ひとり旅にアート心も入れて by 塩見有紀子

ご当地列伝vol.8 公共交通を使って八戸で一日観光しよう ~朝市・海岸散策~(青森県・八戸)

さまざまな交通網がしっかりと張っている都市部と違い、地方を観光する時のネックが“足”となることがありませんか? ペーパードライバーですとレンタカーするのは不安だし、お酒を飲めないのももったいないし。

実は、星野リゾート 奥入瀬渓流ホテルへ向かう宿泊客専用シャトルバスの発着点である八戸は、観光スポットへのアクセスがよく、車がなくても八戸一日観光が十分楽しめるエリアなのです。

 

日本有数の朝市の宝庫

日本有数の水産都市である八戸は、新鮮な魚介類の宝庫。そして日本最大級の日曜朝市が開催される朝市の宝庫でもあります。JR八戸駅から約1時間に1本運行されるJR八戸線で約15分、陸奥湊駅から徒歩約10分。漁船が多く停泊する舘鼻漁港で毎週日曜日に開催されるのが「舘鼻岸壁朝市」(たてはながんぺきあさいち)。300以上の店が並び、地元客も観光客も毎週数万人が訪れるという日本最大級の朝市です。3月中旬~12月の毎週日曜の日の出から朝9時頃に開かれています。

私も頑張って早起きし、始発に乗って向かいました。電車には朝市へ向かうと思われる観光客の姿がちらほら。陸奥湊駅に到着すると、やはりほとんどの乗客は朝市会場へとずらずらと歩いて行きます。会場近くになると、地元客の車や自転車の行き交いが多くなり、朝6時過ぎにはすでに大賑わい!

 

まずは偵察がてらひとまわりするつもりだったのですが、おいしそうなにおいにつられ、思わず行列の最後尾に並ぶこと多々。新鮮な魚介類や干物だけでなく、野菜、焼きたてパン、コーヒー、花、漁港らしい漁の網、フルーツ、民芸品など、ありとあらゆるものがずらり! 

とりわけ長蛇の列になっていたのは、焼きたて小籠包と揚げたての唐揚げの屋台。屋台といっても本格的。作り置きをあたため直すのではなく、その場で焼いたり揚げてたりしているので、出来たてほやほやのおいしさ。作ったそばからすぐに売れていきます。多くの店は、1個から購入できるので、いろいろなものが食べたい!という方は、並ぶのは大変ですがお腹いっぱいにならないよう少量ずつ買っていくのがいいかもしれませんね。

日曜早朝の朝市へ行くのがスケジュール的に難しいという方は、同じく陸奥湊駅前で日曜を除く通年の朝3時~昼12時まで開催される「陸奥湊駅前朝市」もあります。平日に行かれる方はこちらへどうぞ。

 

なんでも揃う巨大市場

朝起きられなかった!という方や、座ってゆっくり食べたい、差し上げられるような青森土産も一緒に買いたいという方は、「八食センター」がおすすめです。こちらもアクセスがよく、八戸駅と八食センターを結ぶ100円バスが運行されています。バスに乗って約11分、魚介類や地酒、南部せんべい、お土産などがそろう巨大市場「八食センター」の目の前にバスが到着します。地元客も多い「舘鼻岸壁朝市」と違い、こちらは観光客が多い印象ですが、なんでもそろうのがともかく便利です。

グループや家族連れなら、館内で購入した魚や肉、野菜を炭火で焼いてその場で味わえる「七厘村」がとても楽しそうです。また、いくつも並ぶ魚屋の店頭で売られている切り身の刺身を選んで、白飯とともに購入して自分で好きな海鮮丼「市場ののっけ丼」が作れる店もいくつかあります。

私がこの日の昼ごはんに選んだのは、新鮮な魚介類がずらりと並ぶ魚屋さんのイートインコーナーの握り寿司。白身魚やウニ、イクラなど、青森に来たら寿司も食べたい!という念願が叶いました。こちらの店は魚はもちろん、酢飯がとってもおいしかったのも満足度が高かったですね。

この後、取材を控えていたのであまり多くのお土産は購入できませんでしたが、青森名物の田子のニンニクを八百屋さんで買って帰りました。イートインコーナーのある店や、蕎麦屋や定食屋などの食事処のほか、テーブルやイスも多くありましたので、館内で買ったお弁当などもすぐに食べられるのが便利です。八食センターは9時~18時、水曜定休です。

太平洋一望の海岸散策

おいしい魚介類でお腹いっぱいになったら海岸散策はいかがでしょう。JR八戸駅からJR八戸線で約20分の鮫駅から、ウミネコの繁殖地として知られる蕪島(かぶしま)、そしてその先の天然芝広がる種差海岸(たねさしかいがん)へと至る海岸線は国の名勝に指定されている景勝地です。約12kmに渡って、あざやかな芝生や砂浜、ゴツゴツとした海岸線が続き、さまざまな光景を眺めながらゆったりとした散策を楽しむことができます。

そして便利なのは、JR鮫駅~葦毛崎展望台前~白浜海水浴場前~JR種差海岸駅の間を4月1日~11月中旬の毎日往復7本運行されている「ワンコインバス・うみねこ号」です(冬期は土日祝の往復4本運行)。散策途中でもし疲れてしまってもバスに乗ったり、主なスポットは歩いてそれ以外はバスに乗ったりと、好きなように海岸巡りができます。

葦毛崎展望台が晴れていれば!

↓ 種差海岸

 

私が行った日は小雨ともやのかかるあいにくの天気の日でしたが、それでも葦毛崎展望台から見える太平洋の光景は素晴らしかったです。また、ここには売店があるので、海を一望しながらおいしいソフトクリームをいただけますよ。

 

ウミネコの繁殖地の蕪島は、周囲約800mの小島とはいっても陸続き。漁師の信仰が厚い蕪嶋神社があります。2015年の火災により社殿などが焼失してしまい現在は立ち入り禁止になっています。ですが、神社のまわりや砂浜の海岸線などの辺り一帯は3月上旬から数万羽のウミネコが産卵・子育てのために飛来し、8月上旬に南方へ旅立つまで地元の人たちに大切にされています。

私が行った時はヒナの色はまだ茶色がかっていましたが、大人と変わらない大きさ。飛来の時を今か今かと待っているようでした。そして数万羽のウミネコの集団は圧巻! 鳴き声も羽ばたく様子も迫力満点でした。今年はもうすでに旅立ちましたが、飛来する時期を狙ってぜひ訪れてみてくださいね。

↓ 晴れていれば!

八戸市観光情報サイト八戸観光Navi

https://hachinohe-kanko.com/

(文:塩見有紀子)

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