世界のファインダイニング by 江藤詩文

第9回 ご機嫌なディナータイムを過ごすなら…レストランって、フレンチって楽しい!「Sincere(シンシア)」(東京都・北参道)

外食の機会が極端に制限されたいま、誰もがレストラン選びに慎重になり、一回の体験にかける期待は、かつてないほど膨らんでいます。大切な夜をどこで過ごすべきか。私のアンサーは「Sincere(シンシア)」。なぜってどれだけ期待が大きくても、必ずそれを超える楽しい時間が約束されているから。

写真を撮らずにはいられない華やかなアミューズは、かわいい顔しているくせに、中身はしっかりと鉄分を感じるブーダンノワールや、脂のうま味が凝縮したフォアグラなど、ワインとマリアージュするクラシックなフランス料理の味わいです。

ある日のアミューズ。5つの味のトマト、ブーダンノワールの小さな朝食、鯵の瞬間燻製オリーブトースト、パプリカと赤唐辛子のチュイル、フォアグラ最中、サザエのクロケット

 

締めのストゥブご飯は、鰯とフォアグラ、ブイヤベース、イベリコ炭焼き九条ネギなど6種類からチョイス。焼き立てふわさくのブリオッシュも絶品

 

インスタで見たことがあるかもしれない通称“タイ焼き”は、一瞬で活け締めにした上質なスズキを、ボキューズが確立したパイ包み焼き「ルゥアンクルート」に和のエッセンスを加えたもの。高い技術力があるからこそできる正統派のフランス料理です。

それでいて、締めには炊き込みご飯が出たりするから、フランス料理をまったく知らない初心者でも、緊張せずに思いっきり楽しめるのが嬉しい。

緊張気味の若いカップルに気さくに声をかけるなど、石井真介さんの優しい気遣いにもうっとり

こんな風にエンターテイナーとしての才能を発揮するオーナーシェフ・石井真介さんは、一方で水産資源を保護してサステナブル・シーフードの普及を推進する料理人集団「Chefs for the Blue(シェフス フォー ザ ブルー)」の活動に積極的に取り組んだり、医療関係者の方たちへガストロノミーを届けるボランティア活動を立ち上げたり、熱心な社会貢献活動でも知られています。「できる人ができることをやればいいと思う。自分は料理ができるので、やれることをやっただけ」と石井シェフ。

アジアのフルーツやスパイスの香りとフレンチのソースの味わいをまとったサステナブル・シーフードのカクテル

ま、そんな堅苦しいことは抜きにして。まずは楽しむためだけにシンシアに行ったっていいと私は思う。だって、インスタ映えする写真がたくさん撮れて、料理は全部おいしくて、イケメンで優しいシェフがいて。こんなお店、世界を探したってなかなかない。楽しくってはぁ〜ってご機嫌になって、気がついたら知らないうちに社会貢献のお手伝いをしていたなんて最高じゃないですか。

 

 

Sincere(シンシア)

予約は電話(050- 5486-9428)や予約サイト経由で受付。

お取り寄せ、テイクアウトメニューは公式サイト経由で注文可。

2020年、原宿に姉妹店「Sincere BLUE(シンシアブルー)」がオープンしました。

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