しゅろ)のホウキやタワシを販売しています。1818年の創業で、この日は7代目女将の内藤さんとお孫さんが店先に立っていました。手作りのホウキは長持ちするそうで、女将さん愛用のホウキはもう50年以上使用しているとか。
笑顔も柔和な女将の内藤さん。縦型のたわしはグラスなどを洗うのにうってつけ。
内藤商店から徒歩数分の場所に、池田屋騒動之趾の石碑が!居酒屋になっていました。
吉田源之丞老舗
1572年創業の仏具の製造販売店。仏像は販売だけでなく、修理も承っているのだそう。ちなみに前編でご紹介したOMO3京都東寺の数珠は、こちらの店で作っていただいたオリジナル品です。
アーケード街のなかにある吉田源之丞老舗。
三條本家 みすや針
三条通からやや奥まった場所にお店があり、OMOレンジャーの案内なしでは通り過ぎてしまいそう。創業400年、わらべ歌にも登場する老舗針店です。お店は中庭に面しており、小ぢんまりとした佇まい。桐箱に収められた裁縫セットは、小さくともハサミの切れ味も鮮やかです。
吉田源之丞老舗のすぐお隣、近代的なビルに設置された昔の看板が店の歴史を物語ります。秘密の小路のような通路を抜けてお店へ。桐箱のソーイングセットはお土産にもぴったり。
大西京扇堂
天保年間(1830〜1843年)創業の老舗扇店です。お寺に納める扇や舞・茶道の扇子のほか、日常使いの一般的なものなど多彩な品揃え。絵柄も伝統的な模様からモダンなデザインまでさまざまあります。この夏使いたくなる好みの一枚が見つかるはず。
蝙蝠扇(かわほりおうぎ)は、開いた形が羽を広げたコウモリに似ていることからその名がついたそう。大西京扇堂のオリジナルの扇子には「京」の字が刻まれています。この日はショーウィンドウに、鳥獣戯画をあしらった扇子が飾られていました。
三条通沿いには、古い建物をリノベーションしたショップが多数あり、いい雰囲気。
石黒香舗
1855年創業の「にほひ袋」専門店。干支をかたどったものや季節の花など、店頭には職人さんが手作りする「にほひ袋」が美しく並んでいます。好みの袋と香りを選び、オリジナルの「にほひ袋」を作ることも可能。
椿、桜、ひまわりなど、季節に合わせて花を入れ替える豊かな生活を楽しみたくなります。「京町らんまん老舗さんぽ」でもフリップが登場。香りについてご紹介。
選べる香りは並香・特製香・極品香・白檀香の4種類。友禅など、袋の絵柄も多種多様。
むす美
京都の風呂敷メーカー直営の風呂敷専門店。白を基調とした店内の壁一面にずらり並ぶ風呂敷は、実にカラフル。綿、絹、ウールなど素材もさまざまです。風呂敷としてだけでなく、スカーフにしたり、タペストリーとして壁に飾ったりと、暮らしに彩りを添えるアイテムとしての用途も。風呂敷の便利な活用方法をしっかり学べるワークショップ(要事前予約)のほか、当日の1時間前まで予約受付をしている「毎日ふろしき体験」もあります。
風呂敷がずらり。刺繍名入れも可能なので、贈り物にも。結び方のディスプレイもさまざまあり、どう結ぶのか興味津々。
今回ご紹介したお店は「京町らんまん老舗さんぽ」の一例。その時々で訪れるお店はかわります。老舗の中には石黒香舗やむす美のように体験ができるところも。OMOレンジャーとの散策の後、体験にトライするのもおすすめです。
*ご近所アクティビティはコロナの感染状況により休止となる場合があります。
最新の状況はHP等でご確認ください。
ランチやディナー、なに食べよう?そんな時もOMOレンジャーに相談!
京都の街には美味しいものがいっぱいあって、どこへ行こうか迷ってしまう。そんな時は、OMOレンジャーに相談を。散策中にも、おすすめのお店を教えてくれます。
例えばこんなお店。
とうふ料理 豆水楼 木屋町店
細い路地の奥、大正時代の町家の雰囲気を生かした落ち着いた空間で豆腐料理を味わえます。鴨川に面しており、京都の夏の風物詩「川床」も5月〜9月の期間オープンに(この日は肌寒い日だったのでお休みでした)。献立はコース仕立て。汲み上げ湯葉のお造りや、店名物の冷しおぼろ豆腐など、一品ずつ供されます。
高瀬川沿いの木屋町通りから路地を入った先にお店があります。汲み上げ湯葉のお造りやおぼろ豆腐、湯葉の田楽など、食事の進み具合に合わせて供されます。冷しおぼろ豆腐はおかわり自由。お塩でもいただいたのですが、豆腐の旨みがさらに増して絶品でした。
馳走 いなせや
築100年あまりの古民家をリノベーションした食事処で、中庭を眺めながら食事を楽しめます。ランチタイムのイチオシは「馳走いなせや御膳」。先付けからはじまり、お造り、天ぷら、煮物、焼き物、デザートの全7品。ボリューム満点です。
エントランスまでのアプローチには、京の町名を記したタイルが敷かれていました。店名を冠したランチの「馳走いなせや御膳」は、先付け、お造りが供されたあと、天ぷら・焼き物などがお重に盛られて登場。〆のデザート(この日はタンカンを使用したケーキ)まで満喫しました
「OMO5京都三条」のパブリックスペース「OMOベース」のカフェで朝食を
エントランス正面のカウンターには、かつて高瀬川を航行した舟のレプリカをディスプレイ。壁に配された漢字の「三」には、三条周辺の時代ごとの古地図があしらわれ、時の移り変わりで町が徐々ににぎやかになっていく様子をうかがい知ることができます。
エントランス入ってすぐのところにOMOカフェがあります。壁に飾られたモノクロームの絵は、三条エリアの各所で石畳に紙を敷き、拓本したものだそう。どこの石畳かは、ご近所マップに記されているので、ぜひ探してみてください。OMOカフェでは、モーニングからカフェ・バーまで、多彩なメニューが揃います。
朝食の「OMOring(おもーにんぐ)」では、リゾットやピザトーストなど6種類からメインを1つセレクト。さらにサラダ・スープ、ドリンクをブッフェスタイルで楽しめます。
私は、京都名物の生湯葉を使用した「生湯葉漬物リゾット」をセレクトしました。生湯葉に漬物のほんのりとした塩味が加わることで、口の中にほのかな甘さが立ち上ります。寝起きの胃にもやさしい味わい。こちらのリゾットにはチーズが入っていないので、チーズが苦手な方にもおすすめです。
生湯葉漬物リゾットと、サラダ、ミネストローネでヘルシーな朝食を。カラフルな野菜をスライスしたサラダは、盛り付けも美しく、崩すのがもったいない!ドリンクも彩り鮮やかで食欲をそそります。この日は、「リンゴ&ニッキ」「お茶モヒート」「ゆずはちみつ」が用意されていました。ほかにコーヒーやほうじ茶も。
*カフェ・バーの営業はコロナの感染状況により休止となる場合があります。
最新の状況はHP等でご確認ください。
爽やかなインテリアのゆったりとしたお部屋でくつろいで
ゲストルームは1〜2名利用のダブル・ツインルームと、最大3名利用のスーペリアルームなどの7タイプ。白を基調としたさわやかなインテリアでまとめられています。ナチュラルな木のテーブルなど木目がお部屋にぬくもりを与えるアクセントになっています。
3方向に窓があり、明るく広々とした印象のスーペリアルーム。洗面所がダブルボウルなのもうれしいポイント。ベッド下スペースにスーツケースを収納できるので、荷物も邪魔になりません。入り口で靴を脱ぐので、素足で過ごせるのも快適!
【星野リゾート OMO5京都三条】
料金:1泊2名1室の場合、1名あたり6,000円〜(税込、食事別)
https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/omo5kyotosanjo/
OMO3京都東寺・OMO5京都三条のご近所アクティビティは、OMOレンジャーが足を運び、地元の方々と対話して探し出した情報ばかり。ともに歩けば、自分もそこで暮らしているかのような気分になり、生き生きとした街の営み感じることができます。2021年11月5日には「星野リゾート OMO5京都祇園」も開業予定。OMOレンジャーが祇園をどう切り取るのか、開業が待ち遠しい!
OMOをベースに京の街を歩き、歴史や文化を深掘りする旅をしてみませんか?次に訪れた時には「ただいま!」と言いたくなるような、心温まる出会いが待っています。
取材・文/川崎 久子