厨房で起こるすべてを見渡せる劇場型ダイニング
旅行の計画を立てるにあたり、まずレストランの予約を取ってから、その他の予定を決める。そんなガストロノミー好きにとって、これまで群馬県は、ファインダイニングが目的になる旅先ではありませんでした。ところが2020年12月現在、東京のフーディーズは、こぞって群馬を目指しています。なぜなら12月12日、「白井屋ホテル」が前橋市にグランドオープンしたから。
群馬の郷土料理で「おきりこみ」という味噌煮込みうどんを再構築。
フレンチにっ!こんにゃくって! めちゃ合う〜!
この白井屋ホテル、建築物としても、アートとしても、ホテルとしてもすごいのですが(その理由は別記事でご紹介します)、フーディーズにとって見逃せないのが、世界初“上州キュイジーヌ”を謳ったメインダイニングです。
上州キュイジーヌとは、上州(つまり現在の群馬)の食材や郷土料理を、現代的な解釈で再構築したオートキュイジーヌのこと。この連載の1回目にご紹介した、日本を代表するモダンフレンチ「Florilege(フロリレージュ)」オーナーシェフ・川手寛康さんが監修を務めています。
ヨーロッパ野菜をはじめ100種類近くもの野菜を栽培している
前橋市「良農園」を訪問した川手さん(左)と片山さん(右)
「群馬県には海はありませんが、とにかく野菜がいい。嬬恋キャベツや下仁田ねぎのように全国的に有名な食材のほか、希少品種を栽培している志のある農家さんもいます。川からはヤマメや鮎といった川魚やすっぽん、肉は赤城和牛をはじめ、ブランド地鶏や豚も上質です。郷土料理もユニークで、群馬の食の魅力は、多くの人を惹きつけることができると思いました」と川手さん。
14種類(この日は)の季節の野菜を、
それぞれに合わせて調理してからひと皿に仕上げた片山さん版ガルグイユ
世界最高峰のシェフたちと交流を持ち、たったひとりのシェフの出現が、街や地域を蘇らせた事例を、世界各地で実際に見聞きしてきた川手さんだからこそ、かたちにできるダイニング。川手さんのもと、ベルギーの三ツ星店をはじめ、日本各地の名店で研鑽を積んだ群馬出身・片山ひろさんが、魅力的なパフォーマンスで、そのコンセプトをダイニングに落とし込んでいます。
群馬っ子の素朴なソウルフード「焼きまんじゅう」は、
なんと酒かすとホワイトチョコレートを合わせたパンペルデュになって登場
実は友人に誘われて、早くも2回もディナーにお邪魔した私。今ならまだ、比較的予約も取りやすい。どんどん進化する片山さんの料理から、この先も目が離せません。
ドリンクは単品でも注文できますが、アルコール/ノンアルコールペアリングがおすすめ。
ワインのセレクトがすごくいい!
白井屋ホテルthe RESTAURANT
https://www.shiroiya.com 食事のみの利用も可。公式ウェブサイトからオンライン予約できます。